GAIA所員のひとり言

建築設計事務所の一所員の、建築はもちろん、社会の様々なことについてのひとり言。

飯倉にある「キャンティ」をご存知ですか?

2009-03-17 19:55:39 | Weblog
先日飯倉にある「キャンティ」というお店に行ってきました。
そこに1つ1,200円のモンブランがあるというのを聞き、そんなモンブランがあるの!と興味津々!!(このお店の他のケーキは500円ちょっとくらいにも関わらずモンブランだけ)。それは行くしかないでしょっ!ということで行くにいたりました。

「キャンティ」というお店。
実は私は今まで知りませんでした。。。
しかし知れば知るほど魅力的なお店なのでぜひご紹介したいと思います。

  ←暗くて見え難いですが。。。


「キャンティ」とは単なる一レストランの名称ではありません。
そこは"子供の心をもつ大人たちと大人の心をもつ子供たちのために"つくられた場所、著名・無名、年齢を問わず文化的な香りと雰囲気を求め来店した客たちと、オーナー夫婦が作り出す空間を指す、サロンとして誕生しました。
同店は、華族出身の川添浩史がヨーロッパ遊学中に出会った彫刻家の梶子と、本格的なイタリアン・レストランとして1960年、東京六本木の飯倉に開業。
店名はイタリアトスカーナ地方で生産される有名なワイン「キャンティ」です。

1960年当時、都内にはイタリアンレストランというものは皆無に近いそんな中、創業者の川添浩史と妻の梶子は、豊富な海外経験を元に、美味しい料理を供すると同時に、主人と客同士が語り合い、くつろげるヨーロッパ風のサロンを作りたいと考えました。
店の設計は、川添の友人で、ル・コルビジェの最後の弟子といわれる建築家の村田豊が担当。店内のインテリアは、かつて彫刻家を志し、エミリオ・グレコのモデルをしたこともある梶子が担当。
居心地のいい、まるで夫妻の居間のような店内には、開店当初から様々な作家、芸能人、デザイナー、文化人らが集まり、一流の大人たちの溜り場となりました。海外と接点のある日本人が稀有な時代、川添夫妻には海外の文化人との人脈や、ヨーロッパ文化の教養があり、上流家庭に生まれて散財できる立場にありながらも、伝統や肩書きなどに捉われない自由な人間性は、様々な人々に慕われました。彼らの存在はヨーロッパのエッセンスそのものであり、ヨーロッパ文化を知る人や憧れる若者が集まる店として日本の最新の文化を発信するメディアのような役割を果たす流行の発信地になりました。
三島由紀夫、黛敏郎、黒澤明、岡本太郎、小沢征爾、ロバート・キャパ、イブ・サン・ローラン、当時「六本木族」と言われた加賀まりこ、安井かずみ、かまやつひろし、萩原健一、まだ10代の松任谷由実など、有名・無名を問わず才能を持つ文化人、芸能人たちが集い、自由に席を立って交流し、同じ時間と空間を共有していたのです。

その雰囲気を現在も残す「キャンティ」は堅苦しくもなく、落ち着きのある店内に加え、気さくな店員さんがいらして、初めて行ってもなんとも居心地の良い素朴なお店。
おいしいさだけではなく、それを超えたお店の魅力はなんといってもそこに集う人にあるのだと感じました。
現在「キャンティ」に集う人は、開業当時集った人達と同じ気持ちでこのお店に集まっているに違いありません。人と人との繋がり、そして、交流、情報発信。いつまでもこのまま残っていって欲しいとそう感じるお店でした。


40、50代の方は特にこのお店にお詳しいとか。
開業当時を知っている方も知らない方もぜひみなさまお試しあれ☆
tomo
 
 
 

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