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マレーシア マイセカンドホーム  -シニア世代の海外ロングステイ-

マレーシアにロングステイする”マレーシアマイセカンドホームプログラム”の情報と解説のブログ。最新更新 2017年4月

マレーシアで生活していくために必要な情報と知識 -電気料金改定と水道供給、及び銀行口座開設

2014年01月09日 | マレーシア生活の案内と知識

当ブログのずっと以前の記事で電気料金のことを取り上げました: 『マレーシア生活における光熱費を計算してみましょう』- 2009年12月25日付け
そこで電気料金の改定がこの1月を期して実施されましたので、今回の記事で説明しておきます。

【 2014年1月から実施の改定電気料金】

政府が2013年に認めた、半島部とサバ州で適用される改定電気料金表からです。半島部の電力会社は Tenaga Nasional Berhad,  サバ州は Sabah Electricity Sdn. Bhd. です。なおサラワク州だけは今回の改定に含まれない。

月間使用電力量の単位はキロワット時 (kWh)、 右側の数字はその料金範囲、
一般家庭用契約
0- 200 kWh: RM 3.00 - RM 43.60,
201- 300kWh: RM 43.93- RM 77.00,
301- 400kWh: RM77.52- RM 128.60,
401-600kWh: RM 129.12- RM 231.80、これ以上は省略します

参考までに商業用利用契約 (低電圧)
0-200 kWh: RM 7.20 - RM 87.00, 201-300kWh: RM 87.51- RM 137.90,
301- 400kWh: RM 138.41 - RM 188.80, 401-500kWh: RM189.31 - RM 239.70、
501- 600kWh: RM 240.21 - RM 290.60, 601- 700kWh: RM 291.11 - RM 341.50,
これ以上は省略します

ほとんどの電力利用者には、再生可能エネルギー基金へ収める追加料として 1.6%が電気使用料に上乗せされる。ただし、一般家庭用契約で且つ月間300キロワット時以下の場合だけはこの追加料は課されない。

少量電力量使用者に関しては値上げはなし
一般家庭用契約の少量電力量使用者つまり月間300キロワット時以下の料金だけはこれまでの料金と同じですが、それ以上の多量電力使用者、及び商業利用契約、工業利用契約など一連の電気料金が改定された。

一般家庭用電気契約において、各使用量範疇に占める顧客の割合:0-200 kWhの範ちゅうで50%、201-300kWhの範ちゅうで20%

要するに一般世帯の70%は月間電気使用量が300キロワット時以下ということであり、この範ちゅうの使用量は今回の電気料金値上げから除かれたということです。
常識的に考えて、普通の世帯であればこの使用量範ちゅうですから、マレーシア生活される日本人滞在者も当然同じとみなせます。

ところで、小電力量使用者の家庭の電気代が直接値上がりすることはなくても、電気はあらゆる社会活動と全ての人の生活に関わるので、電気料金改定は身近な物価に影響をもたらすであろうことは容易に予想がつきます。


電気と並んで生活の絶対必需は水です。水道料金が値上げされるということではありません、それよりもっと深刻である、クアラルンプール圏の上水道供給における問題です。
この問題は既に数年前から時々報道されてきたので、イントラアジアにはとりたてて目新しいニュースではありませんが、ほとんどの読者の方はご存じないことでしょう。

まず2013年12月25日付けマレーシアの主要紙に載った広告(公告)の内容を以下に載せます。

【水道供給会社が各紙に載せた水道供給に関する公告】

水道供給が危機的な状況である -SYABAS 
(Intraasia注:SYABASとは、スランゴール州とクアラルンプールとプトゥラジャヤにおける水道供給を一手に管理運営する会社の通称です。浄水場を運営する4つの会社とは別の会社です。)

複数の地区でしばしば断水が発生していることに鑑みて、SYABAS は消費者の皆さんに次のことをお知らせします:
スランゴール州とクアラルンプールとプトゥラジャヤにおける現在の水道供給は危機的な状況になっています、その理由は我々の浄水化した供給できる上水の供給予備能力が2013年を通じて1%を割っているからです。

