残香

2009年02月25日 17時13分00秒 | B地点 おかか

 

おかか先生の、このポーズ。読者にはもうお馴染みであろう。

そう。「崇高にして厳粛なる、生の営み」である。

くんくん
ガサガサ
「これでよし、っと」
「ただいま」

「あれっ? 先生……」
くんくんくん
「あ、あのう、先生」
「申し上げにくいんですが」
「何だか匂いますよ」

「ん? そうか?」
「……ふっ。彼女の香水の移り香かな」
「……」
「ノロケられちゃったよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


もどかしさ

2009年02月23日 18時11分00秒 | B地点 おむ

 

屋外で、猫の瞳がこれだけ円いということは、あたりがかなり暗いということだ。(撮影をカメラに任せると、このように明るく写ってしまうけれど。)
ほら、もう、街灯の明かりも点いている。
そう、実際の体感としては、このくらいの暗さである。夕暮れである。
「対岸の灯」も見える。
猫の瞳の中にも、小さな小さな星が光っている。
猫はじっと座っている。

この時間帯には、妙な気分になる。淋しいような、怖ろしいような。不安。それでいて、なぜか安堵。

「逢魔が時」という語を、このブログでは何度も使ったが……。



この「逢魔が時」特有の気分を表現しようと試みるのであるが、うまくいかない。この、もどかしさ。
 
 



しかも、このもどかしさが、当該の気分を構成する大きな要素の一つなのである。
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


どうでもいいけど

2009年02月23日 17時44分00秒 | B地点 おかか

 

野良猫の命のはかなさ、不確実さ。

今日はそこに居ても、明日私が行ったら、もう居ないかもしれない。そして、二度と会えないかもしれない。
だが、そういった危うさは、別に、野良猫に限ったことではない。
以前にも書いたかどうか ―― 昨年秋、兄の葬儀を終えて再びこの地に立ったとき、なんとも不思議な感覚に襲われたものだ。「兄は死んでしまったのに、この野良猫たちは生きている」 と。
その感覚が、「理不尽」を意味しているとすれば、それは、ニンゲンの命の確かさへの過信ゆえであろう。

命は、なべて、不確かで危ういものだ。
このことは誰にでも容易に理解できるが、体感・痛感する機会に恵まれることはあまりない。
野良猫の姿を見ていると、ニンゲンとの差異に於て、両者への視座を相対化できることがある。理解としてではなく、体感として。
さて、猫とニンゲンとの既成の価値布置を相対化するために有効な、かつお手軽な手法の一つは、「擬人化」である。
私が「擬人化」という手法をどうしても捨てられないのは、恐らく、その手法がここでのテーマそのものと殆ど不可分だからであろう。
この拙いブログのモチーフは「野良猫」であるが、もしも何らかのありふれたテーマがあるとすれば、(そして、それを優等生的に表現するならば、)それは「命一般überhaupt)の尊さへの訴求」・「生一般の素晴らしさへの賛歌」ということになろう。
こんなブログを続けていても、ばからしい。閉鎖したい。 ―― そういう気分にしばしば襲われるにもかかわらず、やめることができないのは、やはり、私なりに言いたいことがあるから、言い終えた気にまだなれないから、なのであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


危険な特訓

2009年02月21日 16時38分00秒 | B地点 おかか

 

「わ、わははは~っ」
おかか先生は今日も、にらめっこで負けてしまったのだった。
「……よし! 練習するぞ!」
「この顔、どうだ!?」
「どうだ!?」
「どうだ~っ!?」
ガクッ

「ううっ、表情筋が限界だ……」
ピクピクピク

「わ~っ、顔が痙攣する~っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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存在と差異

2009年02月21日 16時20分00秒 | B地点 おかか

 

おかか先生 出てらっしゃい
そんなところに 隠れてないで
僕と一緒に 膝の上
並んで乗れば 温かい

……おかか先生 逃げちゃった

日陰の方へ 行っちゃった

恥ずかしがり屋で 損してる

シャイで照れ屋の 先生は

甘えんぼなのに 不器用で……

なあに 私は ここでいい
ひんやり冷たい 土がいい
甘い香りの 草も好き
決して損など してないさ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ホワイトホールの前で待て

2009年02月21日 16時11分00秒 | B地点 おむ

 

追忍は小型のブラックホールを毛布の下に隠していた。
「ふふふ、オムイ、これでも喰らえ!」

ぴらっ
「……あ、あれ? 不発かな?」
「ふん。ブラックホールなら、こっちにもあるぞ!」
「喰らえ!」

ばっ
ゴーーーッ
「ぐ、ぐはぁーーーッ!?」

追忍は吸い込まれてしまった。
「いかん、オチも吸い込まれてしまった……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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存在と意味

2009年02月20日 17時36分00秒 | B地点 寄り目ちゃん

 

おむさんと一緒にいたよっちゃんが、

身を翻して、

水を飲む。

―― ただそれだけのことである。

殆どの人にとっては、どうでもいいことであろう。

が、私にとっては、意味のあることなのである。

おかか先生と一緒にいたよっちゃんが、
身を翻して、
水を飲む。

―― ただそれだけのことであるが、
読者にとって、何か意味のあることでありますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


負けない方法では勝てない

2009年02月20日 17時32分00秒 | B地点 おかか

 

「おい、にらめっこしよう!」
「えっ」
「先生のほうから挑んでくるとは……」

「ふふふ、今日は自信があるのだよ」
「負けない方法を考え付いたんだ」
ばっ

「こうやって、自分の目を覆ってしまうのだ! そうすれば相手の顔を見なくて済む!」
「どうだ、すごいだろ! わ~はっはっは~っ」
「はい、笑ったから先生の負け~」
「……」

 

 

 ※ スペシャルメニューにらめっこ を追加しておきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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とりあえず……

2009年02月20日 16時48分00秒 | B地点 寄り目ちゃん

 

抜け忍、オムイである。
そして、オムイを狙う追忍である。
今回の追忍は手強い。
オムイ探知レーダーを装備しているのだ。

ピコーン ピコーン
オムイは鳥に化けたが、追い詰められてしまった。

「ふははは、ゆくぞオムイ!」
バサバサーッ

「うッ? し、しまった!」
「……」
「トリ逃がしたか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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そして今日も

2009年02月19日 17時24分00秒 | B地点 おむ

 

おむさんである。ボランティアさんによる給餌である。
よっちゃんも食べている。
先に食べ終えたおむさんは、少し残した。
それを、よっちゃんが食べる。
おむさんは、よっちゃんのオデコに興味があるようだ。
よっちゃんも顔を上げた。



鼻と鼻とを、くっつける。

何ごとかを語り合っているらしい。
よっちゃんは、食事を続ける。
おむさんは、ノビをする。
そして今日も日が暮れる。