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どの業界も、生き残り競争は熾烈である。 |
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ライバル社に猛烈に追い上げられて、社長おむ耕作は苦悩していた。 |
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「うーむ、このままでは、ライバル社に負けてしまう……」 |
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「なんとか、打開の途はないものか……」 |
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「社長、おまかせ下さい!」
開発部長、おかか豊作である。 |
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「本物の四つ葉のクローバーの栽培に成功しました!」 |
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「ん……? 本物、とは……?」 |
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「幸福が来るというのは、これまでは、単なる伝承でした……」 |
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「しかし! このハイテク四つ葉は、正真正銘、百パーセント確実に、幸運をもたらすのです!」 |
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「す、凄いじゃないか!」 |
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「ただし、商品は、これ一つしかありません……」 |
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「これを十兆円で売り出して、我が社の起死回生を!」 |
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「よし、それでいこう! はっはっはー!」 |
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クローバーは売れた。
にもかかわらず……会社は、ライバル社に追い抜かれてしまった。 |
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「社長、我が社はもう、倒産です……」 |
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「い、一体、どういうわけだ!?」 |
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「十兆円の売り上げがあったのに……?」 |
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「幸運のクローバーを買ったのが……ライバル社だったのです」 |
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「……」 |