尾籠なる尾行

2011年09月01日 17時48分50秒 | B地点 おかか

 

 

名探偵ホおむズ 事件簿035

 
神出鬼没の大泥棒、アルセーヌ・ルパン
逮捕されそうになっても、きわどいところで逃げてしまう。
さしもの名探偵ホおむズも、そんなルパンには手を焼いていた。
「う~む。どうすればルパンを逮捕できるのか……」
そこへやってきたのは、ホおむズの相棒、ワトソンである。

「おい、ホおむズ! うまい手を思い付いたぞ!」
「うまい手だと?」

「うむ! ルパンを尾行すればいいのだ!」
「尾行? 尾行してどうする?」

「ふっふっふ。奴がトイレに入った時に、逮捕するのだよ!」
「誰だって、用を足している時は無防備だからな!」
「どうだ! うまい手だろう!」

「よし、やってみろ!」
―― というわけで、ワトソンはルパンの尾行を開始した。
「むっ? 誰かに尾けられているような……?」
「おっと危ない」

物陰に隠れるワトソン。
「気のせいか……」
再び歩き始めるルパン。

すたすた
やや離れて、尾行を続けるワトソン。
ガサガサ
「おっ!?」
「う、う~ん……」
「やった! 奴がトイレに入った!」
「……」
「わはははは! 逮捕のチャンスだーっ!」
ところが、まさにその時 ――

「……うっ!?」
「ううっ、腹が痛い! もよおしてきた!」
「我慢できないーっ!」
ワトソンも、慌ててトイレに駆け込んだ。

ガサガサ
「う、う~む……」
大急ぎで用を済ませたワトソンだったが ――

「はぁはぁ……ルパンはどこへ?」
もはや、ルパンの姿はなかった。

「しまったあああああ!」
がっくり