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僕は、カメラのお兄さんの膝の上で、 |
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川を見ていた。 |
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「あっ」 |
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ちゃぷちゃぷ すいすい |
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「カモの親子だ……」 |
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「ヒナは……やっぱり三羽か……」 |
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ここには、何組か、カモの親子がいる。 |
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二日前には、この親子のヒナは、四羽だった。
※二日前(19日)撮影
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その前には五羽だったらしい。減ってしまったんだ。カラスにやられたのかもしれない。
※撮影日、同上
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そして、昨日、気付いたんだけど、 |
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また一羽減って、三羽になってしまったんだ……。
※前日(20日)撮影
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たまたま親とはぐれたのかな、だったらいいな、って思ってたんだけど。
※撮影日、同上
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でも、今見ても、やっぱり三羽だ。 |
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カモのヒナが生き延びるのも、難しいんだな……。 |
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あ~あ……。 |
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「私たちと同じだな」 |
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「えっ?」 |
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「お前と、私と」 |
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「それから、ほら」 |
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「あそこに、よっちゃんもいる」 |
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「なるほど」 |
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「僕たちも、カモのヒナ三羽のようなものですね」 |
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よっちゃんは、元気だ。 |
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僕たちは、よく一緒に過ごす。 |
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よっちゃんも、川面を見つめている。なんだか、寂しそうだ。 |
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僕たちは、カモのヒナ三羽と同じなんだ。たくましく生きてるし。 |
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以前の仲間は、いなくなってしまったし。 |
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「……そうだ! ねえ先生!」 |
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「僕たちがヒナなら、さしずめカメラのお兄さんが親ですね!」
「それはない。奴は頼りないからな」 |
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「……先生って、けっこうドライだなあ」 |