キクイモ物語

2011年09月13日 16時29分33秒 | B地点 おかか

 

 

キクイモの花が咲く季節となった。
おむさんは岸辺に座って、キクイモの花をじっと見ていた。
するとその時 ―― キクイモの花が、おむさんに話しかけた。

「猫さん、猫さん、今日も元気そうね」
おむさんは、びっくりした。

「えっ!? キクイモさんは、猫の言葉が話せるの?」
「話せるわ。私は昔、猫だったのよ」

「ええっ!?」
「キクイモに生まれ変わる時、神様にお願いして、この岸辺に咲けるようにしてもらったの」
「そして秋になると、こうして毎日、あなた達を見守っているのよ」
「そうだったのか……」
いつの間にか、おかか先生が来て、キクイモとおむさんの会話を聞いていた。
「う~む。キクイモに、あんな秘められた過去があったとは……」
「美しいような、悲しいような、切ないような話だなあ……」
「ああっ! 何だか涙が出てきたよ!」
「あれっ、おかか先生。そこにいたんですか」
「うっ、ううううーっ」

ぐすん ぐすん