ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

98 待ってくれ、洋子 長門裕之

2010-04-03 17:07:46 | な行
 図書館より。主婦と生活者。

 本屋に平積みされたときから気になっていた本。
 老老介護。なんとさびしい言葉であろうか。

 台詞が「入らなく」なっていく南田洋子。ついに部屋と居間とトイレの往復だけになる。そんな中でも、奔放だった自分を愛してくれた洋子への感謝を持って、愛情をささげ続ける長門裕之。
 また自分のことをここまでできるか、と驚くくらい正直に告白している。借金のため豪邸を売ったこと(介護には広すぎることもある)、暴露本でバッシングを受けたこと、自分のおならで洋子が笑ってくれること。それがうれしいこと。決して二枚目ではない長門裕之がここまでになったのは、この誠実さも一因ではないであろうか。

 出会いのシーンもいい。無名の新人の長門が、豹革のコートの大女優に声をかけられる夢物語。表紙の笑顔も泣ける。