日本語教師の見た中国とか…

日本語教師が見た中国をつらつらと綴ろうとはじめました。帰国後、大学院生を経て今はとうとう専任日本語教師だ~。

浅草にて

2010-03-23 02:20:30 | 日本語
 浅草に来ています。いつものようにホテルの近くをウロウロしながら、一番汚くてかつ人が多いお店を選んで入ってみました。

 店長「ショーシンだけじゃなんだからね」

 常連っぽい客「そうだね。」

 店長「ショーシンに加えて・・・」

何の話かと思えば、「賞品」の話をしているようで・・・

方言の概説書なんかを開けば、江戸っ子は「ヒ」が「シ」になるという話が出ています。そんなことはわかっていても、ネイティブ江戸っ子の発話を聞いてしまうと、なんともうれしいもんです。

 昇進、衝心、傷心、小心、焼身なんていう誤解は生じません。アクセントが違うからね。

 マントシシ 

言葉はなにかに包まれて

2009-06-05 11:58:18 | 日本語
 好みのオハナシ。バリバリの反戦歌ってのが子供の頃から嫌いでした。「戦争を知らずに~」みたいに歌われると、「おれのせいちゃうやんけ!」などと毒づいてしまう不良ギリギリの思春期でした。といっても、ナツメロで聴く程度で、そもそも反戦歌がガンガン流れている世代ではないんですが…歌の歌詞ってのはある種の文学なんだから、もうちょっとひねって聴いている人におよよって思わせるべきなんじゃなかろうか。

 タカダワタルのライブDVD見ていたら、「南こうせつさんに誘われてテレビに出ると、よく歌わせられるけど、実はあの歌(「戦争を知らないこどもたち」)、嫌いなんだよね~」って言うてました。 

 
 あ~、同じ感覚の人がいるんだ~って喜んでブログ書いている現在。ちなみに僕が好きな反戦歌は「自衛隊に入ろう」 by タカダワタル。←タイトルからしてひねってあるでしょ?? 


 やっぱ、ココロがひねているのかなあ


名詞結合に関する考察

2009-04-02 15:29:29 | 日本語
 九州の天ヶ瀬温泉に行ってまいりました。川沿いに公衆(公開)浴場が点在しており、日本では珍しい「おっさんが裸でウロウロしていてもお巡りさんが注意してくれない街」ではないでしょうか?そこで見つけた美容室。写真をよくみてみて・・・

 ホームラン美容室

 わお!(ユニコーンの新曲もWAO!)

 そもそもですね、ホームランという語彙は、どんなイメージで使われているかというと。

 ・ホームラン寄席(バッファロー吾郎の定期イベント)
 
 ・夢ホームラン(バナナマン日村さんのブログ)

 ・パチンコホームラン

 ・ホームラン軒

 

どれも、なんとなく「でっかくて豪快で派手で」みたいなイメージだと思うのですよ。どう考えても「美容室」とは合わない気がするのよね~。「でっかくて豪快で派手な」美容室!!アフロヘヤー専門店とかならいけるかなあ。

 それでもなんでも、私のココロのツボにはばっちりホームランでした。

 ちゃんちゃん。

比較の作り方

2009-01-19 16:41:58 | 日本語
 フランス語母語話者のとある学生が以下のような例文を作りました。

 あのひとがわたしよりじょうずのほうです。

日本語教師じゃなくても、学生がどういう意図で発話したのかはわかりますよねえ~。「あのひとのほうが」って言いたかったんでしょう。こういった比較を話したい時に、このタイプのミスがよく見られるのは欧米系です。欧米か!の欧米です。

 これは私が勝手に母語の干渉じゃないかなって思っています。

英語でたとえると、英語は何かを比較する時に、形容詞が形態変化をします。「small smaller」「tall taller」みたいにね・・・。つまり、比較を表すときには形容詞を変化させたいっていう深層心理が、日本語に表れると、「上手です→上手のほうです」っていう変化を引き起こすのではないでしょうか?最初はなんでかな~って思っていたのですが、欧米の子に同じような間違いがよく見られます。母語の関係だと思うんだけどね~

