「ヨン様、いらっしゃーい！」・・・

　２７日、アニメ『冬のソナタ～もう一つの物語』の宣伝のため、ペ・ヨンジュンとチェ・ジウが来日したらしい。空港にはヨン様を一目見ようとファンのオバサマたちが殺到して大騒ぎだったという。こういう光景をテレビで見ていつも思うのだが、カメラを向けられても物怖じすることなく、むしろ自慢そうに、また、今にも泣き出さんばかりに興奮してしゃべるオバサマたち、ご自分の姿が日本全国に流れていることが分かっているのだろうか。いい歳をして恥ずかしくないのだろうかと…。（ゴメンナサイ）　
　そして２９日には、東京ドームで放送開始記念イベントが開催され、その様子がワイドショーで放送された。ペ・ヨンジュンとチェ・ジウの２人が舞台上で抱き合った時には場内から絶叫と大きなため息が聞こえ、なかには失神したオバサマたちがたくさんいたとか。　
　『冬のソナタ』はあんまりみんながさわぐので、何回目だったか１回だけチラッと見たことがある。でも、ヨン様の顔を見ただけで「あっ、いいや」とすぐに消した。どうも、あの手の女みたいな顔の男は好きではない。だから、ヨン様見たさに殺到するオバサマたちの気持ちはまったく理解できないのである。

　私が韓流ドラマを見たのは、何年か前の年末に、ＮＨＫで放送された『宮廷女官チャングムの誓い』の総集編が最初である。宮廷建築や女官たちの衣装の華麗さは、日本の時代劇の「大奥」など比べくもなく、その美しさとストーリーの壮大さにすっかり魅了された。また、正月に『ピアノを弾く大統領』をいう深夜映画をみて、意外とアメリカナイズされたおしゃれなストーリーに、ちょっと韓流ドラマを見直す気持ちになった。
　昨年、ＢＳが映るようになってから数多くの韓流ドラマが放送されているのに驚き、だからみんなよく知っているのだなと合点が行った。
　ある日、番組欄で火曜日夜８時から『BADLOVE～愛に溺れて～』という新番組が始まるのをみて、その時間帯は他に見る番組がなかったのでちょっと覗いてみた。日本のドラマだったらとても見る気にはならないようなクサイ純愛物語だが、出演している俳優の第一印象がよかったので、とうとう最終回まで見てしまった。
　それと同時期に、ＮＨＫで再放送された『スポットライト』、これはテレビ局を舞台にしたドラマだが、これもなかなかおもしろかった。だが、やはり韓流ドラマは韓国王朝時代のものに限る。今はＢＳ２で日曜日９時から放送の『イ・サン』にすっかり魅せられている。主演俳優はイケメンというわけではないが、爽やかな雰囲気をもった好青年で、先日、鳩山総理夫人と対談した様子が放送されていた。

　一昨年、韓国と済州島へ旅したときは、参加者のほとんどが女性で、それも５０～７０代過ぎというババご一行様。漏れ聞いたところ、彼女たちのお目当てはヨン様を始め韓国の人気俳優のグッズを買うことだという。済州島では、２００５年４月にＮＨＫで放送された『オールイン』のロケがあった「済州島国際コンベンションセンター」へ行くと、みんな大騒ぎ。
　
　写真のように最上階のカフェの窓際に大きなデスクとイ・ビョンホンの等身大のパネルが置いてあり、一人ずつその横の椅子に座って写真を撮るのである。無料ではなかったと記憶しているが、みんな先を争って行列に並ぶのには驚いた。そして同じフロアには人気俳優のポスターやカレンダーなどが展示してあり、７０歳過ぎたような人が目の色を変えてお目当てのグッズを漁るそのパワー、もう脱帽である。　
　ソウルでは、お買い物タイムの自由時間になると、みんな張り切って街中に消えていった。そして、集合時間にバスに戻ってきた時は、お目当ての俳優のポスターやカレンダー、Ｔシャツなどたくさんの買い物袋を提げており、車中で見せ合ったりして本当にうれしそう、このときばかりは歳は関係ないみたいである。
　また、みんな韓国俳優の名前をよく知っているのには驚いた。私は名前と顔が一致して分かるのはヨン様くらいで、顔は見たことがあっても似たような名前で覚えられない。もっともそれほどたくさんのドラマを見ていないし、覚えようという気もない。

　こうやって自分のお気に入りの俳優に熱を上げて、韓国まで“追っかけ”をしたり、空港へ出迎えたり、グッズを買って幸せな気持ちになれれば結構なことである。が、俳優とはいえ他の男性に血道をあげている自分の妻を横目でみながら、すねたり、いじけたりしているご亭主もいるだろうに…、と思うとおかしくなる。