相互交流と地域連携を発展させるための「覚え書き」について
以下は、都立高専 荒金善裕 校長先生をご訪問し、
学校改革や今後の交流、地域連携の進め方について、
お話しをお聞きし、意見交換させていただいた際、
これからの交流のあり方について、
双方で、議論やアイディアを積み上げ、
発展的な関係、創造的なプロセスを生みだしていくことを目的に、
お渡しさせていただいたものです。
交流委員会の議論を踏まえ、改めて、公式の提案をさせていただきたいと考えています。
ご興味のおありの方に、ご笑覧いただけば幸いです。
* * * * * * * * *
平素より、大変お世話になります。
6月4日の「懇談会」では、
大変、有意義な意見交換の場を設けていただきまして有難うございます。
学校の組織や運営体制が大きく変わる中、
これまでの交流の積み上げを踏まえ、これを発展させ、
学生の皆さんと学校、地域の産業や企業にとって、より意義のあるものとしていくために、
これからの課題の何点かを整理してみたいと思います。
特に、同友会の公式見解という訳ではありません。
むしろ、地域交流のあり方、目指すべきものについての考え方、
交流(共同の事業)を発展させていくアイディアを自由に出し合い、
相互交流の目的や発展の方向についての
共通認識を創りあげていくことこそ大切であるよう思います。
「これからの相互交流を発展させるための覚え書き」は、
このための「たたき台」として書かせていただいたものです。
全体の構成は、
前段と後段に別れる
「1.交流についての基本認識と方向性の共有、共同事業のための共通認識の形成」において、
相互交流と地域連携が目指すべきものや現段階の「基本認識」について、
問題意識を述べさせていただきました。
「2.相互交流を発展させるためのアイディアを出しあい、
交流と地域連携発展の方向についてイメ-ジを共有する」
「3.相互交流をどのように発展させていくのか? 考え方と道筋について」
についての議論が、相互交流と地域連携を発展させる道筋となるように思います。
最後の「二つのご提案」では、
交流や地域連携で必要とされると思われる要素について述べさせていただきました。
大切なのは、
相互発信的に提案やアイディアを出しあい、議論と実践を積み上げにより、
今後の交流、地域連携のあり方を決していくことだろうと思います。
過去の同様の努力は、平成13年に行なわれた
『学科改組・新校舎(品川)完成記念座談会/都立高専の将来像-高専改革と地域交流』
(記念誌『21世紀を翔る』)をご参照いただければ幸いです。
私たちの交流が始まったのが1984年。
品川キャンパスでの新校舎建設、学科改組、総合科学交流センタ-開設を折り返し地点とする
産学連携、地域連携の取り組みも、
従来とは比べものにならないほど、広がりをもったものになっていると思います。
これまでの取り組みを総覧、再整理し、
新しいスタ-トラインへ向かう課題を明確にしていく時期に入りつつあるように思います。
その一助としていだければ幸いです。
これからの相互交流を発展させるための覚え書き
1.交流についての基本認識と方向性の共有、共同事業のための共通認識の形成
「懇談会」では、
双方の立場を乗り越えて、
地域社会における産学の新しい関係を生みだしていこうとする熱意こそが、
25年に及ぶ交流の原点にあることが、双方の関係者から話されました。
私たちの交流の原点を踏まえ、
大きな環境変化--グロ-バリズム(世界経済の一体化)や人口減少社会という
日本社会の大きな変容--が生みだすものについての認識を、日々、深めながら、
私たちが共同で取り組むべき中長期的課題課題を
明確化していくことが必要とされているように思います。
① 地域社会における人材育成のための産学協働のスキ-ムの定着、発展
・学校教育の課題についての協働、学生の皆さんに社会の視線が注がれる環境での学校教育
・「学校教育」と「社会人教育(企業内教育)」の連携のための産学協働のスキ-ムの定着、発展
② 産業技術を基盤とした研究機関(研究者集団)としての高専と地域の産業の連携
・産学による共同研究、共同開発や技術連携
地域産業のあの方と結びついてた研究課題設定等の産学協働のスキ-ムの定着、発展
③ 「地域社会に貢献する学校像」や