 とかいいつつ、フランス語の比較構文は全く知らないワタクシ

 「欧米」だなんてまとめかたは大雑把ですね。

 ひさびさに言語の話を書いた気がする。 

先生の意味論

2008-12-12 17:22:55 | 日本語
 留学生たちとガヤガヤ話していました。日本語の「先生」は、どんな人に使えるかっていうのがテーマ。

 教員、弁護士、作家、画家、政治家・・・

韓国はどうだとか、中国はどうだとか、フランスはどうだとかいう話をみんながしていると、それぞれの国に共通点があることがわかりました。

 どこでも共通して、政治家は先生とは呼ばない。クラスの中で日本だけでした。


   「なんで、政治家はだめなんだろうね。」

   「韓国では、政治家を尊敬していないからです。」


 わはははは、それは日本も同じよ~。

 
 なんだか、この時期にタイムリーなハナシで笑ってしまった。

 

文字と言葉

2008-11-09 10:25:46 | 日本語
 『ダーリンの頭の中 語学と英語』を読みました。日本語への興味をとっつきやすく書いていて、読書嫌いに学生にでも推薦するには最適の書だと思います。ちょっとだけひっかかったのは、

 英語は文字通りに発音されないのでは?

 という疑問に対する答えで、「日本語も同じようなものだ」というもの。

言語を相対的に見ようとするトニーさんの態度は大賛成です。でも英語の教師をやっている(やっていた)らしい彼は、もうちょっと英語を客観的に見て欲しいなあ。

 「日本語の「ん」は発音が多い。」これは最もな話、「ん」は仮名ではなくて音声記号みたいなもんだから。そんな点をつっついて日本語も文字と音が対応していないっていうのはひっかかる。そもそも英語はギリシャ、ラテン、ゲルマン、いろんな要素が混ざっていて、表記が一律ではないのだ。

 child children architecture

「ch」の発音を、「チ、チャイ、キ」と変化させているのに気づきます。中には「taught high」の「gh」みたいに存在しても読まない音なんてのもあります。タウグハトと発音してみんなに笑われた高校生は絶対にいるはず!英語の表記の複雑さに比べると、日本語は「ん」を除いて、至ってシンプル。もちろんザ行、ダ行などの変化音、母音の無声化、会話時の音変化「あったかい」みたいなものはあるけど、おしなべてシンプルなのです。ひらがなを覚えたらすべて表記できる日本語、識字率が95%を上回っている日本語、いくらでも証拠はあります。

 英語の表記は日本語よりやや難しい。


 それくらいは認めてもいいんじゃないの!

正しい日本語とは?

2008-07-12 09:11:33 | 日本語
 このブログでもたびたび取り上げているんですが、社会言語学の発展と共に、「正しい日本語などはない」ということが指摘されるようになってきています。若者言葉はそれなりに成立しているわけで、おじいちゃんの話す言葉だけが正しいなどということは言えないわけです。方言はそれ自体成立しているわけで、共通語だけが正しいとは言えません。金子みすず風にいえば、

 みんな違ってみんないい

っていう感じでしょうか。ところが、この考えを拡大していくと、留学生などが話す日本語も決して間違いではないということになりかねません。日本人だけが正しくて外国人の日本語はおかしいっていう主張には確かに疑問があります。でもでも、そんなこと言い出したら日本語教育なんていらなくなるもんねえ。

 『わたしはモンゴル人』という本が講談社から出ており(中国内蒙古人が著者)、「驚くほど新しい日本語」とかいうキャッチフレーズがついております。読んでみると・・・

 もんのすごい読みにくい!本文より一例。

 「日本語については、次のような詩を僕に作らせたエピソードもよく経験している」

 連体修飾節にわざわざ使役を使っているのが読みにくいのか、視点がエピソードだったり私だったり固定していないのが読みにくいのか・・・

 とにもかくにも、これって、僕が毎回作文の授業で添削している外国人(中国系)の日本語作文ですよ。これを新しいって言ってしまうなら、もう、作文の添削なんかやりたくないよ、まじで。日本語教師いらんやん?

