ぼくは くまのままで いたかったのに・・・
イエルク・シュタイナー 文
イエルク・ミュラー 絵
大島 かおり 訳
ほるぷ出版
一匹のくまが森に住んでいました。
冬がきて冬眠をして 春になり穴から出てきたくまはあっけにとられます。
森がなくなっていて、大きな工場になっていたのです。
くまの前にあらわれた人間の所長に
「とっとと 仕事につけ! 怠け者め」と どなられ
くまは 「ぼくは くまなんだけど・・・」 と言いますが信じてもらえません。
工場で働かされ、人間のようにふるまう くま
やがてふたたび冬が訪れ、どうにも眠たくなったくまは
木をゆする風の音を聞きながら
「何か、大切なことを 忘れてしまったらしい」と考えて・・・。
この絵本は1978年に出版されたものです。
当時、子どもに毎晩読み聞かせをしていたのですが
「変身ごっこ」に夢中だった幼い息子は このやりきれない変身に
子どもなりにですが 自分が自分でなくなる哀しさを感じたようです。
むろん、自然破壊の問題や社会風刺が理解できたわけでは
ないのですが・・・。
今朝、新聞を読んでいたら
< パンダゾウの悲哀>というコラムが掲載されていました。
パンダだゾウ!
「パンダゾウ」の写真をみた。
タイの古都アユタヤの観光施設でパンダに似せて白黒に
塗られたゾウである。
パンダ人気にあやかっての演出らしい。
まあ、人間さまの勘違いだろう。 (略)
きょうも各地の動物園で子どもの歓声がゾウたちを包むだろう。
ありのままの姿で、それだけで人は感動するものを。
「パンダゾウの悲哀」と見出しのついた記事は
>ゾウの目は笑っていなかったと結ばれている。
このニュースと「ぼくは くまのままで いたかったのに・・・」は
問題とするところが少し違うけど・・・
まっさきに この絵本の記憶が甦りました。
絵本のくまも 写真のゾウも
とても哀しそう
にゃんは にゃんらしい目をしているね。
動物がみせてくれるしぐさはとても和む