現在供給予備力がほとんどないことから需要が増して供給能力を上回るたびに、特定地域で予期せぬ断水がより多く発生することが予想されます。

SYABAS は、上水の予備供給能力は最低でも10%あるべきであり、望むべくは20%であることを、ここで強調しておきます。

スランゴール州とクアラルンプールとプトゥラジャヤの消費者は、現在の状況、及びSYABAS と当局が実施している実行プランをよく理解されることが期待されます。さらに消費者側でも、現在の水道供給状況の影響を減らすことに協力することでその役割を責任を持って果たされることが期待されます。

断水がしばしばおこる地区の一覧表(その影響を受ける世帯数)
Intraasia注:下記の地名は行政上の地方(daerah)名です。

・Hulu Langat 地方(2万7千世帯):地区名は省略

・Petaling 地方(24万7千世帯):Puchong全体、Subang 空港、Badar Tasek Selatan, Kerinchi, Jalan Klang Lama,Desa Petaling, Pekan Sungai Besi, Bandar Utama, Jalan Kuchai Lama,  Universiti Malaya, Bandar Baru Sri Petaling, Bandar Kinrara全体、Taman Seaport, Taman Seapark , Subang Jaya (SS12-SS19) 、

・Kuala Lumpur (3万2千世帯): Cheras Baru, Pandan Jaya, Taman Miharja, Taman Cempaka, Taman Pandan Jaya, Taman Cempaka, Jalan Ampang Hillir, Jalan Semarak, Taman Melur, Taman Chahaya, Taman Pandan Jaya, Desa Pandan, Pandan Cahaya, Taman Bukit Permai, Taman Muda など

・Klang , Shah Alam 地方(2万6千世帯):地区名は省略

・Gombak 地方 (6万6千世帯):地区名は省略
以上

【Intraasia のコメント】

スランゴール州は民聯 (Pakatan Rakyat) が州政権を握る州です。このため大枠での水道事業とその長期計画に関して、及び水資源開発と運営と所有を巡って、国側と州政府の双方が互いに主張を譲らず、非協力関係がこの4,5年続いている。
おかげで水道供給の余裕が減少し続けているようです。その責任はSYABASの背後にあるBarisan Nasional (国陣)が政権を握る連邦政府とスランゴール州政府の両方にあるはずです。

住民として、消費者として大事なことは何よりも水道供給の末永い安定ですね。水道供給計画はかなり先の需要まで見込んで立案する必要があることを我々は知っています。今年の夏水不足になりそうだからといって、急に解決できないだろうことは素人でもわかる。
大断水にならないように連邦政府とスランゴール州政府が協力して欲しいことを願うだけです。 

断水の起こりやすい地区として上記に掲げた地区は、真っ先に断水の影響を受ける地区といえるでしょう。最も影響世帯数が多い Petaling 行政区分には少なからずの日本人も居住している(はずの)ペタリンジャヤ市、スバンジャヤ市も含まれる。こういう地区の住民は腹立たしいことになる率が高い、お気の毒にと同情します。 これから住むつもりの人はこういう地区名も参考にした方がいいかもしれません。

2014年3月上旬の追記
現実としてクアラルンプール圏で給水制限が行われています。
詳しくはイントラアジアのブログ 『マレーシアの新聞の記事からブログ』 をクリックして(別ウインドウが開く)、2014年3月8日付けの記事 「クアラルンプール圏の給水制限地区がさらに拡大されて」 をご覧ください。

【銀行口座について】

どこの国で暮らそうと銀行に口座がないと、生活の一面がかなり不便になります。例えば旅行先の国に滞在中に、ATM機で自由にお金を引き出せたらなあとほとんどの人が感じることでしょう。このように銀行に口座を持っていることは、必需ではないけどかなり必需に近いことだと言えます。

現在では日本の銀行の銀行カードを使ってある国のATM機で引き出せるサービスが普及してきたようですから、引出し自体は困らなさそうです。とはいえ、全ての銀行カードがこの外国でATM機引出しサービスができるのかどうかは、イントラアジアは知りません。
また引出し時は外国為替の両替率が適用されるので、為替率も気になります。いうまでもなくこのサービスでは預け入れは一切できません。