 言語のバリエーションは相対的なもので、正しさなんてのはないのだ。これは納得できます。ただし、当然の前提として、そのバリエーションを使ってコミュニケーションしている人々がある一定数いること、これが大事でしょ。若者言葉や方言ってのは、それでみんながコミュニケーションしているわけ。外国人日本語も、それでみんなが分かり合ってコミュニケーションし出したら、そこで初めて市民権を得るのではないでしょうか?

 やはり、日本語教師は必要なのだ。

ライブMC類型論

2008-06-28 21:29:31 | 日本語
 広島でライブ見まくり。関東よりも簡単に取れるし、小さい箱だし最高。以前のブログで、ライブのときのおしゃべりをざざっと類型化すると、ため口で語りかけるタイプと丁寧語(です・ます)を使うタイプがあると述べました。今日見たバンド「Going Under Ground」は、完璧に前者。ぶっきらぼうに第一声。

 「帰ってきたぜ、広島」

  「にゃ、にゃ、にゃに~!わしよりも年下のくせに、ため口かよ!!!」

と憤慨してしまった私は、なんともいえない違和感を抱きつつライブは進行。

 「新曲をきかせるぜ」

 「にゃ、にゃ、にゃに~、聞かせるだと!!それは強制の使役ですか?許可の使役ですか?プンスカプンスカ

しばらくは違和感を感じていた私も、途中から段々慣れてくるんですね~。しかも、なんだか親近感が沸いてくるんですよ。距離がぐぐぐっと縮まった感じ。これぞ・・・
 
 ため口マジック

ミドルテンポでじわじわ盛り上げていく展開も素敵で、いつの間にかノリノリの私。最後に、ピひゃ~~~って飛んできたギターピックを、回りの女の子かき分け必死で探してしまいました。

 イタいなあ、今年34やっちゅうねん。


 ピックも見つからず、みっともないマネしただけ損やがな。


 もう、中沢さんのピックほしかったのに!!


若者言葉の行方

2008-06-13 07:15:33 | 日本語
 「きれかった」「すきくない」「変かった」「元気くない」「大丈夫くない」なんていう言葉使いが、ちょっと検索するだけで、ガンガン出てきます。かなり、関西でこの特徴が見えること、若者特有であること、そんな理由から、この例をみても、ピンとけ~へんわ~という方もおられることでしょう。そういう方は、他言語の話だとでも思って、読んでください。

 きれいだった すきだった 変だった 元気だった 大丈夫だった

これらはすべて、きれいナ、すきナ、変ナ、元気ナ、大丈夫ナ、という変化をすることから、すべてナ形容詞または形容動詞などと呼ばれております。もともとナ形容詞だったこれらが、冒頭のような使われ方をすると、いわゆる日本語の乱れになります。

 ~かった ~くない

この活用は、イ形容詞、または形容詞などと呼ばれる品詞の活用です。つまり、言葉の乱れには規則性があるってこと。冒頭の例はすべて、以下の規則にのっとっています。

 ナ形容詞→イ形容詞的活用

この大きな流れの中で、個々の若者言葉が発生しているんですね。これだけはっきりした流れがあれば、これは立派な言語変化です。ちょっと変な言葉使いって、話し手にとってはおもしろいんでしょうねえ。若者は言葉をいじって遊べる心の余裕があるのでしょう。ただし規則を破ったら、変すぎておもしろくない、これが若者心理なんだと思う。

