キクイモの花が咲く季節となった。 | |
おむさんは岸辺に座って、キクイモの花をじっと見ていた。 | |
するとその時 ―― キクイモの花が、おむさんに話しかけた。 「猫さん、猫さん、今日も元気そうね」 |
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おむさんは、びっくりした。 「えっ!? キクイモさんは、猫の言葉が話せるの?」 |
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「話せるわ。私は昔、猫だったのよ」 「ええっ!?」 |
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「キクイモに生まれ変わる時、神様にお願いして、この岸辺に咲けるようにしてもらったの」 | |
「そして秋になると、こうして毎日、あなた達を見守っているのよ」 | |
「そうだったのか……」 | |
いつの間にか、おかか先生が来て、キクイモとおむさんの会話を聞いていた。 | |
「う~む。キクイモに、あんな秘められた過去があったとは……」 | |
「美しいような、悲しいような、切ないような話だなあ……」 | |
「ああっ! 何だか涙が出てきたよ!」 | |
「あれっ、おかか先生。そこにいたんですか」 | |
「うっ、ううううーっ」 ぐすん ぐすん |
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