日本語教師の見た中国とか…

日本語教師が見た中国をつらつらと綴ろうとはじめました。帰国後、大学院生を経て今はとうとう専任日本語教師だ~。

台湾レポートfinal シーサー

2007-02-27 13:53:30 | 異文化
 久々の写真登場!

 かわいいでしょ??

 台南で買った魔よけです。これが元になって、円谷プロはピグモンを作ったそうです。な~んて言ったら結構信じるんじゃないかなあ。ウルトラマンにでてくるやつね。

 そんなことはどーでもよくて、この魔よけ、実は名前があるのです。影になっていて読みにくいのですが、おなかに「石敢当」と書いてあります。人名らしいのですが、発音だけをカタカナで書くと、

 シーガンダン

になります。僕はこれをみて一番に想像したのは、沖縄のシーサーなんですが、シーサーも魔よけと言う意味では共通していますよねえ。シーガンダンの「シー」に、「会えてよかったサー」という琉球方言の語尾「サー」をつけたら・・・

 シーサーやん?

 かなりこじつけっぽい??

たまたま韓国のチェジュ島出身の方と一緒に旅行したんですが、チェジュ島にも同じような魔よけがあるということです。

 あのへんの島々には共通の文化があったのでしょうねえ。勝手にあなたは韓国で、あなたは日本で、な~んて線引きするのが政治の仕事。しかも外国と戦争になると、真っ先に捨てられるのが領土の端にある島々です。

 沖縄、台湾、チェジュ島

みんな同じような悲しい歴史を持っています。


こんなコミカルな人形だけど、何かを語りかけているような気がするのだ。

台湾レポート3 ゆるい文化

2007-02-24 13:54:39 | 異文化
 時間に対してきちきちっと計画を立てていく文化と、あんまり気にしない文化があるってのを、どこだったけかの本で読んだことがあります。

 台湾はどちらかというと後者ですかね~。

っていうか、時間に限らずいろんなものがゆる~い文化だと思うのです。

 ライブ会場に行ったら、キーボードのお姉ちゃんがセッティングを終えていないのに、もうボーカルのお兄ちゃんがしゃべり始めてしまい、セッティングの人はアワアワしていました。キーボードは、コードさえつながっていないっちゅうねん。仕方なくボーカルのお兄ちゃんは勝手にひょうたん笛のソロなんか始めてしまったりして、完全にアドリブでしたね。

 あれは、つらいな~。あせるよ。


 友人たちと約束していたお食事会は、知らないうちに流れてしまっていました。最後の晩御飯は空けておいてくれ、とか言われていたのに・・・これは決して、私の人徳の問題ではない!!

 って信じたい。


 テレビ見てたら、なんと!ABBAが台湾ツアーやるってコマーシャルしてたんです。最近日本でも劇団四季の「マンマミーア」のヒットと共に盛り上がっているスウェーデンの大御所ですよ(もともと根強いファンは多いと思うけど)。

 よ~く、スクリーンをみるとちっちゃい字で。

 「オリジナルメンバーは含まれておりません」て書いてた。


 それって、ABBAちゃうやん!!


 
 ゆる~~~~~~~い !!(スピードワゴン風にね)
 

台湾レポート2 サブカル

2007-02-22 22:21:28 | 異文化
 恐るべし台湾における日本のサブカルチャー。最近は、韓流ブームに押されているとはいえ、まだまだラジオから流れる曲は、3割がJポップですよ(ここ数日で聞いた限りの主観的な統計だけど・・・)。

 ヒトトヨウがガンガン流れているのは、台湾人のハーフだからかなあ。

 とにもかくにもサブカルチャー。宮崎ゴロウのゲド戦記なんて、日本語版と中国語版が別々の会場、時間帯でやっていました。せっかくだから、日本語版の方を見に行ったら、会場は6割くらい埋まってた。

 内容は、ここでは論じない。ただやっぱ、才能は世襲できないのかなあ。
                           ↑
                       論じとるやないか!

