知らないって恐ろしい!ルース・ベネディクトの「菊と刀」に記された「恥の文化」って、武士道文化の分析書だとばかり思っていました。
だって、僕の耳に届いてくるくらい、評判が高いのに。
山折哲雄著「さまよえる日本宗教」には、「菊と刀」は完全に論破されていると書かれていて、、、
紹介されていた一冊は「『恥の文化』という神話」だったので、早速借りようとしましたが、、、
県図書には蔵書がなくて💦市立図書館では貸し出し中、予約をしてやっと手にして読みました。えっ!ルース・ベネディクトの言う「恥の文化」とは、「日本人は恐ろしい良心を持っている」「自分の行動を他人がどう思うだろうかを恐ろしく気にかけ、他人に自分の不行跡が知られない時には罪の誘惑に負かされる」、道徳の絶対基準を持たず、罪の意識を持たない故に、「悪い行いが『世人の前に露頭』しない限り思い煩う必要ないという文化」だと書いているんです!!
その「菊と刀」は、1946年、終戦直後に出版されているのですが、コロンビア大学の助教授だったルース・ベネディクトは、共産主義者の疑いをかけられ、LTP、HAUC、さらにFBIなどの審査の対象で取り調べを受けたというのです。
しかも大学では育ててくれた恩師を失い、全く先がない中で出版したのだとか。
ベネディクトは1940年の「人種―科学と政治」で、白人優越主義を自己批判を込めて執筆しているそうですが、いつの間に路線変更したのか?
その後、彼女はUNESCO設立に関わるなどの活動を続け、1948年にコロンビア大学正教授に任じられるのですが、二か月後、ニューヨークで急死する。
これだけの大ベストセラーを生み出しながら、、、、
日本人は罪の意識を持たない、良心を持たない、恐ろしい良心を持つと断言したベネディクトは、アメリカ人は道徳意識にもとづく罪の文化を有しているとしていますが、、、
アメリカ社会の犯罪率、先住民族を蹴散らしながら建国した歴史、正義の民主主義を掲げて世界に戦争を拡散した歴史などなど、現実は真反対!?
アメリカの社会学者ダグラス・ラミスは「内なる外国~「菊と刀」再考」で「ベネディクトが書いたのは「文化の型」でも何でもなく、国家が後押しするイデオロギーだったと。
イギリスの歴史学者のニール・ファーガソンは、大戦前から「アメリカはアジアに於いて自国利益を追い求める半面、他国には(ヨーロッパを含む)侵略反対を主張する姿勢を築き上げていた」と記し、イギリスの政治家チェンバレンは「下劣な国でいつもいいとこどりばかりしている」と見下していたと書いていると。
アメリカの人類学者クリフォード・ギアツは、「菊と刀」は異文化研究、文化人類学研究ではなく、「ガリバー旅行記」やモンテスキュー、ヴェブレン等の著作と同等のものとして読むべきだとしている。
それは日本にも紹介されているのに、いまだ「菊と刀」を優れた日本人論、文化人類学の名著として担ぎ上げる人がいるのだとか、確かに!レビューはそうかな?
紹介するときりがないのですが、仏人人類学者エマニュエル・トッドは「米は至る所で悪を告発するが、それは米が思わしからぬ行動をしているから」という至言。
ベネディクトの日本の独善性批判は「東アジア、東南アジアの白人支配に異を唱え、それを脅かす日本はけしからん」と言っているに過ぎないと、そうかも。
最後に、イギリス人のロイター記者ヒュー・バイアスは、戦時の日本と日本兵の所業を断罪する一方、日本人は親切で礼儀正しく、社会的平等の作法を持つ、そして日常生活では正直であると書いているのだとか。
見る人は見ている、評価している、嬉しいですね。清く生きたいものだと思いました。