黄昏の空を

2009年06月20日 18時58分00秒 | B地点 おかか

 

 

おむさんが、うとうとしていると、
水音が聞こえてきた。楽しげな声も。
「あっ」
「カモさん親子だ」
「いいなあ……」
おむさんは、幼い頃の記憶を辿った。
母親と共に過ごした日々を、追想した。
「ああ……」
「淋しいな」
「お母さん」
「もう一度、お母さんに会えたらな……」
「……おい、大丈夫かい?」
「えっ?」
「だ、大丈夫ですよ」

ぐすん
「そうかい?」
「ええ。子供の頃のことを、ちょっと考えていただけです。それに、僕には先生がついててくれますから!」
「ふふ。おだてるな。ま、とにかく元気を出せよ」
「……」
おむさんにつられてか、おかか先生も、なんだかセンチメンタルな気分になってしまった。

もちろん先生にも、幼かった頃があり、母親の思い出もあるのだから。
先生も時には、誰かに甘えたくなるのだ。
だが、いつもおむさんに頼られている先生は、そんなところを見せたくなかった。
それに、先生だって、決して孤独ではないのだ。

先生は、感傷をそっと胸の奥にしまって、黄昏の空を見上げるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


狡獪と書いてコウカイと読む

2009年06月19日 18時58分00秒 | B地点 おかか

 

 

おかか先生である
おかか先生は最近、或る聡明な女性から、三谷幸喜の作品を薦められた
そこで先生は、『笑の大学』という映画を観た
映画を観終わった先生がまず感じたのは、ともかく何らかの「作品」を「創造」したいという、抗い難い、強い強い欲求だった
そこで先生は、こんなパフォーマンスをしてみた
草の山に登るのである
しかし、誰も見てくれなかったし、自分でも納得できなかったので、先生は落ち込んだ
だが、創作への欲求は、寧ろいっそう強くなった
そこで次には、こんなものを「創作」してみた
しかし……やはり、満足できなかった
先生は、自分の「作品」を抹消した
作品の価値を価値たらしめるのは、構造である
だが、スタティックな価値布置に安住していては、創造はできない……
構造を変える力のダイナミズム ―― 太古から伝えられてきたこのカビ臭い概念を、先生はあらためて噛み締めた
作者とは読者であり、読者こそが作者なのである
先生はあらためて、構造変動論を見据えるのだった……


このエントリは酔っぱらって作りました
公開して後悔しています、いえ、後悔して公開しています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


キャッチャー・イン・ザ・ライ

2009年06月19日 18時38分00秒 | B地点 おかか

 





ひさびさに野球ひとすじシリーズ 「巨ニャンの星」篇 第4話


野球に青春を賭ける男、星 飛雄男夢(ほし・ひゅおむ)である。
「飛雄男夢よ! 今日の特訓を始めるぞ!」

「準備オーケーだぜ、父ちゃん!」
しかし、球鬼と呼ばれた厳父は、突然、自然の欲求に襲われたのだった。
「わーっ!?」
「まったくもう! 父ちゃんったら! 何もこんなところで……」
「ば、ばかもの! 勘違いするな! キャッチャーの正しい姿勢を教えたのだ!」
「嘘つけ! 父ちゃんなんか嫌いだ!」

ぷいっ
「……無理のある言い訳だったかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


シリ滅裂な修行

2009年06月19日 16時01分00秒 | G地点 チッチ

 

ひさびさに



オムイ外伝シリーズ 第三部(武芸帳篇) 第31話



「ナナ様! オムイを捕まえるには、どうしたらいいのでしょう?」
「鼻を鍛えるのじゃ……」

←ナナ様
「なるほど、嗅覚を鋭敏にして、オムイの匂いを察知せよと?」
「その通り! だが、おぬしにその修行ができるかな……?」

←実はオムイが化けている
「どんな修行にも耐えてみせます!」
「では、これをみごと嗅いでみせいッ!」

「ははッ!」
くんかくんか
「ぐはーーーッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


要注意らしい

2009年06月18日 18時48分00秒 | B地点 おむ

 

 

おかか先生とおむさんである。
両者が、何かに気付いた。
おかか先生が身を伏せる。
おむさんも、身構える。
おむさんは、シャーフーの体勢だ。
凄まじい緊張の中、何かが通り過ぎる。
通り過ぎたのは、犬である。
普段、あまり犬を恐れない彼等であるが、
この犬だけは、要注意らしい。

「いわゆるシャーフー」を参照

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


BEING JOHN OKAKAVICH

2009年06月17日 19時04分00秒 | B地点 寄り目ちゃん

 

 

よっちゃんである。
彼は最近、魔法の穴のことを知った。

この穴は、なんと、おかか先生の脳の中につながっているのだ!

「この穴に入れば、おかか先生自身を体験することができるらしいけど……」
「面白そうだけど、なんだか怖いなあ」
「……どうしようかなあ」
「……思い切って、入ってみようかな!」
よっちゃんは、穴を通じて、おかか先生の脳に侵入した。
「……」
「……腹が減ったな」
「しかし、食いものがない」
「自分のモモ肉でも食うか」
がぶっ
あぐあぐあぐ
「……今日のはちょっと硬いなあ」
すぽん
「うわあああ!」
「こ、こ、こ、怖い体験だった!」
「先生は、いつも自分を食べているのかな?」
「とにかく怖かった! 他人の意識を体験したりするもんじゃないなあ」
「ふっふっふ。懲りたようだな」
おかか先生は、穴のことを知っていたのだ。
だから、ちょっと演技をしたのであった。





 

 

※元ネタはもちろん、映画『マルコヴィッチの穴』(Being John Malkovich, 1999)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


全身で伝えろ!

2009年06月17日 18時37分00秒 | B地点 おむ

 

 

「ん?」
すいすい
ちゃぷちゃぷ
「おい、川を見ろ」
「カモの親子がいるぞ」
「あっ、ほんとだ! 可愛いなあ!」
ちゃぷちゃぷ
すいすい
ちゃぷちゃぷ
ひょいひょい
ちゅっ
「う~ん! 実に可愛いなあ!」
「先生! この感動を、全身で表現したいと思います!」
「な、何だと?」
「いいですか、見ていて下さい」
「か~」
「わ~っ」
「いい~っ!」
「……どうでしょうか? 先生!」
「す、すごいな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


笑う門には草刈った

2009年06月17日 17時58分00秒 | B地点 おむ

 

 

「おっ! 草刈りが終わったな!」

「二日前は、こうだったが」


※二日前(15日)撮影

「今日は、こうだ」
「あっ、本当だ」

「二日前は、こうだったのに」


※二日前(15日)撮影

「今日は、こんなに綺麗になりましたね!」
「それにしても、すごい匂いだなあ」
「確かに、草の香りがしますね」
「いや、そうじゃなくて!」
「えっ?」
「草を刈ったら、くさかった!」
「なんちゃって! はっはっは!」
「やれやれ、またダジャレですか」
「……くすくす」
「あっはっは~!」
「ふふ。どうだ? 気分がいいだろ?」
「笑いは健康にいいんだぞ」
「ええ。そうですね」
「よし。もっと笑おう」
「あ~っはっは~!!」
愉快な笑い声が、川岸にこだました。
おかか先生も楽しかった。

おむさんも幸せだった。
梅雨の晴れ間の、そんな夕暮だった。