幸せな犯罪

2010年05月25日 17時27分09秒 | B地点 おかか

 

 

名探偵ホおむズ 事件簿007



ジョン・オカカ・ワトソンは、上機嫌だった。
生まれて初めて、四つ葉のクローバーを見付けたからである。
「うむ! 今日はツイてるぞ」
「きっと、いいことがあるに違いない♪」

すたすた
そこへやって来たのが、シャーロック・ホおむズである。
「ワトソン! お前に用がある!」

「ん? 何だ、ホおむズ?」
「お前が犯人だ!」

「いきなり何を言うかーっ!?」
「ほほう? 身に覚えがないと?」
「当然だ。私は常に、清廉潔白だ」
「胸に手を当てて、考えてみるがいい……」
「さっき、クローバーの命を奪っただろう!」
「あ、ああっ!?」
「どうだっ! 罪を認めるか?」

「う、うう……」
「お前が犯人だな? そうだな?」

「そ、その通りだっ」
「ああ……確かに私は、クローバーを摘み取った……」
「かけがえのない命を、奪ってしまったああ!」
「なんてこった……」
「四つ葉のクローバーは幸運をもたらすというが……」
「私はかえって、不幸になってしまったあああ!」
「いや、それは違うぞ、ワトソン」
「お前は命の大切さに目覚めた。それは大きな幸福だ」
「う、うむ……」