食農ステイション

食と農に関するお話しを徒然なるままにいたしましょう。

地産地消の意義とはなんでしょう? その1

2005年06月08日 | 食と農
いま,地産地消に関する論文を書いています。
そのため,このブログの更新も滞っております。ご勘弁下さい。

さて,論文の中心部分をなすものは,地産地消の意義について明らかにすることです。
でも,これが結構たいへんなんです。

地産地消の現象形態として,農産物直売所,学校給食への地元食材の提供,食品産業との連携などがあります。それぞれの対象によって意義も少しずつ異なるのです。

農産物直売所の場合は,第1に遊休農地や耕作放棄地などの活用,山林管理への貢献,傾斜地の土壌流亡の防止などにおける役割を指摘できます。農産物直売所に出荷する農林産物や加工品の原料を調達するために,農業者が見放していたり管理がおざなりになっていた地域農林業資源に手を入れることでそれらは息を吹き返します。つまり,農産物直売所は農林家と地域農林業資源とを結びつけることに大きな役割を果たしているのです。

第2に,地域社会関係に果たす役割として,生産者(出荷者)間の交流,農家と利用客との交流,高齢農家の自立や生き甲斐,女性能力の発現などがあげられます。ただし,生産者が店先にあまり顔を出さない大規模農産物直売所では,利用客との交流は限定的なものとなります。また,地域の仲間づくりを目的の一つとしている中山間地域の小規模農産物直売所では,地域住民の紐帯を強める大きな役割を果たしている。そして,多くの農産物直売所は女性の力によって運営されていることも大きな特長です。

第3に,地域経済に果たす役割として,農業所得の増加,中でも女性や高齢者の個人所得の獲得,雇用の場づくりなどによって,地域内の財貨の循環が活発になることが指摘できます。地域経済活動の活発化への貢献としては,大規模農産物直売所の方が小規模農産物直売所よりもインパクトは大きく,消費者にとっては安価で良質な生鮮食品が持続的に提供される場となっている。農産物直売所は既存の卸売市場流通システムと異なるもう一つ別の流通を形成していると言えます。

本日はこのくらいで失礼します。