地域社会での、地域の教育機関のより創造的役割を開発していくための共同の取り組み
・地域社会に貢献する学校像 と 地域社会に貢献する企業像
・地域社会での「学校」のあり方に、より、創造的な役割設定を
④ 上記の目的のための より広汎な地域プラットフォ-ム の形成
全体としては、
「上からの改革」から、
「教育現場や地域社会に根ざした改革」へと改革を深化させていく新しい段階へと入り
これまでの地域連携の積み上げの上に、
分権型の改革に踏み込んでいくことが可能になり始め、
そのための中長期的課題を明確にしていくことが必要とされているように思います。
自立した人間をつくる社会基盤を生みだし、
この自立した人間をつくる社会基盤に立脚して、
地域社会や学校教育を運営していく
地域連携のスキ-ムづくりが可能になり始めていると思います。
産学連携は、
企業が自らの要求を一方的に押しつけることでも
行政(文部科学省や経済産業省)のスキ-ムを一方的に持ち込むことでもないでしょう。
企画・計画の段階から産学(+その他の地域の公共セクタ-)が、
共同で事業をたちあげてこそ、
地域社会に立脚した産学連携(企業の考え方でいえば、市場志向)になりますし
地域社会や地域の産業全体と連動し、これを揺り動かしていく仕組み作りが必要であると思います。
(以下も含め、同友会よりの提案というより、
これからの課題について
イメ-ジをより明確し、共同の議論を生みだしていくために書いたものです。)
2.相互交流を発展させるためのアイディアを出しあい、
交流と地域連携発展の方向についてイメ-ジを共有する。
これまでの経験を踏まえると共に、様々なアイディアを出しあい、
目指すべきものへのイメ-ジを共有する。
そこから、改めて、現状認識に立ち戻り、
手順、段取り、全体の見取り図作成や足場作りをしていくために
A これまでの活動の継続 → 発展について (アイディア)
・インタ-ンシップ と インタ-ンシップ会社説明会 について
3年間に渡って行なわれてきた「インタ-ンシップ会社説明会」の取り組みをより公式のものに
「インタ-ンシップ会社説明会」を、現在の変則的な時間帯ではなく、通常の「授業時間」に
本科のインタ-ンシップを「必修化」するためのスキ-ムづくり
企業を交えた反省会(発表会ではなく)、
専攻科の「卒業研究の課題発見」を軌道に乗せるための相互協力
長期インタ-ンシップの取り組み(高専改革検討委員会報告書) 等々
・中小企業家経営塾
「中小企業家経営塾」は、企業経営者がボランティアで講師を引き受けるともに
5回の講義の企画を私共が行い、遠山先生の万全の準備が結びつき
地域と学校が共同で運営している授業となり、従来にない試みとなります。
この従来にない試みを発展させていくことを前提に
社会における企業のあり方について、
より、広く学生に学んでいただくスキ-ムを必要であると思います。
多くの学生に参加していただき、企業経営者の生の声を聞いていだく機会とするとともに
中小企業家経営塾についての学生の認知度を高めために
本年度の5回のうち1回を、「公開講義」化する(運営については遠山先生に要相談)
(この際、前段に「海外派遣」の報告を行なうことも検討)
必修か、それに近いカリキュラム編成の検討
企業人による全学的、または、全学年的(5年間で1回転する課題設定など)講義 等
・大田ふれあいフェスタへの取り組みについて(サッカ-ロボット「出展」)
大田ふれあいフェスタは、2日間で、20~30万人の人が集まる大田区最大のイベント
当初は、同友会を中心に、学校にご協力いだきました。
昨年よりは、学校による地域広報事業の位置づけとなり、同友会が協力させていただいております。
(共同で参加申込み)
子ども連れの方の参加が多いのも特徴です。
ご協力させていただききますので、
より、準備された学校広報の機会として、ご利用いただければと思います。
・進路選択をひかえた学生と企業の懇談会の継続について
昨年は、遠山先生が4年生の担任であったことにより遠山先生のクラス+αで開催。
企業よりは、10名程度が参加し、会社の宣伝をせずに学生の皆さんの相談にのりました。
企業、学生の双方に、大変、インパクトがありました。これを継続していくスキ-ムをつくれるか?
