新製品の設計開発のすすめ方は、その製品の市場新規性や技術的難易度により区別される。
マネジメントの方法も、開発する製品の目的、技術的問題により重点が異なるのは、当然のことである。
マネジメントはきめ細かな配慮が大切だが、組織全体の力を出すためには、目的指向、問題指向、重点指向が必要である。
また、限られた開発の時間内で実施することと、日常実施することを区別することも大切である。
受注産業や部品メーカでは、このような区別がつけられていないため、いつも仕事に追われて自社の特色が育てられないことが多い。「万年受身体質」とはこのような状態をいう。
顧客の顔色を見ながらトラブルの対応に時間をとられ、自社の将来を見据えた創造性のあるマネジメントを実践してない。
このような悪循環を断ち切るために、メリハリのある製品開発の運用が必要である。
製品開発の上流段階で開発の全体工程に関する「品質保証計画」を設定する。
どれくらい前の段階で計画できるかは、その企業の実力にかかっている。
「品質目標・品質方針」設定と同時に問題の予測ができる企業と量産移行後のトラブルという後追いの問題に追われる企業の差は大きい。
「品質保証計画」の骨子は、製品開発工程にたいする必要最小限の区切り(段階、ステップ)をつけること。各段階でどのような品質確認や評価をするか決めておくことである。当然この評価には目標原価の達成の評価も含まれる。品質保証と原価管理は同期化させて管理しないと意味がない。開発段階の原価管理を原価企画(コストプランニング)とよぶ。
デザインレビュー、検証、妥当性確認などは評価の手段である。
検査と評価の比較はここでするつもりはないが、検査はロットや製品を対象にするが、評価はシステムを対象にして、先に進むかどうかを判断するのが目的である。
このため、どの段階でどのような評価を行うかを、「設計開発の計画」として、あらかじめ決めておくことが大切である。「設計開発の計画」に品質管理の計画を組み込むのはこのような理由からである。