口先三寸の橋下政治・・・

　日本維新の会代表の橋下大阪市長らは６日、アメリカ軍の新型輸送機「オスプレイ」の訓練を大阪府の八尾空港で行うことを安倍内閣に提案した。オスプレイの訓練移転は普天間配備への反発を和らげるため、昨年９月の日米合同委員会で決まっていることでもあり、安倍首相は仲井真知事に「県外に移せるよう努力する」と約束した手前、橋下氏の提案を歓迎、防衛相に訓練地としての適否を検討するよう指示するくらいのパフォーマンスは必要だったろう。
　オスプレイの訓練とは、「ヘリコプターモードもしくは短距離滑走で離陸後、固定翼機モードに転換し、沖縄本島北部の訓練場などを目指し北上。ジャングルの中の離着陸帯でホバリングを繰り返したり、機体から下げたロープに兵員がつかまる、戦場さながらの状態で飛行したりといった訓練をして普天間に戻る…。」というものらしい。
　こんな訓練が八尾空港でできるのか。橋下氏は自身のツイッターで、「大阪の八尾空港でオスプレイ訓練を受け入れることができるのかどうか、僕らが判断できるわけない。これは日米両政府の仕事。だから僕らは検討して下さいね、と要望した。検討して下さいの声を本州の自治体から声を上げなければ、永遠検討は始まらない。そして沖縄の負担は軽減しない。
　検討した結果、ダメな場合もあるだろう。検討した結果、賛否を論じれば良い。八尾市長も、検討する前から反対って、何を根拠に判断したんだ？　今重要なことは、沖縄県以外の自治体で、沖縄の負担軽減について具体的に検討すること。総論や抽象論はいらない。必要なのは具体的な検討だ。」と述べている。
　八尾市長は何を根拠に反対と判断したのかというならば、橋下氏はどんな権限があって、何を根拠に八尾空港の名をあげたのか、説明すべきでは？　本州の自治体から声を上げなければというのは分かるが、ただ検討してくださいと声を上げただけで、検討してダメな場合もあるだろうでは、あの鳩山元首相と同じで無責任極まりない。鳩山氏は具体的な見通しもないまま「普天間の県外移設」をぶち上げ、沖縄県民に大きな期待を抱かせた。が、結局は、寝た子を起こしておきながら「できませんでした」で、沖縄県民の失望と怒りを買い、さらには日米関係をギクシャクさせたのではなかったか。あの当時、大阪府知事だった橋下氏は「普天間移設を大阪で受け入れる」と発言したそうだが、それもいつの間にかなかったことになったという。また沖縄県民に期待を抱かせ、失望させるのか。
　今回の提案は松井氏も橋下氏も行政の長としてではなく日本維新の会としての発言だという。だが「政府が八尾空港と決めたら、全力で私と松井氏が地元を説得する」というのは行政の長としての発言に聞こえる。八尾市長の頭越しに、八尾市民にひと言の説明もないまま政府に提案するとは、橋下氏にそんな権限があるのだろうか。
　行政の長か、政党の代表か、どちらとも分からないあいまいな立場での発言は内外に混乱を招くだけでなく、国益を損なうこと大である。それほど外交問題に口を挟みたいなら市長を辞めて国会議員になればいい。が、もう彼への信頼は地に落ちており、参院選でアントニオ猪木氏を公認したことをみても衰退する日本維新の会の焦りが見える。　　

　オスプレイ訓練受け入れ発言は橋下氏自身の汚名挽回を狙ったものだろう。在日米軍に風俗業の活用を勧めた発言については、日本でも「風俗」といえばほとんどの人が売春・買春を想像するだろう。ましてや、米兵の性的エネルギーをコントロールしてほしいと風俗を勧めたということは、明らかに買春を勧めたことになる。が、それでも橋下氏は「買春を勧めたわけではない」と言い、ひとまず米軍とアメリカ国民には謝罪と発言の撤回をした。が、沖縄の人々や風俗業に従事する人たちを侮辱したことについての謝罪は一切ない。どんなに詭弁を弄しても彼の立場が好転することはないだろうが、先ずは謝罪すべきであろう。

　橋下氏は今もツイッターで、自分を批判する人に対して「バカ」を連発、強い言葉で罵倒し自分を正当化しようとしている。一度に３０回も４０回も書き込みしているそうだが、それについても批判が殺到しているという。彼が何かを発言するたびに事態はますます悪化し、悪循環を生んでいることに気付いていない、かわいそうな「裸の王様」だね。

　舌先三寸で登りつめた階段も、その舌先三寸が仇となって急落……？ 「物言えば唇寒し秋の風」、しばらくは謙虚に反省する姿勢を見せることが一番だと思うのだがネ。