平成26年8月18日 時事通信
農林水産省-農村集落のネットワーク化推進=連携して生活インフラを維持
農林水産省は2015年度、複数の農村集落が連携して広域ネットワークを形成する取り組みを推進する方針だ。
生活に必要なインフラを維持するのが狙いで、全国約100カ所を対象に、住民による集落連携計画の作成経費や買い物支援サービスの立ち上げ資金を補助する。
同年度予算概算要求に関連経費を計上する。
農村部は人口減少が都市部よりも深刻。特に山間の農業地域では、総農家数が5戸以下に落ち込んだ集落の割合が00年の15%から10年には24%に急増している。
過疎化した集落では、耕作放棄地が増えているほか、商店やガソリンスタンドといった生活に必要なインフラが減少。集落の消滅と農地の荒廃が危惧されることから、複数の集落が連携して生活インフラを守る政策を進めることにした。
具体的には、人口が比較的多く、施設が集まる中心的な集落を「基幹集落」と位置付け、基幹集落と徒歩圏内の周辺集落が連携してどのような活性化策を行うかを定めた連携計画を作成。作成に当たっては、地域おこしに関する専門知識を持つアドバイザーを派遣して助言する。国の費用負担で住民による先進地域への視察も行い、意識を高めてもらう。
また、買い物支援サービスへの補助は、商店の減少で食料を買うのも困難な「買い物弱者」が増加している集落で、集落営農組織やNPOなどがサービスを実施するケースを対象とする。長距離を歩くのが難しい高齢者らに必要なものはないか声掛けし、買い物を代行するサービスや、移動販売車の導入などを想定している。
こうしたサービスは、都市部では民間企業が参入して成功を収めているが、農村部では事業を維持するのが容易ではない。そこで、農水省は立ち上げ資金だけでなく、事業が軌道に乗るまでの運転資金を数年間にわたって補助する方向で検討している。徐々に補助額を減らし、自立を促したい考えだ。
農水省は、将来的には、国土交通省や総務省と連携し、集落間をコミュニティーバスで結んだり、ICT(情報通信技術)を活用したりして人や情報の行き来を増やす。基幹集落に公民館や郵便局、農産物の出荷拠点などの機能を集約することで、生活に不便を感じた住民が都市に流出する事態を回避したい考えだ。