日本語教師の見た中国とか…

日本語教師が見た中国をつらつらと綴ろうとはじめました。帰国後、大学院生を経て今はとうとう専任日本語教師だ~。

ライブMC類型論

2008-06-28 21:29:31 | 日本語
 広島でライブ見まくり。関東よりも簡単に取れるし、小さい箱だし最高。以前のブログで、ライブのときのおしゃべりをざざっと類型化すると、ため口で語りかけるタイプと丁寧語(です・ます)を使うタイプがあると述べました。今日見たバンド「Going Under Ground」は、完璧に前者。ぶっきらぼうに第一声。

 「帰ってきたぜ、広島」

  「にゃ、にゃ、にゃに~!わしよりも年下のくせに、ため口かよ!!!」

と憤慨してしまった私は、なんともいえない違和感を抱きつつライブは進行。

 「新曲をきかせるぜ」

 「にゃ、にゃ、にゃに~、聞かせるだと!!それは強制の使役ですか?許可の使役ですか?プンスカプンスカ

しばらくは違和感を感じていた私も、途中から段々慣れてくるんですね~。しかも、なんだか親近感が沸いてくるんですよ。距離がぐぐぐっと縮まった感じ。これぞ・・・
 
 ため口マジック

ミドルテンポでじわじわ盛り上げていく展開も素敵で、いつの間にかノリノリの私。最後に、ピひゃ~~~って飛んできたギターピックを、回りの女の子かき分け必死で探してしまいました。

 イタいなあ、今年34やっちゅうねん。


 ピックも見つからず、みっともないマネしただけ損やがな。


 もう、中沢さんのピックほしかったのに!!


日本の物価

2008-06-28 08:23:04 | 日本語教育
 留学生だれもが嘆く日本の物価。特に交通、住宅、果物・野菜なんかが学生の愚痴に挙がって来ます。果物などの食べ物が高いというのは、リアルに生活に関わってきます。ドイツ人の女の子、マライアちゃん(仮称)も日本の物価を嘆いている一人。いろいろ考えたみたいで、彼女の立てた策は…。

 「メロンの苗を植えました。」

あははははは、気の長い話やね~。3つ植えたみたいですが、どんどんつるが延びているようで、毎日楽しそうです。あまりに期待している彼女を見ると、ちょっと心配が。今まだ実はなっていないみたいですが、彼女は夏に帰国してしまうのです。

 1、帰国前に収穫できるのか

 2、そもそもちゃんと実がなるのか
 
 3、実がなったとしても、ハクビシンに食べられるんじゃないか


教師の悩みも尽きないのよ。


心配しているフリだけやけど。

学生の学習能力とは?

2008-06-18 21:58:29 | 日本語教育
 チョくん(仮称)の話。彼は来日二年目なのに、ほとんど日本語に困らない。驚くべき日本語能力の伸びなのです。彼の勉強はおもしろい。初級だろうが上級だろうがかまわず顔を出してくるのです。

 「どのクラスでも何かを学ぶことはできます」

名言ですよ。同時に真理だと思うのです。今の時期、クラスのレベルが低すぎるとか高すぎるとか、そういうこと言う学生は日本国内だけで100万人くらいいますが(独断的推定)、本当にできる奴は、どこでも貪欲に吸収するんですね。

 話は変わって映画『アフタースクール』を見ました。前作『運命じゃない人』も最高でしたが、今回もいいですよ~。たぶん制作費が集まったのでしょう、今作は主演が、大泉ヨー、佐々木クラノスケでした。先生役の大泉ヨーが言うセリフ(はっきり覚えていないけどだいたいの感じね)。

 「どのクラスにもお前みたいのがいるんだよ。わかったような顔して…学校がつまらないのは、自分のせいなんだよ。」

 僕もそう思う。どんな環境でも楽しめるし、学べるはず(もち崩壊学級みたいな限度はあるけど)。

 学生のクレームにどんどん弱腰になっている気がします(学校組織全般)。もちろん学生の声を聞かなくなったとき、教師は終わってしまうけど、どこまで声に対応するかっていうのは見極めが必要だと思う。

 おもしろきこともなき世をおもしろく すみなすものは心なりけり


 みなさん、毎日おもしろいですか? 


