「あの日」から2年がたっても、県民15万人が避難を続けている。たった2年か、もう2年か。あの時の政府、自治体、住民の判断は正しかったのか…。制御の難しい原発への依存が、今となっては苦い。
琴演奏家の馬場信子さんは3日、父母が育った南相馬市小高区を震災後初めて訪れた。避難した親戚、知人を励まそうとコンサートを開き、大好きな「相馬盆唄」などを奏でた。地震や津波の惨状も見た。2年の時が感じられない姿に、「行政は一体何をしていたの」と憤りを隠せない。国民の大多数は、原発被災地の今を知らない。
市の犠牲者は県内最多の1032人。1万7300人が市外に避難中で、126人は避難先が不明だ。震災後の転出者は6000人に迫る。7万1000人の人口が4万6000人になった。放射線に対する市民の不安は、かなり薄らいだように見える。しかし、内部に温度計すら取り付けられない原発が近くにあることが重くのしかかる。
避難した子どもが戻ってこない。市民が恐れるのは、活力をなくした20年後の超高齢化社会だ。岩手、宮城被災両県での復興のつち音を聞いて、「マイナスの状態をゼロに戻したい」と強く願う。
2013/03/09 09:02 福島民報・あぶくま抄
琴演奏家の馬場信子さんは3日、父母が育った南相馬市小高区を震災後初めて訪れた。避難した親戚、知人を励まそうとコンサートを開き、大好きな「相馬盆唄」などを奏でた。地震や津波の惨状も見た。2年の時が感じられない姿に、「行政は一体何をしていたの」と憤りを隠せない。国民の大多数は、原発被災地の今を知らない。
市の犠牲者は県内最多の1032人。1万7300人が市外に避難中で、126人は避難先が不明だ。震災後の転出者は6000人に迫る。7万1000人の人口が4万6000人になった。放射線に対する市民の不安は、かなり薄らいだように見える。しかし、内部に温度計すら取り付けられない原発が近くにあることが重くのしかかる。
避難した子どもが戻ってこない。市民が恐れるのは、活力をなくした20年後の超高齢化社会だ。岩手、宮城被災両県での復興のつち音を聞いて、「マイナスの状態をゼロに戻したい」と強く願う。
2013/03/09 09:02 福島民報・あぶくま抄