 話は戻って音楽の話。大型CD店で日本のCDをチェックしました。まあ予想通り、ドリカム、スマップといった日本の大御所が並んでいました。ところが、お店のおすすめ試聴コーナーにあったのは、グレイでも浜崎あゆみでもなく、台湾人アーティストに混じって、

 アドバンテージルーシーの最新アルバム。

これは日本では90年代に活躍した、現在インディーズのバンドです。つまり、台湾独自にインディーズを開拓して一発当てていこうという感じなのでしょうかねえ。

まだまだ台湾で日本のサブカルチャーは裾野が広いですよん。


東方神起やボアに負けるな!ニッポン。

台湾レポート

2007-02-21 13:20:20 | 日本語教育
 台湾よりご報告。

 大学生の日本語学習者に会って、ちょっと考えさせられたことがあり、ブログに向かっております。

 その大学生は、日本語学科三年生の男の子。もちろん台湾人。おどろくほど流暢にしゃべるので、びつくりでした。

 「アニメとゲームが好きです。」

この前のイラン人学生とは正反対で、サブカルチャーから日本語に興味を持ったタイプのようです。しかし、サブカルから入って、ここまで流暢にしゃべれるとはたいしたもんですよー。本人はビンナン語と中国語のバイリンガルなので、日本語の音もかなりきれいです。

 おねーちゃんも日本語学科出身で日本へ留学したそうです。だから、その学生さんも日本へ行きたいとか・・・

 ところが・・・


「両親は早く、兵役を済ませて、就職してほしいと言っています。」


 お、重い。

 留学か兵役か、という選択肢に、ちとショックでした。

音楽における言葉の力

2007-02-17 16:41:13 | 日本語教育
 とうとう家のCDラックがいっぱいになってしまいました。約1000枚収納できるはずだから、CDが約1000枚達成だ~。ここいらで、音楽における歌詞をつべこべと考えて見たいのです。

 そもそも音楽を商品として消費者に届けようとするならば、当然最大公約数の消費者に受けなければなりません。ということは、歌詞の内容もおのずと制限されてしまい、多くの人の実感を伴うようなものになります。音楽の歌詞が圧倒的に

 愛、人生(青春)、応援

の三本柱から構成されていることは、そのせいでしょう。三本柱にからんでくる言葉を順列組み合わせすれば、それっぽい歌詞が出来ます。

 いつの日か 君の 夢がかなうから
 僕は応援するよ 心から ♪  ファイト! 

ありがちな歌詞をベタに並べただけで、それっぽいでしょ?(まあ、こんなバカ単純ではヒット曲はでないと思うけど・・・)。あんまり変なテーマでは共感できないですもんねえ。

  二日酔いはつらいぜ べいべー ♪
  徹マンしたら、肌がタバコくさいぜ おーいえい♪
    ↑
  こんな歌詞あったら、僕は惹かれるんだけどなあ。・・・たぶん売れない。
  

 こうやって(どーやって?)、最大公約数の共感を狙っていくと、ほとんどの歌詞の内容が似たり寄ったりになってしまいます。結果的にメロディーがよければいい。という流れになってしまう気がします。もはや、言葉の力などあまり重要ではない(と思う人も出てくるはずな)のです(すんげー極論だけど)。

 そんな空気を反映して出てきたのがB-DASHというバンド。歌詞を紹介します。「SECTOR」より。  
 
 会いWEすポンどぅーりへーりすぽーれ来 法輪意  ♪
 愛おんぶスペーリ源中うぉーれ来          ♪


 なんのことかわかる??

 ところがところが、メロディーがかっこいい、演奏がすごい!ってこともあって、2003年6月のオリコンチャート10位です。つまり、これを買った人は、歌詞の内容なんてまったく気にしてないってことですよねえ。

 僕もCDを2枚買ったけど、やっぱ、寂しいものがありますねえ、一言語学者として・・・ただ、音楽はめっちゃかっこいいです(ちゃんとした歌詞の歌もあります)。

 
 ただ・・・中古CD屋を回ると、どこの店にもB-DASHのCDがぎょーさん並んでいます(僕は結構好きだから売らないけど・・・)。一般的にはやっぱ、CDを所有しようとするモチベーションが下がって、売られてしまうんじゃないでしょうかねえ。

