日本語教師の見た中国とか…

日本語教師が見た中国をつらつらと綴ろうとはじめました。帰国後、大学院生を経て今はとうとう専任日本語教師だ~。

言葉から見える文化

2007-01-23 13:46:13 | 日本語
 最近、日本語授受表現を外国人はどのように習得するのか、というテーマの論文を読みました。習得は大変のようです。日本語の授受表現とは、

 あげる もらう くれる

の3系統からなるもので、初級教科書ならどれでも扱っている、定番中の定番文法項目です。これっておもしろくて、物の移動を表現したいなら、自分から出ていく方向と(あげる)、自分に入ってくる方向(もらう)、の2系統があればいいわけです。3っつも要らないんですよね~。

 中国語 英語 朝鮮語 すべて 2系統しかありません。

 私は彼にパンをあげた。   I gave him a piece of bread.
 私は彼にパンをもらった。  I got a piece of bread from him.
彼は私にパンをくれた。 He gave me a piece of bread.

例を見ればわかるように、「くれる」というのは無くてもあんまり困らないんですよねえ。

 日本語と同様にカザフ語も3系統あるようでが、他の例は聞いたことがありません。なんで日本語はこんなにもののやりとり表現が複雑なのか?…

 日本人はもののやりとりに敏感なのかもしれません。

 結婚式には、お祝いのお返しにお土産をみなさんに強引に配ります。病気してお見舞いをもらったら、退院時にお返しをしなければなりません。出産祝いは、半額返すとか、お葬式もうちの地域では、引き出物を出します。

 そもそも、結婚、出産、病気、葬式、こういったイベントは物入りだから、みんなで助けましょうってのが起源のはずなのに、お返しするのはおかしいと思うんですよね~。

 この年になると、今までもらった結婚式の引き出物、出産のお祝い返しなどが山のようにたまってるのだ。


 ちっとは独身の身にもなれっちゅうねん。


 やばいやばい、文法ネタのはずが、負け犬ブログみたいになってもた。


 でもでもでもでも、やっぱつまらん伝統は嫌いだなあ。

 お祝いくらい素直にもらってよ~

アクセントを考える

2007-01-19 12:21:33 | 日本語
 ちとまじめな話。日本語には高低のアクセントがついていて、そのアクセントをちゃんとつけない人は、

 抑揚のないしゃべり方

なんて言われてしまいます。僕の友人にも全く抑揚のない人がおります。大学時代、はじめてしゃべった瞬間、すげーびっくりしました。その人は福井市出身でした。

 『日本の方言』にはアクセントの分布図が載っており、抑揚のないアクセント(本では「崩壊アクセント」という名前がついている!)は茨城から福島のあたり、西は九州の中部、あとは飛び地で福井市などに分布しています。ここまで読んでイメージがわかない人は、

 つぶやきシロー

 マギーシロー

なんかを想像してください。ちょっとタレントさんが古いわ~という若い読者(そんな人いるんか知らんけど・・・)には映画『フラガール』をみてもらうと、崩壊アクセントがよくわかります。

 おもしろいのは、この崩壊アクセント(僕はつぶやきシロー型と呼んでいる。)、京都を中心にコンパスで輪をかくと、ちょうど、東と西に同じ距離に分布しているんです。茨城と京都、九州中部と京都は、それぞれ距離が同じってことね。よって、昔京都で始まったこのアクセントが、東と西に広がっていったと考えている人もおられるそうです(主流ではないけどね)。

 ってことは、滋賀県も、み~んな抑揚がなかったのかも・・・


 想像するとおもしろい。

 
 残念なことに、アクセントは文字で表現できんので、おもしろさをブログで説明することが出来ない。

 みなさん、勝手に想像して~




欧米人受けを考える

2007-01-16 14:21:18 | 異文化
 昨日、少年ナイフのライブに行ってきました。もうそこそこ年なのに、まだまだ現役バリバリのロッカーでした。

 少年ナイフってごぞんじですか??

ちょうど、私が大学生の時(まだ20世紀だった)、日本へ来ていたアメリカ人留学生から最初にその名前を聞きました。
 
 「ボクハ、ニホンノバンド、ショウネンナイフガ ダイスキデス」

その時は、へ~って聞いていたのですが、またまた、違う留学生からも同じようなことを聞いて、どうやら、日本人にはマイナーなのに、欧米で受けているバンドがあるらしいということを知りました。

時は経って、イギリスの某都市で、私が趣味のレコード屋冷やかしを続けていた時、ふと見つけたのが、少年ナイフのCDでした。当時さんざんCD屋を回っても、日本人アーティストはYMO(坂本龍一のバンドね)くらいしかなかったので、なんだかうれしくなったのを覚えています。即買いでした(イギリスはCD高かった)。即はまりました。


 ゴミゴミゴミゴミゴーミデー♪(こんな歌、イギリス人は聞いてどう思ったのでしょうねえ。)


時は経って、タイのレコード屋さんで少年ナイフのカセットを見かけました。その時も即買いしました(タイは安かった、でもカセットだから当たり前かな)。


 バナナチップス、バナナチップス、バナナチップス、オーイェー♪(これはタイ人にも意味がわかるはず、うけるかどうかは知らんけど)


