猫カフェ、廃業の危機

2011年09月05日 17時05分26秒 | B地点 おむ

 

 

喫茶店に行こう 17杯目

 
雨である ―― 。
こんな日でも、二人の喫茶店は営業中。
しかし ――

「……おい。もう店を閉めようと思うんだ」
「そうですね。今日はもう、お客さんは来ないでしょう」
「そういう意味じゃない。この喫茶店は廃業する、という意味だ」
「は、廃業!? 店をたたむんですか!?」
「断腸の思いだが……何しろ負債が数億円に達しているのでな……」

「じゃ、じゃあ、僕の三億円を使って下さいっ」


(※参照、「金銭上の悩み」

「それはできん! お前に甘えるわけにはいかん! 絶対にな!」
「金は、大事にしろ。銀行にでも入れておけ……」
「……」
「給料もろくに払えなかったが、今までよく頑張ってくれたな。ありがとう」

「そ、そんな……お礼なんて……」
ガクッ

「うううっ!」
マスターは、くずおれて、慟哭した。

「うう……ううううう……」
おむさんも、泣いた……。

「う、ううっ」
「いや……泣いてちゃだめだ……うまい方法がある筈だ……」
「そうだ! あの人に頼んでみよう!」

すたすた

おむさんは、いつぞやのお金持ちの所に行った。


(※参照、「給料は現物支給」

「おや、喫茶店のウエイター君じゃないか。何か用かね?」
「実は、かくかく、しかじか……」
「ふ~む。助けてやりたいが……私とて、億単位の金は出せん」
「僕が三億円出しますから、あなたは芝居を打って下さい!」
「ほほう、芝居だと? 詳しく聞かせて貰おうか……」

―― 30分後。

すたすた

「おいっ、マスター! 店は開いてるか?」
「い、いらっしゃいませ……」
「アイスのエスプレッソを出せ! もちろん金は払う!」
「は、はい」
「お待たせしました……」
「うまかった! 最高だ! よしっ、三億円払おう!」
「えええっ!?」
事情を知らないマスターは、三億円を受け取った。

―― そして、店を立て直した。
おむさんは、店のために全財産を投げ出したわけだが ――

しかし、微塵も悔いはなかった。