 やはり、言葉の力は大事なのです。

 ちょっと安心してる自分がいたりして・・・

やばいなあ

2007-02-14 10:55:32 | 日本語教育
 「イランからの手紙」にいろんな反響があったもんだから、次の一手が書けなくて困っております。

このブログは、言葉や文化についてつべこべと考える比較的反社会的・非生産的なブログであり、特に社会派ブログでもありません。ここいらでまあ、思い切って通常のダラダラブログに戻りますよん。


 オノマトペという語彙があります。ドンドンとかピヨピヨといった類の語を指します。擬音語擬態語などということもあります。留学生にはこれらの語彙の習得が非常に難しいとされています。特に日本語は擬態語を発達させており、外国人にはとっつきにくいんだって~

 昔の教え子ちゃん(中国人)のコメント

 「日本のサービス業はすごいですねえ。みんな、ネコネコしています。」

 はははは、当時、中国のサービス業はひどかったからなあ、よほど印象的だったんでしょうねえ~。しかも、ネコネコってかわいい。このまま使いたいくらい。

 先日会った台湾人留学生のコメント

 「ちょっとそこでゴロゴロしていました。」

ええ!?町の中でゴロゴロ??きっとウロウロって言いたかったのでしょうねえ。上級学習者になると、こういった微妙なミス(意味は伝わっているんだからミスではない。)があって、会話に思わぬはずみがつくんですよねえ。

 昔、日本語学校の生活指導を担当していたころ、生活態度について柄にもなくお説教をしていました。

 「なんで、毎晩大声を出して飲み会をやるんですか?」←よく考えると愚問だなあ

 「すみません、頭がフワフワしていました。」


 あははは、もうお説教なんてやる気なくなってしまいます。


 日本人同士ではありえない会話のはずみ・アクシデントみたいなモノが外国人と話しているとあるのです。  

 
 僕はそれが好きでたまらないのです。

イランからの手紙

2007-02-08 11:20:46 | 日本語教育
 去年のことだったと思いますが、イランの某大学で日本語教師の求人が出ました。行ってみたい!とは思ったものの、資格があわなくて断念したことがあります。・・・時は流れて2007年、先日友人の日本語教師から来たメールには、なんと、

 今私はイランにいます。

わお!!世界は狭いなあ。友人が求人に応募していたのでした。その手紙が心に残ったので、みなさんにも読んでもらいたいなあと紹介いたします。

 はじまりはじまり~

 前回の日記で学生の向学心の強さを書いたところ、「大して実用的価値もない日本語をそこまで熱心に勉強する理由はなんなのだろうか」という内容の返事をはじめ、反響をいただいた。短期滞在でそこまでのことが理解できるのかどうかは分からないが、とにもかくにも教室編の第二弾である。

 朝、8時からの授業、時間が早いこともあるのか、学生がぱらぱらと遅れてやって来る。少し、遅れてやって来るグループが落ち着くまで待とうかと思い、質問を投げかけてみた。「この前、皆さんに聞いたところでは、卒業してもなかなか日本語を使う機会はないということでしたよね。例えば、日本の会社も英語がしっかりできる人がほしいということでしたよね。それなのに、皆さんの中には鏡の前で一人で会話練習している人や、バスの中で友だちと会話練習している人もいます。どうして、そんなに頑張ろうという気持ちになるのか教えてくれますか」と率直に質問してみた。学生はすぐには答えない。ちょっとだけ答えを待つと、「好きだから」との答えがあった。「それだけ?」、「好きだからです。だから、頑張ります」、「何が好きなんですか?」、「日本語が好きなんです」。この学生、言いたい内容が日本語でうまく言えないからこう答えているのではないようだ。本当に好きなんだろう。どうして好きなのか言語化できなくても彼女にとっては真実なのだ。他の学生は「私は日本語について高い目標を持っています。4年間では、そこまで行くことができません。だから、卒業しても勉強を続けていきます」と発言した。「でも、卒業しても日本語を使える場所がないでしょう」と聞くと、「できれば翻訳がしたいのですが・・・」との答えだった。真面目な学生にとって日本語を学ぶ動機は何かの手段や利益のためではない。ただ、学びたい、もっと向上したいという思いである。