マレーシアに住む場合、マレーシアマイセカンドホームプログラムに参加すれば、必然的に銀行口座を開くことになる。当ブログの過去の記事で数回説明したことです。
必然的に開設するのは定期預金口座ですが、その際銀行は普通預金口座の開設も勧めるでしょう。その銀行に定期預金口座を持てば、他の口座も開設することは何ら問題なくできる。プログラム参加者の大多数は即時にまたは後日普通預金口座も開設されることでしょう。

マレーシアでビジネス・事業を立ち上げてエクスパトリエイトパスを保有している方は、もちろん会社設立の際、銀行口座を開設するので別に困ることはない。そういう方はこの話題には関係ありません。

マレーシアマイセカンドホームプログラムに参加せずにマレーシア滞在される方の場合は、こうはいきません。これは以前の記事で説明しました:『マレーシアマイセカンドホームプログラムに参加せずにロングステイ(中長期滞在)する』-2009年11月13日付け

ですから一般的な社会訪問パスを更新しながら、マレーシア滞在する場合、銀行口座が開設できないという面がどうしてもでてきます。
その解決策があると、マレーシア銀行協会が2013年12月下旬発行の新聞の記事中で説明していますので、抜粋翻訳して紹介しておきます。

いうまでもなく、普通の外国人旅行者がふらっと銀行の窓口に立ち寄って、口座を開設したいと伝えても、もちろん相手にされませんよ。きちんと以下の内容を把握してください。

【社会訪問パスの在マレーシア外国人が銀行口座を開設できるための条件】

マレーシア銀行協会の専務理事が新聞でこれを説明しています(2013年12月に掲載されたもの)。

マレーシア銀行協会は次の点を明確にします: 協会加盟のほとんどの銀行は、社会訪問パスによってマレーシアに滞在している外国人で、マレーシアの不動産を購入する意図を有する者には普通口座/当座預金口座を開設し利用することを認めている。ただし銀行の定める条件と規定に合致している場合に限る。

この銀行の定める条件と規定は、一般に次のようなものである:

・所持している有効なパスポートを提示すること
・(もし参加者であれば)マレーシアマイセカンドホームプログラムの参加者である証明を提示すること
・必要な場合は、購入する不動産の売買契約書のコピーまたは外国投資委員会の許可証明のコピーといった(不動産購入を証明する)書類を提示すること
・その銀行の顧客適正評価と顧客としての必要条件 に合致すること

マレーシア銀行協会の一般問い合わせ番号:1-300-88-9980, www.abm.org.my

【Intraasia のコメント】

社会訪問パスとは大多数の旅行者やごく短期間の商談などのためにマレーシア入国する外国人に与える滞在許可証です、日本人の場合は90日間の場合がほとんどでしょう。ただしこの期間は入国者の権利でなく、あくまでも Imigresen 係官が判断するものなので、ある人は30日有効のパスがパスポートに押されたということは起こり得る。

いわゆる観光ビザなどというものは、マレーシアの法規上は存在しませんよ。ビザとは入国査証であり、旅行者である日本人はビザ取得免除となっている。昔から言われており且つ現実に銀行が適用していることは、社会訪問パスだけを保持している外国人には口座開設を認めないことです。つまり一般的な旅行者では銀行口座を開設できません。

マレーシアマイセカンドホームプログラムの加入者には当初から口座開設を認めている。この点は上記で触れたように、当ブログで詳細に解説しています。

マレーシア銀行協会の専務理事の説明が示していることは、要するに社会訪問パスだけの外国人旅行者であっても住宅を購入できるような裕福な者、投資者にはついては審査したうえで銀行口座開設を認めます、ということです。
あからさまな経済優先志向の方針ですな。 

なお既に当ブログでお知らせしたように、2014年1月から外国人が買える不動産の最低価格はRM 100万以上になります。マレーシアでは連邦制ですから、州によって多少実施の細目は異なる。

1ユニット(1戸)あたりRM 100万以上の住宅不動産を具体的に購入する、投資するつもりの人は、デベロッパーとの購入交渉をある程度詰めた段階で、デベロッパー側が証明するような書類を持って銀行の窓口へ行って、口座開設の申請を行うということではないでしょうか。
詳しくは各銀行の担当窓口でどういう書類が必要かは説明してくれるはずです。

