ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

153 甲子園だけが高校野球ではない 岩崎夏海

2010-10-10 12:08:59 | あ行
 図書館より。廣済堂出版。

 高校野球の泣けるエピソードを集めた本。すぐ改行。すぐ一行開け。活字の苦手な若者向けの体裁である。
 21の話が収録されているが、それぞれに監修者が一言たれる。これがちょっとうるさい。

 開会式の司会にあこがれるまージャーが主役の、「そのアナウンスは誰がするのか?」がすがすがしい。

#昭和の初め頃、人々は夏になると、おしなべて白い服を着たのだという。(略)その老若男女が甲子園のスタンドを埋め尽くすから、スタジオは白色でふくれあがるようだったという。特に、一、三塁側のスタンドが雪山のようにふくれあがったことから、「アルプススタンド」という名前がつけられたのだそうだ。

 いい話だ。「スタジオ」というのがよくわからないが、いい話だ。

*自殺しようとフェンスに手をかけたらお腹が「ぐう」と鳴った。それで自殺をやめた。

#「誰のためにスポーツをするのか?」という問いが話題になったことがあった。
#(期待がプレッシャーになるという)反省から、「国のためにスポーツをするのではない」という考え方が生まれ、広まった。
#人々は、今度は「選手個人のため」と考えた。
#ところがそれでも、選手たちは満足な結果を残せなかった。理由は簡単で、人間は、自分のためと思うと、なかなか結果を出せないのだ。
#人は、「誰かのために」と思うことで、初めて力を出すことができる。だから今では「だいじな人のために」という考え方が定着している。