 日本人や、日本語の歌、ドラマ、映画などにほとんど接する機会がなく、日本へ観光で行きたくてもビザを取得するのは極めて難しい。そイランと日本の政治的関係は必ずしも良くない。しかし、多くのイランの人は親日的である。レストランに行っても日本人であることが分かると「そうですか、日本人ですか」と微笑まれることが多い。また、限られた情報ソースのなかでイランの人は日本について知ろうとしている。今日、日本語学科の事務室にいると、テヘラン大学の工学部の学生が訪れ「日本が大好きなんです。日本のアニメは素晴らしい。日本語はとても、とても美しい。だから、ちゃんと勉強したいのですが、その方法を教えてもらえませんか」と目を輝かせて質問していた。逆に、イランに対してこれほどの興味、関心をどれだけの日本人が持っているのであろうか。日本で伝えられるイランとは核兵器を開発しようとしている危険な国、イスラム原理主義的な国、どこか危なく、掴み所のない国といったところだろう。目先の利益のためではなく、純粋に日本語が好きで、日本に興味があるという理由で、ここまで熱心に日本語を学ぼうとしている学生の存在を日本の皆さんに知ってほしい。そして、万が一にもアメリカ主導でイランに空爆などという企てを起こしそうになったら大きな声で反対を叫んでいただきたい。私の学生やその隣人を危険には晒せないのだ。


株価上昇 ↑

2007-02-04 14:14:04 | 日本語教育
 日本語学習歴8年の台湾人留学生と先日遊んだ日本語教師歴8年の私。

 冒頭から連体修飾が多すぎて、なんのことだかわかりにくいですねえ。その留学生に質問されたのが、以下の質問。

 「この植物はなんですか?」

その指差しの先にあるのは、葉牡丹でした。幼少のころ私は母が育てていた葉牡丹をキャベツと間違えてかじり、ひどい目にあっていたので名前ははっきり覚えていました(あ、別に食糧難の時代とかとちゃいますよ)。

 「ハボタンといいますよ。」

 「ひえー、私はこの質問をたくさんの日本人にしましたが、答えた人は初めてですよ!!」

およよ、なんだかわからんけど、どうでもいいところで私の株価が急上昇していく音が聞こえますね~。調子に乗って、「あれは南天です。カラスがつまんでは、父の車の上に糞をしていきます。」などと、余計な説明までしてしまったっちゅうねん。

 日本語教師の評価って、よくわからんもんですね~。さんざん準備した文法解説に、みんなまったく反応してくれないときなんかしょっちゅうなのに、飲み会でモンゴル語の歌を歌っただけで株価が上昇することもあります。

 なんやわからんけど、結果オーライ。 


 田舎モンでよかった

「べき」の機能

2007-02-01 10:02:26 | 日本語
 日本語の初級で、「~なければならない」という文法項目を習います。学生さんが中級、上級とあがっていくと、「~べき」という項目が出てきます。ここでまじめな学生さんは、

 「べき」と「なければならない」はどう違うのか?

と聞いてくる人もいます(聞いてこない人ももちろんいる)。

 「べき」は、倫理的な義務に使うことが多く、法律や規則では使いません。

 法律 ?? 海外旅行にパスポートは持っていくべきだ。

     ○ 海外旅行にパスポートは持っていかなければならない。


 また、「べき」は忠告として、他人に使うことが多い。

    いくべきです。     (あなたは)

    いかなければなりません。(わたしは)

このように考えていくと、「べき」のほうが使用範囲が狭く制限されています。また、自分のことを言うのか、相手のことなのかで「べき」「なければならない」が使い分けられていることになります。

 日本語は主語を言わない代わりに文末表現が発達している

といわれていますが、「べき」も、まさにその例になります。文末を聞いたら、主語は想定できるんですね~


 主語がないのは日本語のシステムであり、日本人が非論理的であるわけではないのです。