キキリ・キキリ・キキリ

-北海道の昆蟲と自然-

北海道の昆虫の写真を中心に、身近な生き物や自然を紹介しています。

今年の目標ゾウムシBEST3! 「第2位」

2008年06月14日 | ゾウムシ科など
「変な名前の珍しいゾウムシ」



林道を歩いていてホオノキの花が咲いていたならば、是非注目して頂きたい。
その花には全国的に分布するも、
まだまだ記録の少ないゾウムシが採れるかもしれないからだ。



6月9日

早起きして仕事現場へ行く途中の一度も入ったことのない林道を走ってみた。
特別な意図もなく、ミズキやナナカマドなどの花が咲いていれば何かしらハナカミキリ類が撮れるのではないかと思った程度であった。

林道の入り口から1kmほど車を走らせると初めに目に付いたのがホオノキの花であった。
通常は高所につけるホオノキの花が、目線の高さに数個咲いていた。




カミキリ狙いではあまり相手にしない花であるが、
一瞬、ある珍しいゾウムシの名前が思い出されたのだ。




花の下からネットをあてがい、優しくトントントンと叩いてやる。
すると、コロッと虫が落ちてきた。
ネットの中を覗くと・・・、そこには例のゾウムシが入っていたのである。

それが、これだぁ!



イボイボアナアキゾウムシ[Paramecops granulatus]


インパクトの強い名前であるものの外見は至って地味なこのゾウムシは、
本州、九州に分布し、最近、北海道からも記録された。
ホオノキの集果に産卵する習性のため非常に得難いとの事。
しかし、運良く目の前に現われた背が低く元気な花を沢山つけるホオノキに遭遇し、
突然、イボイボオーナーになってしまった。
生粋のゾウムシ屋でないので、どれくらい珍しい虫なのかはわからないが、
ただ単純に初めて採って嬉しかった。

とりあえずこの日はこの樹で1頭ゲットであった。



6月10日

高所に生息するゾウムシはその生態をカメラに納めることは難しい。
しかし、昨日の場所なら生態を目の当たりにできるかもしれない・・・と思い、
一仕事終えた後、再び昨日のイボイボポイントに向かう。


ホオノキは一つ一つの花の開花時期が微妙にずれている。
まだ蕾もあれば散ってしまった花もある。


上の写真は、咲いて間もない花。



散りかけの花はご覧の通りで、花びらは水平なぐらいにまで開き、
おしべと思われるものが殆ど落ちてしまっている。
この写真の花は前日イボイボ君が落ちてきた花と同じである。

集果に産卵する習性があるとの事なので、花を真上から見れば見つかるのだろうと思っていたのだが、念のため真下から花を見てみると・・・



なんかいるイボ!



間違いないイボよ!


なんと、がく片に齧り付いている様だ。
この後、手づかみでイボイボを採集し、痕跡を確認してみた。




がく片の付け根をガリガリ齧っていて産卵行為とは思えない。
勝手な想像だが、集果が大きくなるまでは、
こうやって後食しているのではないかと思う?

結局、この日も同じ樹の同じ花から1個体得たのみ。
やはり、数も少なく珍しいゾウムシであるという印象を得たのであった。






次回、「第1位」はどんなゾウムシでしょうか?
可愛いゾウムシですよ