GAIA所員のひとり言

建築設計事務所の一所員の、建築はもちろん、社会の様々なことについてのひとり言。

映画「おくりびと」

2009-03-10 17:35:12 | Weblog

おくりびと」という映画を見てきました。
この映画は先日アメリカで行われたアカデミー賞で外国語映画賞を受賞したもので、一躍日本でそして世界で知られることとなり、ご存知な方も多いのではないでしょうか。

わたしはアカデミー賞を受賞してから見に行くこととなったわけですが、外国で認められる前に日本人としてこの作品の良さに気づいていたかったとつくづく感じてしまいます。そのくらい、この映画はすばらしいと思います

     

【ストーリー】
楽団の解散でチェロ奏者の夢をあきらめ、故郷の山形に帰ってきた大悟(本木雅弘)は好条件の求人広告を見つける。面接に向かうと社長の佐々木(山崎努)に即採用されるが、業務内容は遺体を棺に収める仕事。当初は戸惑っていた大悟だったが、さまざまな境遇の別れと向き合ううちに、納棺師の仕事に誇りを見いだしてゆく。


納棺師を題材にした映画ですが、全く湿っぽくありません。
それは、巧みなユーモラスさが練りこまれているからではないでしょうか。わたしは、まず冒頭で思わず笑ってしまいました
この笑い、ただただ面白いからというものではなくて、深刻なシーンの中で納棺の際の所作の美しさに見入っていた中でふと緊張の糸がとかれる感覚。このユーモアが単に笑わすだけが目的ではなくて、次の感動的なシーンの伏線となってるといえるのかもしれません。

納棺を行う際の「所作の美しさ」は非常に美しく、また強く描かれています。納棺師の「労働の現場」を、尊厳さえ感じられる程に、美しく描いているのです。人の「生」の本質と分かち難くある「働くという事」。
死者への敬意、遺族へのいたわり、つまり顧客(他者)の為の行為が、実はそのまま「美しさ」、つまり自己の誇りと尊厳の源となっている訳です。これは納棺師に限らず、あらゆる職業について言えるものです。
しばしば「労働」は、単純に「賃金」といった条件からのみ語られがちです。しかし、労働を巡る社会情勢が激変しつつある今こそ、この人間の本質的営みである「労働」とは、一体何を意味するのか、論じられるべきだと思います

山形の田舎の風景を背景に流れるチェロの美しい演奏がさらに演出を高めていて、素直にこの映画の世界へ入り込んでいくことができます

この映画、ぜひとも見ていただきたい一作です!!
日本人の忘れかけた、忘れてはいけない思いがこの中には詰め込まれていると感じられます。
この日本人の心が外国で支持を受けたことに心から感動すると同時に、とても誇りに思います。

ぜひぜひご覧になってみてください!!!
tomo

 

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