映画「ワルキューレ」を見てきました
これはヒトラー暗殺未遂という史実に基づき作られた映画です。
ワルキューレ作戦というのは、そもそも暗殺計画の呼び名ではなく反乱軍鎮圧用に作られていた既存のオペレーションでした。それを逆利用してヒトラー暗殺後の全権を奪おうというものとして実行されたのが今回の題材となった1944年7月20日の暗殺未遂事件です。
ヒトラー暗殺計画は、ヒトラーの政権奪取後、単独犯及び組織的なものを含めて少なくとも43回企てられています。その中でも、この暗殺未遂は史実上、重要なものであり、第二次世界大戦が終結すると作戦に携わった者たちは、特に反ナチス運動の実行者として賞賛される出来事となっています。
←トム・クルーズが主演です
【ストーリー】
第二次世界大戦下のドイツ。アフリカ戦線で左目を負傷したシュタウフェンベルク大佐は、“良心”と“忠誠心”の葛藤に悩んだ末、祖国の平和のためにヒトラー暗殺を考えるようになる。やがて画期的な暗殺計画≪ワルキューレ作戦≫を立案し、トレスコウ少将やオルブリヒト将軍ら、同志と着々と準備を進めていく―。そして、決行の1944年7月20日を迎えた。ヒトラーとその護衛たちを前に、大佐たちは計画を成功させられるのか…。
内容としてはよくできていたと思います
史実に基づき、正確に再現されているようですしストーリーの理解はし易かったです。史実の詳細を知らないで見るとこの先どうなるんだろうとドキドキしながら見ることができ、サスペンス性を帯びていた仕上がりになっていました。また、140分という時間は決して長いとは思わなかったのでおもしろく見れたとは思います。しかし、少々物足りなさが残る感覚は否めません。
わたしとしては、なぜワルキューレ作戦が成功しなかったのかをもっとクローズアップして欲しかったです。暗殺が未遂となってしまったのは、史実によると、突然の会議場所の変更、予定の2つの爆弾を使えなかったこと、カバンの位置をずらされてしまったこと、何人かは死んだのにヒトラーはほぼ無傷だったというヒトラーの悪運の強さなどの偶然が重なったことによるものであり、映画にもそれは描かれてはいるもののあっさりと描かれ過ぎていて気づき難い箇所がありせっかく描きながら勿体ないと感じました。もっと丁寧に描いてあればよかったのに。。
ワルキューレ作戦が遂行された後も、大きな混乱が描かれることはなく、知らず知らずのうちにこちらの方が追いつめられてしまったという感が強いです。これほど大掛かりなクーデターなのだから、双方において大きな混乱や焦りがあったはずなので、双方の息が詰まるような攻防や展開をもう少し丁寧に描いてあったらもっとのめりこんでみれる作品になったのではないでしょうか。
おもしろかったですが、そこが残念です
ところで、なぜこの作戦は「ワルキューレ」と名づけられたのでしょうか。わたしなりに考えてみました。
ワルキューレとは、北欧神話に登場する複数の半神。「北欧神話」の神であるオーディンに仕え、戦死者の魂を天上の神殿ヴァルハラへと導く乙女です。その天翔る姿は選ばれた者にしか見えず、それは死者の館を意味するヴァルハラへと導かれる事つまり戦死(「戦死者を選ぶ」)を意味するため、古い時期や一部の地域では死神に近いイメージで捉えられる事があるようです。散文や詩文では戦場で傷ついた戦士たちの前に舞い降りる幻想的な恋人として謳われるわれるようになり、現在最も広く認識されているイメージ、英霊を導く乙女として広まっています。
よって、そもそも内乱鎮圧のために用意されたこの作戦は前者の意味をもってつけられたのではないでしょうか。内乱を起こしたものには死を与える、ヒトラーがそう表現しているように思え、とても恐ろしく感じます。
とにもかくにも、このヒトラー暗殺未遂事件は史実として知っておくべき出来事であり、それを知るためにこの映画は役に立ちます。
この映画を通して、この史実に触れてみてはいかがでしょうか。
tomo
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