当ブログの読者の中で、RM 100万以上の住宅不動産を購入する意向の方は、恐らくごく少ないでしょうが、こういう方式もあるということでお知らせしておきます。


クアラルンプール圏の住宅写真と地図の連載、 シリーズ第5回

2013年12月21日 | マレーシアの住居知識と情報

これまで 『クアラルンプール圏の住宅写真と地図の連載』 を既に第1回から第4回まで掲載しました。

初めてご覧になる方は、まず始めに2013年2月19日付け記事-『クアラルンプール圏及びペナン島の住宅写真と地図の連載を始めました』をご覧ください。当ブログページ左側にあるカテゴリーの中から ”マレーシアの住居知識と情報” をクリックすると見つけやすいですよ。

【Picasa ウエブアルバムの閲覧にあたって】

閲覧のための説明です:

  • 当ブログの記事内にPicasa ウエブアルバムの都市写真シリーズへのリンクを示します。
  • そのタイトル(写真と地図、シリーズ何回)をクリックすると別ページで開きます。
  • Picasaのメンバーに登録していなくても、もちろん閲覧できる。
  • 写真を1枚づつクリックすると、その地理位置がGoogle 地図でわかる。
  • 地図は閲覧者が拡大したり位置を移動することができますので、読者の見やすい形でご覧になれます。
  • 写真をスライドショーにして連続してみることもできる。
  • 全ての写真には短い説明を付けました。
  • 詳しいことは、ウエブ上で Picasa のヘルプをクリックして知ることもできる。


 『クアラルンプール圏の住宅写真と地図の連載シリーズ』 は閲覧だけなら特に細かな Picasa操作知識は要りませんので、誰でも容易に閲覧できます。

注意点
1.Picasa ウエブアルバムでは閲覧者のOSまたはブラウザーの種類を判断して、自動的にカタカナが一部表示される仕組みになっている。これは非常におせっかいな機能です。カタカナ読みは間違いが多いので一切無視してください。(おそらく何語であれ一律に英語読みするプログラムになっていることから、マレーシアにおける発音とかけ離れている)
2.Goole マップは決して最新地図情報を示していません。クアラルンプール圏だけを見ても比較的最近の情報と思える地域部分もあれば、5年以上前ではなかろうかと思えるような地域部分も一杯あります。ペナン島も同様です。最近の新興開発地・施設はほとんど表示されていないと考えておいた方が無難です。

この点を踏まえた上で、Googleマップは大いに有用な場所知識を与えてくれます。

【クアラルンプール圏の住宅写真と地図、 シリーズ第5回】

クアラルンプール圏の住宅写真と地図 - シリーズ第5回


【イントラアジアのひとこと】
クアラルンプール圏に限りませんが、住宅写真と地図 シリーズで掲載している写真は全て、イントラアジアが公共交通機関のバス、電車を使って移動し、徒歩で歩き回って撮影した写真です。
自家用車やタクシーに乗らないと行けないような撮影場所はありません。つまり一部の遠景ズーム写真を除いて、被写体になっている住居や目印のショッピングセンターなどは全て、徒歩、バス、電車で到達できます。

 

【年末にあたってのあいさつ】

当ブログの読者の皆さん、今年1年ご愛読ありがとうございました。当ブログを始めてご覧になった方は、左欄にある”カテゴリー”をクリックっして順にゆっくりご覧ください。

当ブログは以前から記事内で次のように時々強調しています:
”ロングステイ地ではその地のスタイルにできるだけまたはある程度は馴染もうとされる方、日本人コミュニティーと付かず離れずに暮らしたい方”、 ”マスコミや業者が創り出している海外ロングステイのイメイージにこだわらない人” を応援します。
”日本人コミュニティー内だけで暮らすつもり、暮らしたい”場合のことは扱いません。
21世紀の現代は携帯電話、スマートフォン、ネット接続パソコンを使えば、(隣近所ではない)離れている在マレーシアの日本人とも容易につながりは持てますよね。
以上

