ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

29 ブラック・ユーモア入門 阿刀田高

2007-05-19 20:30:57 | あ行
 副題、恐怖と笑いのカクテル。改稿新版。ワニの本(新書)。
 本文イラスト、楢喜八。

 大学生時代の前半、著者にはまった。それまで、(自分ので言うのはなんですが)純粋に生きてきた私にとって、この毒をもった笑いというのはふれたことがなかった。『炬燵』『犀』にどきどきした。

 この本の白眉は巻末の後書き、『私のブラック・ユーモア論』である。
 現代人は精神的に追い詰められ、その補完として弛緩を求め、攻撃される前に自分の不幸をさらけ出す、という論理は見事。筆者の知性を感じさせる。