 うつくしだった かわいではない うれしだった

こんな言い方絶対せえへんやん?イ形容詞をナ形容詞で活用したものです。

 ところが!!こういった流れに一石を投じる芸人登場!「世界のナベアツ」ですよナベアツ。彼のフレーズ「オモロ!!」、よくよく考えると、これがおもしろい。

 おもしろい→オモロな

という変化をしています。これは大きな流れに逆らう「イ形容詞→ナ形容詞的活用」の例になります。

 裏の裏をかく。これぞベテラン芸人ですよ。

 本人は、そこまで考えてへんやろけど。

 
 ちなみに、オモロってのは、90年代からスチャダラパーとかが使っていたけどね…

 んんん、こんなまじめなブログ書いたん、めっちゃ久しぶりやなあ。

言語学者の資質

2008-02-15 23:07:33 | 日本語
 2004年に亡くなった金田一春彦さんは、一体なにがすごかったのか?名前しか知らない人も詳しく知っている人も、評価はいろいろある気がする。最近ではもっぱら息子さんがテレビにちょろちょろでているけど、親父さんはやはりがっつり言語学者だったんだなあと思います。

 僕は彼の偉大さは、日本語のおもしろさを庶民に知らしめたことだと思うのだ。

『日本語』という岩波新書は旧版新版合わせて135万部のベストセラーですよ。日本語のことをつべこべ論じても私のブログなんてセイゼイ一日100アクセスくらいのものだもの。そこそこまじめな話も書いているんだけどなあ~。

 やべやべ。話が愚痴っぽくなってもた。

『日本語』では、漫才ネタから日本語を論じたり、ふとした聞き間違いから日本語の特徴を説明したりと、まさにだれでも楽しめる日本語講座なのです。それを読んで研究者を目指した人もいます(わしよ、わし)。何より何より、私が惹かれるのは、彼が短期ではあるけど、日本語教師をしていたってこと。やはりね~、日本語教師ってのはわかりやすい説明が身にしみてくるんですかね。
 
 金田一さんは日本語教師あがり。

 寺村秀夫さんも日本語教師あがり。

 わちしも日本語教師あがりの言語学者。

 並べて書いたところで実力は雲泥の差。だからといって並べて書いてはいけないという法律もないから並べて書いたのだ。こうやって並べるとなんだか元気が沸いてきたぞ~。

 でもでもでもでも・・・、やはり三段オチにしか見えへんわ。 

ロックとは!!

2008-02-10 11:55:03 | 日本語
 テレビを見てたら、椿屋四重奏が出ていて、次のアルバムのテーマを紹介していました。なんでも「東京」がテーマだなんとか…以下のようなコメントを述べておられました。

 「そうですねえ、東京について歌うのもロックかと思いました。」

ええ?じゃあ、埼玉はポップで、京都はファンクで滋賀はカントリーなんかよ!?などと意地悪なつっこみをいれたくなってしまいました。思えば、「ロック」という言葉ほど実態のわからないままみんなが使っているものはないんじゃないでしょうか?みんな勝手がってに定義して使っているように思えるのだ。

デーモン小暮閣下曰く。

 「ロックは反体制じゃなけりゃいけない」

ふんふん、これはなんとなくわかる気がするけど、日本のロックといわれる人はラブソングばっかり歌っているからロックじゃなくなってしまうねえ。ぱっと思いつくのは「せんそうはんた~い~」とか歌っている銀杏ボーイズはロックだ。

曽我部恵一サン曰く。

 「1年間にアルバムを二枚出すのがロックだ。」

たぶん、この定義を守ったことがあるのは、知りうる限りサニーデーサービスくらいなもんじゃないかなあ。銀杏も二枚出したけど完全オリジナルではなかったなあ。

 まとめます。現在日本におけるロックの定義(私が勝手に編集したもの)は、

「反体制の歌をアルバムにして、年二回リリースし、テーマは東京。」


そんなやつおらんおらん。


ちなみにね、大槻ケンヂの絶叫を以ってシメとします。

「いいかおまえら!!!!ロックとはな!!!ロックとはな!!!・・・

 ラ・ムーのボーカリスト!!!! 

 きくち~~~~~! ももこちゃんだ~~~~~~~!」


 ロックってなんだ??

