ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

解析と展開

2007-04-18 | ISO外論
問題解決のアプローチには2種類あるといわれる。
解析的アプローチと設計的アプローチである。
解析的というのは、結果から原因を探すことである。原因のその原因と真の原因に行き着くまで解析を繰り返す。
設計的とは、目的を達成するための手段を考え、その手段を目的とした時、その手段はなにか、目的、手段を繰り返す。時に手段から目的を見直すこともある。人工知能:AIの方法と同じく展開と逆展開があるようなものである。

また、解析的アプローチが原因を深く掘り下げていくことに対して、設計的アプローチは目的追求型で全体をとらえる方法といえる。
品質管理で設計的アプローチが使われたのは、VE:価値分析の手法の応用として、1970年頃の三菱重工神戸造船所における個別受注産業における品質展開がはじめであるが、自動車産業のような大量生産の解析中心の品質管理が導入しにくいため工夫されたものである。
品質管理というと大量生産の改善の道具と考えられていて、個別受注生産やいわゆる一品料理では使えないものとされていた時代である。
品質管理をするにしても品質とは何かも明確になっていない。
船の品質とは何か。
その品質を確保するために顧客や設計の考えが製造に正しく伝達されているのか。
これを追求することにより、品質の展開および品質機能の展開という考えに整理された。
品質展開は顧客の要求の調査をまとめ、標準仕様や個別仕様(オプション)を整理するのに品質表として整理された。
品質機能展開は受注から出荷、サービスまでの品質保証システムと要求品質表、QA表、QC工程表、作業標準書と品質目標の展開を結びつける目的で使われた。設計図で製造現場に伝えきれないものをどのようにするか、生産準備段階の管理をどうするかなど整理したものである。当然従来の品質問題の解析結果はQA表、QC工程表などに反映される。個別受注生産でデータが不足する分を品質展開で補う役割もある。設計の考えを正しく生産現場に伝達すると同時に生産現場の情報を設計に伝達する目的もある。

どんなに工夫された道具でもオリジナルの考案者・開発者たちの苦労を理解することは難しい。それを理解してオリジナル以上の付加価値をつけることが2番手、3番手の役割と思うが必ずしもそれが出来てない。
アメリカに品質機能展開を紹介する時、QUALITY FUNCTIONAL DEVELOPMENTという開発という訳をつけた。アメリカでは品質表の面白さのみ注目し、展開を軍隊用語で分隊を意味するDEPLOYMENTにした。QFDの開発者の一人としてわがままを言わせてもらえば、分隊でなく開発であるべきである。
もう一つの苦い思いを紹介する。自動車産業にこのQFDが普及し今では、ISOにまで普及しているが、反面、解析が忘れられている。
問題解決のための解析は固有技術を開発・発展させるツールとして友好であるが、今それがあまり活用されてない。技術の空洞化の原因でもある。

解析と展開の両方向、双方向がなければ品質管理のよさが半減する。
たえず基本に戻って考え直したいとおもう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする