売らなけりゃよかったのに

2010年05月13日 16時12分37秒 | B地点 おかか

 

 

課長 おむ耕作 ファイル13



どの業界も、生き残り競争は熾烈である。
ライバル社に猛烈に追い上げられて、社長おむ耕作は苦悩していた。
「うーむ、このままでは、ライバル社に負けてしまう……」
「なんとか、打開の途はないものか……」
「社長、おまかせ下さい!」

開発部長、おかか豊作である。
本物の四つ葉のクローバーの栽培に成功しました!」
「ん……? 本物、とは……?」
「幸福が来るというのは、これまでは、単なる伝承でした……」
「しかし! このハイテク四つ葉は、正真正銘、百パーセント確実に、幸運をもたらすのです!」
「す、凄いじゃないか!」
「ただし、商品は、これ一つしかありません……」
「これを十兆円で売り出して、我が社の起死回生を!」
「よし、それでいこう! はっはっはー!」

クローバーは売れた。

にもかかわらず……会社は、ライバル社に追い抜かれてしまった。

「社長、我が社はもう、倒産です……」
「い、一体、どういうわけだ!?」
「十兆円の売り上げがあったのに……?」
「幸運のクローバーを買ったのが……ライバル社だったのです」
「……」