社会で働くとはどういうことか?
学生の皆さんが考えている企業像と実際に企業が社会で果している役割のちがいについて
もう少し、理解を深めて進路選択に当たっていただければと思います。
将来は、企業の声を直接、聞いていただくと言う意味で
「地元企業会社説明会」などを考えることもできると思います。
・中小企業家経営塾「学生海外派遣」について
中小企業家経営塾「学生海外派遣」は、
海外ビジネスが話題に上る経営者の講義に、
学生が、必ずしも、実感をもって反応できていない、
企業経営や地域の産業のグロ-バルな工程分業に対応して、
授業の受け手のグロ-バルな感性育成を授業の中に組み込むことを目的に発案され、
現在のスキ-ムがつくられたものです。
基本的な位置づけを明確化すると共に、
より発展的なやり方が検討されていくべきものだと思います。
「中小企業家経営塾」の今後のあり方や
カリキュラムや学校運営の「国際化」の中で、
新しい位置づけが、再検討されていくべきものと思われます。
B これから取り組むことが可能なテ-マについて (アイディア)
・高専の先生方による企業訪問
企業の取り組んでいる課題に、企業の現場で接していただくことにより相互理解を深め
交流・連携のあり方や可能性についての共通認識を形成する。
・企業の学校訪問(高専や研究室などの見学会)
・学生の工場見学や企業訪問
1~2年生の早い段階で、学生の地域企業訪問をカリキュラムに組み込む
夏休みなどを利用した小グル-プでの企業訪問
ロボコン等、クラブ活動のメンバ-と企業の交流
・同友会の例会、学校や先生方の研究会、高専の対外事業への相互訪問
・先生方と企業の双方を講師とした「技術研究会」
これも過去に経験があります。先生方の研究課題と企業の技術課題を出し合って
あるいは、例えば、設計やメカトロ等、もっと基礎的な部分の基本と運用をめぐって勉強会など
・学校を基盤にした社会人教育、技術者の生涯教育の取り組み
高専を活用した若手技術者育成講座などの取り組みは、大変有意義なものだと思います。
無償の時期が終わった段階で、この試みを発展させていくための
企画段階から企業が参加した共同運営のスキ-ムなど。
・企業関係者を加えた授業の共同設計
現在は行なわれていませんが、
かっては、同友会企業が講師を務めて、メカトロ等の授業をしていたことがあります。
企業による講師に限らず
学生の皆さんに、早い段階から自らが学ぶ技術が社会でどのように使われているか?
理解していただくことを組み込んだカリキュラム編成の検討などができると思います。
・共同研究、共同開発への取り組み
従来は、受託研究などのスキ-ムが上手く廻りませんでしたが、新体制では ……
企業よりの資金供与により、研究開発をしていだく場合のスキ-ムは?
企業よりの研究生や専攻科などへの短期研修生等の派遣
本科、専攻科での卒業研究への企業よりの課題提供 など
・より広いディスカッションの場や研究会の設定
教育、企業、地域の産業や地域社会、世界と日本、日本社会の変容等、
私たちが直面している大きな環境変化のなかで
それぞれが直面している課題を出しあい、これからの交流の課題を明確にしていく。
下記、これからの相互交流を発展させるための覚え書き その2 へ続く
http://blog.goo.ne.jp/ota-doyu-kosen/e/8d0abfd53d8aed0f78c932e7f75d5e08
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