食農ステイション

食と農に関するお話しを徒然なるままにいたしましょう。

地産地消の意義とはなんでしょう? その2

2005年06月10日 | 食と農
地産地消の論文執筆も一息つきました。といっても,粗稿ができた段階です。
いやはや今回は難産でしたね。これからは安請け合いをしないようにしなければ....。

さて,前回の続きで,きょうは学校給食における地産地消の効果について綴りましょう。

調べてみますと,学校給食における国内産小麦の利用は,2004年度では29の道府県で取り組まれています。その取り組みの中心になっているのは各道府県学校給食会です。さらに,市町村レベルでも52の市町村が地元産や国内産麦を利用したうどんやパンを学校給食に供給していて,そのうち18市町村(35%)が北海道で取り組まれています。

このほかに,学校や給食センター単位で地場産野菜を食材として扱っているところは多いことでしょう。

学校給食における地産地消の効果として,第1は,給食は児童・生徒とその家庭の食生活に及ぼす影響が広範で強いことが指摘されていますが,食習慣が児童・生徒の身に付く大事な時期に教育の場で食教育が行われることの意義は大きいと思います。
そして,給食を通じて,地域の農漁業が生み出す食べ物の味や香りを児童・生徒に経験させて,味覚を働かせるための方策として地産地消の効果はとても大きいと思います。


第2は地域経済への効果です。2003年5月現在の完全給食を受けている小学生は706万人,中学生は257万人です。年間の平均給食回数は小学校188回,中学校184回ですので,それら児童・生徒への年間延べ給食数は18億食,原材料費で4,300億円(推計)にもなります。

もし,食品製造企業が学校給食に食材を提供できれば,自社の味付けや商品を刷り込める魅力的な商機となるはずです。未来の消費者でもある児童・生徒への長期的なマーケティング戦略として学校給食を位置づけることも可能でしょう。農協や漁協そして地元の食品企業にとっても,同様に地産地消の食材供給システムを構築する必要があるのではないでしょうか。


ただ,学校給食に関わる人達は,給食を受けている児童・生徒とその保護者,そして給食運営に携わっている栄養士,調理員,教師,農業者,食品加工業者,流通業者,県及び市町村学校給食会の職員など多くの人が関わっています。このことは逆に地元産の食材を給食に使用するには多くの人の協力や理解がないと困難なことを示しています。

本日はこれまで。