 

歌詞における指示詞

2008-01-30 19:35:31 | 日本語
こっこの『Raining』は歌詞が素敵。文法ウンチクが好きな人にはもってこいの教材ではないかと…。こっこにも文法にも興味がない人には全く面白みのないブログですが今日はご勘弁


「ママ譲りの赤毛を2つに束ねて みつあみ揺れてた なぜだったのだろうと 今も想うけれどまだわからないよ 静かに席を立って ハサミを握りしめて おさげを切り落とした」

ここまでがÅメロBメロ。状況設定がはっきりわからない「ある時点」においての悲しい出来事がつらつらと導入されています。

「それは とても晴れた日で 未来なんて いらないと想ってた 私は無力で 言葉を選べずに 帰り道のにおいだけ 優しかった 生きていける そんな気がしていた 教室で誰かが笑ってた それは とても晴れた日で」

サビになると指示詞「それ」が二回出てきます。「それ」というのは現実世界と直接関わりのない文章の中の世界を指示するとされており、この歌で言うとABメロで導入された「ある時点」を指すことになります。タイトルが「Raining」なのにサビでは「晴れた日」ってフレーズが耳に残ります。

なんやなんや!矛盾してへんか~??

っていう心配が、一部のせっかちな人(私を含む)の間に浮かんできます。2番は省略しますが、同様に「それ」は「晴れた日」ってフレーズがまたまたリフレインされるのです。

なんでやなんでや!?っていう疑問を抱いたまま終盤に差し掛かったとき・・・

「今日みたく雨なら きっと泣けてた」

そうか~、今日は雨だったのね。と納得するわけです。

「ある時点」を導入して、その架空の時点を「それ」でひっぱってきて、最後で今日の様子と比べるという展開は、「それ」という指示詞の功績が大きいのではないかと思うのです。英語見たく、「this」「that」しかない言語では、日本語みたいな架空の時点を明確にひっぱりつづけることはできないのではないかと思うのです。もちろん、似たようなことはいえるはずですが、ニュアンスが異なるはず…

そのへんのところを詩人はつくんだな。

そのへんっていうのはどのへんかというとですね…

はははは、やめとこ、話がおわらへんようになってまう。

それでは、失礼。

「日本語通じます」考

2008-01-02 22:00:30 | 日本語
 もう日本に帰ってきてしまったけど、いろいろ気になることがあったのでつべこべ論じさせていただきます。たいがいのガイドブック書いてあるのは…

 「ワイキキでは日本語が通じます」

たしかにそうです。サービス業関係者は日本人がいたりして、「このライターは嵐のマツジュンが買った」だとか、いろいろな情報を下さります。ところが、バスとかタクシーの運ちゃんは微妙です。

 ある日乗ったトロリーバスは、運ちゃんがマイケルジャクソン似のおばちゃんでした。

 ホー!!

とか言いそうでやんの。

 乗るなり私に「ドコイクノ!?」ときいてきやがりました。どこいくもなにも、ブラブラ街を見たいがけやがな~と言っても通じなさそうな臭いがしたので適当にごまかしました。そもそもなんで行き先を聞かれるのかわからなかったのです。
 
 そのおばちゃんは、子連れのアメリカ人客が乗ってきたとき日本語で私に、「立って!」と言うのです。おいおいおいおいまってくれよ~(出川さん風)。そこに太っているアングロサクソンがいるじゃねえかよ~、なんでイエローモンキーにだけ注意するんだよ!と思ったものの、めんどくさいから、席を譲りました。後から知ったのですが、トロリーバスにはルールがメチャ多い。

 子供を立たしたまま運行出来ない。
 車中に3カ所立っては行けない場所がある。
 ピンク路線で行けるところに赤路線で行ってはいけない。
 足をブランブランしてはいけない。

まあ、すべて安全上・機能上の理由です。これらの理由を日本人に伝えるときに、「ちょっと待って、ちょっと立って、ちょっとおりて、ちょっとやめて」なんて日本語で言うんですが、促音が苦手だったりして「ちょっと待て」「ちょっと立て」みたいに聞こえることもあり、かなり感じが悪いんです。

 そんなこんなですっかり気分を害していたわたしですが、根本的な違和感はなにかというと、我々高コンテクスト文化のイエローモンキーには、命令形を連発するよりも、命令の理由を言ってくれた方が気持ちいいのではないかということです。

