ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

成功事例.2 協力会社の提案が革新を生む

2005-06-28 | ISO成功法
 縦割りの開発体制、部門別の責任体制では、新製品にトラブルが多く、品質問題が顕在化しない。技術進歩の激しい時代には、組織の総合力を活かす部門間連携や外部ネットワークの活用がないと技術は陳腐化する。
 
新製品開発で大幅なコスト低減と品質向上を達成したE社の事例を紹介する。
1)E社の従来の問題点
部品メーカE社は大手納入先のコスト低減および厳しい品質要求の対応に追われている。このような会社は、納入先の指導で一応の管理体制はあるが受身体質でもある。この体質を改善するため納入先の開発計画と別に新製品開発プロジェクトを立ち上げることにした。
2)プロジェクトの裏話
 プロジェクト発足時、コスト低減と品質向上の目標を設定した。目標は、従来の製品原価の1/2,品質は開発完了時点で世界一、手直し、クレームは従来の1/2と設定した。
 目標設定後、設計、生産技術、製造などの部門で改善案が出されたが、どれも目標達成は無理というものであった。経営者も諦めかけていたとき、購買部門が外注先のVE提案から未実施の提案を集め、材質の変更などを加え目標コストが達成可能な案を提出した。従来、提案が採用されなかったのは、品質問題の発生の心配から設計に反対されていたからである。
 そこで、コストダウン案が実施された場合、予測される品質問題は何か、その予防のための試験方法を含む品質保証の計画を検討した。この検討をCR-QA表(コストリダクション-品質保証)にまとめた。これは、設計品質および生産技術の検討を製品開発の各段階で行うのに役立った。CR-QAはコストダウンを目的として品質保証をするという逆の発想である。しかし、このために確実に品質保証ができたことも事実である。
3)プロジェクトの成功要因
(ア) 厳しい目標設定により、不足技術や品質保証を計画することができた。
(イ) プロジェクトには全員が参加した。特に計画段階に全部門が参画した。
(ウ) プロジェクトは多少遠回りをしても、品質保証のルールに沿って進めた。
(エ) 他製品事業部でも同種プロジェクトを進め全社的プロジェクトになった。

これらの活動により、品質、原価共に目標を達成した。また、手直しおよびクレームは目標の1/2に対して1/10と目標を達成した。これは、CR-QAという品質保証を計画段階から検討したからである。    
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