話は戻って、昨日のライブ、2001年にライブ見た時は、3割くらい欧米人だったけど、昨日はもっと割合が減っていました。それでも、未だに会場に外人さんが来るって・・・

 素敵やん。


ピンクレディ、松田聖子、ドリカム、ヒッキー、アメリカでデビューした人はおおけれど、ちゃんと現地人に受け入れられたのはどれくらいいるんでしょうね~。少なくとも少年ナイフは今だに、外人さんを動員できるんです。

 素敵だなあ。


 普遍的にみんなに受ける実力ってなんでしょう。あんまり力まないことが大事だなあとおもう今日この頃・・・


 スシスシスシバー ゴーイントゥザスシバー♪


 力んでないよなあ。この歌詞。

ユニコーン再考

2007-01-13 11:30:00 | 日本語
 6個前のブログは「雪が降る町」というタイトルでしたが、これはユニコーン(奥田タミオのいたバンドね)の名曲をそのままタイトルにしています。個人的に好きなんですよね~。

ところがところが、2日前のうたばんを見ていたら、なんと井上ヨウスイさん(リスペクトをこめてさん付け)もこの曲が好きだと言っているのですよ。

 やっぱ、ヨウスイやるな~

ユニコーンってのはなかなかおもしろくて、単身赴任とか、野球とか、サラリーマンとかをテーマにして、他の類をみないテーマでヒット曲を出しまくったバンドです。当時私は中学生。

 そのなかで、井上ヨウスイが取り上げたのが「雪が降る町」の歌詞。以下、引用しますね~

 ♪ 僕らの町に今年も雪が降る いつもと同じ白い雪さ つもるつもる
   あと何日かで今年も終わるけど 世の中はいろいろあるから
   どうか元気で お気をつけて

この後半部分を聞いて、びびびっとキタそうです。それがきっかけで結成したのが井上陽水奥田民生のユニットなんだって。まあ、結成秘話がほんまかうそかはおいておいて、この歌詞に目をつけていたのが日本で僕とヨウスイさんだけだったとこが素敵だ~。
 
 そんなわけないか。

この歌詞にびびびっと来た人は、センスがある!

 

 かどうかは知りません。  



ハーチルさんのメガネ

2007-01-11 17:16:26 | 日本語教育
 今日は絵本に挑戦(絵はないけど・・・)。それでは勝手にはじまりはじまり~・・・ 



ハーチルさんはインドから来た留学生です。毎日一生懸命日本語を勉強しています。ハーチルさんにはとても大事なものがありました。それはインドから持ってきたメガネです。

 「いいメガネですねえ。」

と先生に言われましたが、ハーチルさんは意味がわかりません。ニコニコしてごまかしました。ハーチルさんはホームステイをしていました。ある日、ホストマザーの子供と遊んでいたら、子供がハーチルさんのメガネをかけたいと言いました。やさしいハーチルさんはメガネを子供に貸してあげると、子供は

 ポイッ

とメガネを投げてしまいました。メガネは床にあたり粉々に割れてしまいました。でも安心、ハーチルさんは同じメガネをもうひとつ持っていました。

 ある日、ハーチルさんは大学で勉強しているとき、疲れたのでメガネをはずそうとしたら、手が滑って落としてしまいました。当たり所が悪く、メガネは片方だけ割れてしまいました。困ってしまいましたねえ、ハーチルさんにはもうメガネがありません。仕方なくハーチルさんは片目だけのメガネをかけて勉強しました。困っているハーチルさんに先生は言いました。

 「次から日本へくるときには、メガネを三つ持ってきましょうね。」

今度はなぜかすべて意味がわかったので、ハーチルさんも友達もみんなで大笑いしました。

 ははははははははははは

でもハーチルさんは片目メガネをかけながら、心の中で思いました。

 「笑い話じゃないっちゅうねん!」



いや~、いいですねえ、最後にインド人なのに関西弁でつっこむあたりが秀逸です。っていうか、人名以外ほとんどノンフィクションです。ハーチルさんはメガネをインドから送ってもらい、いまは新しいのをかけております(後日談)。

おしまい。

日本語が来た道

2007-01-09 10:48:01 | 日本語
 今日は真っ白な雪景色。ちょっとは院生らしくアカデミックなことを書きたい気分です。

日本語は音声的には南方諸語系で、文法的にはアルタイ諸語・朝鮮語系であると言われております。

 なんで音だけ南から来て、文法だけ北から来て、それらがきれいに混ざるのか?