 僕はイマイチなんだな~、これが。

若者言葉の行方

2008-06-13 07:15:33 | 日本語
 「きれかった」「すきくない」「変かった」「元気くない」「大丈夫くない」なんていう言葉使いが、ちょっと検索するだけで、ガンガン出てきます。かなり、関西でこの特徴が見えること、若者特有であること、そんな理由から、この例をみても、ピンとけ~へんわ~という方もおられることでしょう。そういう方は、他言語の話だとでも思って、読んでください。

 きれいだった すきだった 変だった 元気だった 大丈夫だった

これらはすべて、きれいナ、すきナ、変ナ、元気ナ、大丈夫ナ、という変化をすることから、すべてナ形容詞または形容動詞などと呼ばれております。もともとナ形容詞だったこれらが、冒頭のような使われ方をすると、いわゆる日本語の乱れになります。

 ~かった ~くない

この活用は、イ形容詞、または形容詞などと呼ばれる品詞の活用です。つまり、言葉の乱れには規則性があるってこと。冒頭の例はすべて、以下の規則にのっとっています。

 ナ形容詞→イ形容詞的活用

この大きな流れの中で、個々の若者言葉が発生しているんですね。これだけはっきりした流れがあれば、これは立派な言語変化です。ちょっと変な言葉使いって、話し手にとってはおもしろいんでしょうねえ。若者は言葉をいじって遊べる心の余裕があるのでしょう。ただし規則を破ったら、変すぎておもしろくない、これが若者心理なんだと思う。

 うつくしだった かわいではない うれしだった

こんな言い方絶対せえへんやん?イ形容詞をナ形容詞で活用したものです。

 ところが!!こういった流れに一石を投じる芸人登場!「世界のナベアツ」ですよナベアツ。彼のフレーズ「オモロ!!」、よくよく考えると、これがおもしろい。

 おもしろい→オモロな

という変化をしています。これは大きな流れに逆らう「イ形容詞→ナ形容詞的活用」の例になります。

 裏の裏をかく。これぞベテラン芸人ですよ。

 本人は、そこまで考えてへんやろけど。

 
 ちなみに、オモロってのは、90年代からスチャダラパーとかが使っていたけどね…

 んんん、こんなまじめなブログ書いたん、めっちゃ久しぶりやなあ。

恋文の構造

2008-06-09 07:42:25 | 日本語教育
 中国籍モンゴル族の学生、フハビル(仮称)くんが、どうも「彼女欲しくてたまらん」という顔をしております(どんな顔や!?)。顔ではなく、口でそう言っているのですが…そんなことばっかり言ってるもんだから、クラスメートが不憫に思い、韓国の女の子を紹介してくれることになりました。フハビルくんは、もんのすごく好みがうるさいのです。紹介してももらった女の子と飲みにったそうな…

 「どうでしたか?」

 「あんな酒飲みは嫌です。」

おいおい、ちょいと待ってくれよ。自分も酒飲むくせに女の子には飲んではいけないだなんて、封建領主かよオメエーはよう!と心の中で思った私は、

 「そんな短所ばかり見てはダメですよ。」

などと説教臭いことを言ってしまいました。そしたらフハビルくんは…

 「だって~先生、あの子、ジョッキビールを16杯飲んで、さらに焼酎飲みまくり、ゲロはいて帰りましたよ。」

 ・・・さっきの説教ゴメンチャイ。

 それはすごいなあ。

 僕がラブレター書くから、誰かに渡してくれと言い出した彼。とうとう絨毯爆撃方法に出ました。だれでもええんかい!と言いたいんですが、書いたラブレターを見せてくれて、えらく得意げの彼 その内容が不思議。個人的な内容は秘密だけど、構造的な話だけね。

 「僕が今まで付き合った人の数 ○名、別れた理由、1感情の不一致、2家族の反対、3そもそも好きじゃなかった」  

 こらこらこらこら!好きじゃなかったんかい!

