ひとりの女性の名がどうしても思い出せません。
身も心も美しい人でした・・・といっても今の人ではなく、古代ギリシャの女性哲学者。
すっきりしたいので、本棚から文庫本を取り出して調べてみました。
文庫本の上巻に、中下巻も含めた人名目次がついています。
タレス、ソロン、キロン・・・と始まる上巻には、それと思しき名前はありません。
中巻に入ってアリストテレス・・・ディオゲネス・・・ヒッパルキア・・・この人だ!
これで気がついたのですが、男性の名前の最後にはスかンがつきます。
ソクラテス、ピュタゴラス、ヘラクレイトス、パルメニデス、デモクリトスなどなど。
一方のン派は、プラトン、パイドン、クリトン、ソロン、ゼノンなどなど。
計82名の中の紅一点は、スでもンでもなく、ア。
それがわかっていれば、お尻がアの人を探したのに・・・お尻フェチか、わたしは。
そういえば、ギリシャ神話でも、レア、ヘスティア、ペネロペイア、メディアなどの女神がいます。
聖母マリア。命名のルールみたいなものがあったのでしょうか。
アでなくとも、ヘラ、アテナ、ヘレネ、パンドラ・・・母音で終わる名が多いようです。
母なるものの名にふさわしい?
ディオゲネスの弟子にクラテスという人がいました。
ディオゲネスは、日向ぼっこの邪魔だからそこをどいとくれ、とアレクサンダーに物申した人です。
その弟子ですから、クラテスもまた富も名誉も望みませんでした。
「幸せ」と人がいっているものは、虚栄心が手に入れた虚しいものである。
クラテスも恥だの外聞だのを気にすることなく、自分の欲望に打ち勝って自然に生きようとした人。
なのですが、見かけは容貌も体格も貧相だったといいます。
男は見かけが9割。でも、それが何なのさ、と夫に選んだのがヒッパルキア。
言い寄る数多の男には目もくれず、彼と一緒になれなければ死んじゃうわ!
また、不正ということについて男を言い負かした逸話が残っています。
女は家にいて奥ゆかしくあるべし、という時代。
それが、夫と一緒に酒を飲んだり、人前で夫と愛を交わしたり・・・。
今風にいえば、かなりぶっ飛んだ女性ではあったようでした。