これが非常に興味深い点です。渡来人がわらわらと来たのなら、敦賀経由や北九州経由で朝鮮語がじわじわと広がっていくはずですが、今日のように朝鮮語の形跡が文法面でがっちり残っている事実が説明できません。そもそも後からきた人々の言葉を土着民族が学ぶとは思えないですよねえ。現代の日本で例えるのはお門違いですが、滋賀県にブラジル人が増えてきたからと言って、私の母親の日本語にポルトガル語の語彙や文法が入ることはないですねえ。

 そこでちょっと気になる話。

 『騎馬民族国家』江上波夫(旅ガラスさんのコメントで紹介してもらった)

日本に朝鮮系の騎馬民族が来てそれが天皇になった。っちゅう話です。騎馬民族が来たという話は、みんなからこてんぱんにたたかれてしまい、そのへんの話は、

 『騎馬民族は来なかった』佐原真 

にくわし~く書いてあります。かなり攻撃的にたたいておられます。素人考えでも、江戸時代以前、肉を食べなかった日本人が騎馬民族だなんてなかなか納得できないですもんねえ。

ただ、これらの議論の流れで注目したいのは、日本に来たのは騎馬民族かどうかっていう論点が強くて、日本に朝鮮系の支配者が来たということ自体は否定されているわけではないということです(佐原さんはそれにも若干否定的ですが・・・)。

 支配者が朝鮮系、非支配者が土着系(南方系)と考えると、日本語の現状がよくわかるんですけどね~。

 つまり、インドネシアやベトナム経由できた土着日本人が、朝鮮系の支配者に支配されて、南方語なまりの朝鮮語を話さざるをえなくなった、これが日本語になっていくという流れが想定できます。外国語を習得するときのことを思い出せばわかるように、文法は英語なのに、発音だけ日本人っぽいな~んてことよくありますよねえ。それが日本全体で起こると文法は朝鮮系、発音は土着系となるわけです。ピジンやクレオールの研究でも、こういった混成のプロセスは説明できるそうです(『現代博言学』橋本萬太郎)。

 ユンソナさんの日本語も、文法は完全に日本語ですが、発音は韓国語なまりが残ってますよねえ。

 支配された!なんていうと大げさですが、統一国家などのなかった当時、たまたま日本を統一したのが朝鮮系だったっていうだけのことじゃないのかなあ。

 これは言語を説明するためだけの勝手なアプローチですけどね・・・
  
 ちなみに僕の友人、ユージローさんはパプアニューギニアからボートで直接関東地方に流れてきたのではないかというような顔立ちをされています。
 

 まあ、多かれ少なかれ我々はハイブリッドなのですよん。
 

映画を見てて考えた。

2007-01-08 11:32:24 | 日本語
 「タナカヒロシのすべて」という映画を見ました。日常生活がとんとんとんと進んでいくタイプの映画が好きな人には超おすすめです。おもしろかった~、

 満足度は星・・みっつ!!

 な~んていう映画評論を書くのがこのブログの主旨ではありません。あくまで言葉や文化を扱いますよん。


 映画の途中で主人公が会社をズル休みするシーンがあります。セリフはだいたい以下のようなことを述べるのです。

 「すみません、昨日病気になってしまい病院に泊まりました。」

正確にはもうちょっと長いんですが、正確さはここではあまり大事じゃないので適当です。実はこの発話、自分が飼っている猫について述べているのです。ところが電話相手には主人公の話として伝わるんですね~。ここがこのセリフのおもしろいところ。こんなところでも主語のない日本語の特徴をフル活用しております。映画を見ててふと思ったのは、

 これって、英訳するときたいへんやろな~ってこと。

翻訳を自分に頼まれたらどうしようどうしようと、考えてしまいました(絶対に頼まれることはないから心配はいらないんだけど)。

 I had a sick yesterday then I stayed the hospital.

な~んて訳したら、完全に主人公をウソツキ少年にしてしまいます。翻訳の仕事って大変やなあっとしみじみ思いました。


 まあ、頼まれてもいない仮定の話で盛り上がるだなんて、ちょっとさぶいワ・タ・シ
 
 
 

初○○

2007-01-04 16:05:34 | 日本語
 あけましておめでとうございます。もう4日か~、遊んでいると早いなあ。初詣をして、初仕事をして、初ブログに取り掛かろうとしております。初○○なんて言葉が定着しているなんて、日本語はよほど新年のスタートを意識している民族の言葉なんでしょうかね~。

 初CDを買いました。ピーズのCD。

ゆっくり読んでくださいね、ピーズですよ。ピーズ。

たぶん、これを読んでいる人の90%の人が

 「誰やねん!??」

と思っていることでしょう、そして残りの7%くらいの人はB'zと読み違えていることでしょう。

結構メジャーなんですよ、ピーズも。

 大多数の人が、「ピーズはビーズをぱくったものであろう」などと思うでしょうが、ピーズのほうがずっと古い。長いですよ~経歴は。ネーミングの研究では、先行する有名な名前をまねることで自信の価値や知名度を上げようとするなんてことが言われています。

 ボブディランをまねた ホフディラン
 
 ビートルズをまねた ずうとるび

 ローリングストーンズ、ガンズアンドローゼスをまねた ストーンローゼス

そんなこんなで、ピーズもまねしんぼうみたいに思われてしまうのです、残念だなあ。

 初ブログなのに、どーでもいい話でした。

 
 ちなみに私のブログタイトルは、アーネストサトーの作品、「一外交官のみた明治維新」をパクッています。

 
 わからんやろなあ、あんまり似てないし・・・