 すみません、子供を立たせてはいけないことになっています。
 すみません、そこは危ないですよ。

などと理由を言ってくれたら、日本人はもうちょっと気持ちよく動くと思うのですよ。そういうのを言わないで、命令だけ言ってしまうと本当にきつく聞こえます。


 日本語で命令するしかできないなら、英語でゆっくりしゃべった方がいいんじゃないかな~。


 言葉が通じるっていうのは、上っ面だけのものではないはず。

 
 日本語を学びたいなら、いつでも教えてあげるのに

使役と受身

2007-12-23 21:50:09 | 日本語
 関東に来てみてテレビに出てくる芸人さんが関西とずいぶん違うな~と実感。番組が違うんだから当たり前かなあ。ライト東野とレフト藤井が夜中にやっている芸人さん番組にはビミョーな芸人さんがたくさん出てきます(関西でもやってるのかなあ?)。関西では昔に活躍していた人が、今頃出てきたり(Gメンズのザコシショーとか)、関西では全く知らなかった人とか…

 芸人さんもビミョーなクラスになると「笑わせて」いるんだか、「笑われて」いるんだかどっちかわからへん。

 使役と受身は本質的に似ているんだなあと実感。

 息子に死なれた vs 息子を死なせた

なんていう対立も、基本的な意味は同じだと言われています。つまり、自分の息子がなくなったんですね。そこでなにか被害や影響が自分に及ぶと前者の例を発し、自分が責任を感じると後者を発することになります。

 ちなみに中国語には使役と受身をどちらも表現できる形があります。

 インドネシア語では授受表現と受身を同じ形で表現できるとか…

  サンドウィッチマンにM1を取られた(受身)

  サンドウィッチマンにM1を取ってもらった(授受表現)

前者は、トータルテンボスのコメントで、後者はサンドウィッチマンの事務所のコメント。授受表現と受身ってのもよく似ているんですね。

 いろんな文法カテゴリーは、お互いにちょいとずつ似ていて重なっているんですね。それをどこかでチョキンと切って授業で教えます。そうじゃないと理解しにくいから。でもむしろその連続性をチマチマ考える方が面白いと思うんだけど…


 おもしろいと思われる授業、おもしろいと思わせる授業


 この二択なら、どっちでもええわ。

ライブにおける言葉遣い

2007-12-08 11:29:40 | 日本語
 12月は師走などというくらい教師が忙しいのに、おもしろそうなライブも目白押し。ほぼ週一で誰かのライブに行ってます。ライブ中のMCで話す言葉遣いに注目して見ると、大きく2種類があるな~ってことに気づいたのは昨日のこと(気づくの遅すぎ!)。

 タイプ1:です・ます体を多用し、やたら腰が低くあいさつするバンド。

今まで見たバンドは、圧倒的にタイプ1ですね。「お前らいくぞ!!」などと最初はタメ口をきいてみても、最終的には、「ほんまにありがとうございました。」と感謝するガガガSP。結局は好青年やな~と思ってしまいます。

 タイプ2:です・ます体を絶対に使わないバンド。

ぱっと見は、えらそうに見えてしまうのですが、ぶっきらぼうな感じが段々カッコよくなってきてカリスマになっていくのです。昨日見た、ピローズなんてのはまさにこのタイプ。ナガブチさん、エーちゃんなんかもこっちですね(ライブ見たことはないけど)。

 タイプ2は、実は戦略的に非常に難しいのです。昔いっしょにライブしたことがある某ビジュアル系バンドは、お客さんが3人しかいないのに、

 「お前ら、もっとこいよ!!」

などと連呼してて、なんだかかわいそうでした。


 です・ます体を使わないと、親近感が増すと言われますが、大事なのはタイミングとバランスですよね。

 これは本当に難しい。日本人でも、変換のスイッチに失敗してる人いっぱいいますよね~。

 来週の授業のテーマは、敬語なのだ。敬語の使用状況を伝えるのは本当に難しいなあ。

 本当に難しい。