ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

110 柳家花緑と落語へ行こう 柳家花緑

2010-05-23 13:45:05 | やらわ
 図書館より。旬報社。

 構成がいい。まずは寄席案内。水玉蛍之丞っぽい(別人だが)イラストが親しみやすい。
 次に自伝。小さんの孫ということで正真正銘のお坊ちゃんだが、屈折せずあっけらかんとしている姿がりりしい。「兄弟子に忘れ物の体育着を学校に届けてもらった」「馬風師匠、小三治師匠に稽古をつけてもらった」 なんて贅沢な。

#蕎麦を食べるしぐさは、祖父・小さんが得意にしておりました。(略)ん~、僕もそんな美味しそ~うに蕎麦の音を出せるようになりたい!

 噺紹介、噺家紹介なんてのは平凡でどうでもいいが、最終章がすごい。「ぼくのかんがえた番組」を持って、なんと立川談志、三遊亭小遊三、春風亭小朝、三遊亭円楽(五代目)に「どうですか」と話を聞きに行ってしまう。この行動力。お坊ちゃまだ。

 大物四人の返事が楽しい。 

談志: 楽しいだろ? こういうドリームプラン考えんの。オレ個人はこいつらの責任取るの嫌だ。オレ今、落語に興味がねえんだ……。
小遊三: 道は遠いね。これをやるために、もう一つ二つ前の作業が必要だ。
小朝: 熱き落語小僧はみんな考えるんだよね。けどね。ちょっと早い。あなたは今もっと、自分のために走るべきだよ。
円楽: 芸人には常に”めっぽう上手い奴”、”めっぽうおもしろい奴”そして”若い、これから伸びてくる奴”が必要だ。この表にはそれがある。落語協会・落語芸術協会って言っても、昭和になってから出来たものだからね。ぜひ、これをやってください。全面的に賛成します。