 こうやってラブレターに恋愛履歴を書くっていうのが、中国やモンゴルの習慣なんだったらおもしろいなあ(違うような気がするけど…)。


 おもしろがってごめんなさい。 

 6月はみんな、人恋しくなるのよ。そういう季節なのです。


 ♪しらないう~ちにだれかを~好きになって~いますう~(オフコース)

素敵な一言

2008-06-04 20:02:14 | 日本語教育
 いやはや、またベタなことをやってしまいました。今日の授業では、日本に来てから一番大きなイベントを話しましょうっていうテーマでした。

「酔ってカラオケの支払いをせずに帰ってきたこと」

「修士号を取ったこと」

などというみんなのエピソードの後(カラオケ代くらい払えよ~)、ドイツ人留学生にふりました。彼は真顔で答えるに…

 「今の彼女に出会えたこと

わーお。すばらしい~。この手の話はめちゃ盛り上がるから教師としてはうふふふふってなもんんですよ。みんなはワイワイと質問をするわけです。

 日本人?

 きれいな人?

 体重は?(←そんなことどーでもえーやろ~)

彼は、またまた真顔で答えるのです。

 「日本で一番きれいな人です。」

ひゃー、こういうセリフって日本人は言わないですよね~。本人もいないところで、自分の彼女を絶賛するだなんて、少なくとも僕の連れにはいないなあ。でも素敵だなあとは思うんです。あんなかっこいい子に、毎日褒められてたら…女の子はうれしいやろなあ。なんとも言えぬ寂寥感を感じてしまいました。

 あんなんおったら、日本男児はもてへんわ。


 完敗、おやっさん~あんなパンチもってるなんて知らなかったよ!

 た・・たつんだジョー!!!

 なんのこっちゃ。

『県庁の星』オチに関する文法考察

2008-06-01 09:54:28 | 日本語教育
 ひさびさにやってきましたね~。映画をツンツンとつつくシリーズです。まあ、誰もそんなシリーズがあるなんて気づいてもいないでしょうけど、このブログの中ではあるんですよ。『ランボー』を見たら、言いたいことが山のように出てきたんですが、政治的なつっこみばかりなんでやめ。それにしても・・・

 弓矢対拳銃の打ち合いってすげーよなあ。

そこで本題の『県庁の星』。途中で柴咲コウが一度オダユウジをデートと称してマーケティングに誘うシーンがあります。そのデートを受けて、映画の最後にオダユウジのセリフで映画は幕を閉じるのですが、そのセリフは…

 「あのさ、今度のデート 付き合ってみる気ない? マーケティング(長いポーズ) なしの。」

 最後の「なしの」って言うのが大事なんですね。これを聞くまでは、ただの市場調査の依頼ですから、ロマンチックでもなんでもなく、お仕事の関係です。そんでもって、「なしの」っていうセリフが着くことで、センテンス全体の意味がガラっと変わってきます。これって、日本語のようなSOV言語ならではのオチの展開だと思うのです(映画なんだからオチって言うのはおかしいけど…)。

 英語に訳すなら、

 %$”#%’%(&’# (前半省略) without marketing.

みたいになって、withoutが来た段階で、オチが読めてしまいます。たぶんね。このように考えると、日本語の漫画・漫才なども、少なからず言語の構造に依存して、述語でオチにするという傾向が出てくると思うのです。 

 それはそれで、また今度。

 私の彼氏はな~。キムタクにゴリラを足して、そこからキムタクを・・・引いた感じ。

 ただのゴリラやんか!!


 これはSVOでもオチそうだけど…