「文化」と聞いて真っ先に連想するのは、わたしの場合は「文化住宅」。
20代半ばの頃、大阪で2年ほど暮らした時に、はじめてこの言葉を耳にしました。
文字通り、文化的な住宅、という意味なのでしょう。
とはいっても実体は、木造2階建ての棟割アパートです。
どこが文化的かというと、各戸にそれぞれ台所と便所がつくところ。
それまでのアパートや長屋は、台所や便所を共同利用していたことを思えば、たしかに文化的?
経済成長が始まった頃、今のマンションの前身ともいうべき共同住宅だったのでしょう。
関西の不動産業者が「文化住宅」として売り出したら、あっという間に広まったそうです。
文化鍋、文化包丁などと言うのも関西発らしくて、関西人は文化がお好き?
この「文化」という言葉、てっきり明治の頃の造語か翻訳語かと思っていました。
造語だとすると、文明開化を縮めて、文化にしたとか。
でも、たしか文化・文政という年号が江戸期にあったよな、ということはそれまでもあったわけだ。
せっかくの文化の日なので、調べてみました。
漢語としての「文化」は、文治教化の意味で古くから使われていた、とあります。
文治教化とは、刑罰や威力を用いないで導き教えること。
文治教化ねえ、文化・文政の年号とどこかでつながっているのでしょうか。
ついでに調べてみたら、滑稽本、俳諧、川柳、浮世絵など町人文化が栄えた時代。
徳川家斉の治世下。いまよりはるかに文化的? いまは文治教化より軍事強化がお好き?
今使われる「文化」は、やはり明治の頃の翻訳語で、英語のCultureにあてたようです。
Cultureのもとはラテン語のculturaで、耕作する、育成する意味。
文化的な暮らし、などというように、西欧的とか近代的とか意味合いで使われます。
一方、教養を身につけるために心をやわらかくすること、という意味もCultureにはあります。
「文化の日」としては、こちらがよりふさわしいかも。
でも、教養がまるっきし欠けていますからねえ、わたしの知っているアベ君は。