愛には誤解が含まれている

2009年06月22日 18時34分00秒 | B地点 おかか

 

 

この日はなぜか、おむさんのお気に入りのリュックが無かった。
そこでおむさんは、不本意ながら、カメラバッグに乗っていた。いや、上半身だけ乗せていた。
「う~ん……これって、いまひとつだなあ」
「いつものリュックじゃないと、落ち着かないなあ」
「よし! 私に任せろ!」

「えっ?」
「お前のリュックを、探してきてやるぞ」

「ほんとですか!?」
……しかし、おかか先生はいつまでたっても帰って来なかった。
「先生、どこ行っちゃったんだろ? 心配だなあ」
「よ~し、先生を探しに行こう」
「ただいま。遅くなってすまんな」
「ほら、お前のリュックを持って来たぞ! ……あれっ? あいつ帰っちゃったのか?」
「……」
「ちょっと乗ってみるか」
「ん~」
「なかなか快適だなあ」
「あっ、先生ー!」
「し、しまった! 奴が戻って来たぞ」
「おかか先生! 僕のリュックを持って来てくれたんですね!」

「しかも、僕のために、温めてくれてたんですね……!」

「い、いや、実は、その……」

「先生は優しいなあ……!」

「よ、よせよ。照れるじゃないか……」
おむさんはこうして、お気に入りのリュックの上で、くつろぐことができたのだった。
「先生、どうもありがとう!」

「な、な~に。たいしたことじゃないさ……」
「……ちょっと誤解されたけど、まあ、いいよな」



『かなり実話』を参照されたし