当ブログはこういう方たちを念頭に置きながら、マレーシアマイセカンドホームプログラムを詳細に解説し、最新情報と分析を加えています。さらにマレーシアの当局や業界が発表する統計、ニュースを基にした住宅不動産情報とその説明及びイントラアジアの撮った住宅写真もかなりの文量載せています。
またマレーシア滞在生活を、1人の住民としての立場と経験から案内し紹介しています。

2013年のマレーシアマイセカンドホームプログラム新規参加者統計において、現時点の最新情報である10か月間の日本人参加者数は573人です。この数は2012年より減っていますが、それでも毎月60人近い方が参加されているわけです。

2013年後半は更なる円安傾向が漸進的に進んで12月は対リンギット為替で 3.0の水準に限りなく近づいている。この円安基調はこの先かなり長期間続くだろうという観測が多いようですから、もはや1万円を両替してRM 400を得た時代は夢になり、RM 300という為替水準であらゆることを考えなければなりません。まさに円安は両刃の剣ですね。

シニア世代及びシニア前世代の方で海外での長期滞在を考える方は珍しくない時代になったようです。とはいえ実際に行動に移されるのは、その何十分の1いや何百分の1程度に過ぎないことでしょう。そんな時、マレーシアでロングステイは有望な選択ですよと、イントラアジアはお勧めの心を込めてこのブログを運営しています。

2014年も当ブログは更新を続けていきます。ご期待ください。

2013年12月下旬
イントラアジア

【 Intraasia から2016年8月末のお知らせ】
Google が Picasa ウェブ アルバム利用者に次のようなお知らせ(抜粋)を送ってきました。
2016 年 5 月 1 日をもって、Picasa ウェブ アルバムはサービスを終了します。
ご利用いただけなくなるリンク
・ウェブサイトに埋め込まれたスライドショー。
・ウェブサイトに埋め込まれた Picasa ウェブ アルバムのアルバムや写真

Picasa ウェブ アルバムのサービス終了後は、以下の機能をご利用ください。
・あらゆるアルバムやメタデータはアルバム アーカイブからご覧いただけます。

ということで、当ブログで掲載している『クアラルンプール圏/ ペナン島の住宅写真と地図の連載シリーズ』でリンクしている Picasa ウェブ アルバム は全て無効となりました。写真の説明、Googleマップ上への位置表示などのデータは全て抹消されたようで、もう見ることができません。

唯一残されたデータは、アルバム アーカイブに自動移行された住宅の写真だけです。つまり『住宅写真と地図の連載シリーズ』における情報は全ての住宅写真が閲覧できるが、説明もマップもありません。

 Picasa ウェブ アルバムは何年か前に、Googleが買収して翼下に収めました。その数年後 Googleは廃止を決めた。Web サービスの存廃や変更は頻繁であることが知られているように、提供元企業の恣意的判断下にあるということを示す一例ですね。

 


マレーシアマイセカンドホームプログラムの変節と参加条件の改正を考察する

2013年12月01日 | 総論と分析と考察

2002年から始まったマレーシアマイセカンドホームプログラムは年を経る中で多少変節してきました。
これは最近になって初めて起きたことではなく、2000年代の中頃にも起きた。そしてその変節の背後にはプログラム当局側及び各国の申請者側の双方の要因があると言えます。

読者の方々は、当ブログの記事 『マレーシアマイセカンドホームプログラムの2013年9か月間の新規参加者数』 の最後にあるイントラアジアのコメント部分を再度ご覧ください。
2003年から2005年にかけて中国またはバングラデシュからの新規参加者数が驚くほど増え且つ新規参加者総数の圧倒的多数を占めた数年間の後、プログラム当局は申請条件と規定を一部改正した、つまり厳しくした。

そして2011年から既に兆候が現れていた中国と日本の2か国による新規参加者の半数を占める寡占状態、そして今年2013年は中国1か国による新規参加者数が3分の1も占めるという状況が起きている。
本来の狙いとは幾分またはかなり違う形の新規参加者が増えているであろうことが、この急増を反映した推移及びマレーシアマスコミの報道、とりわけ住宅不動産業界に関連したニュース、から推測できます。

後述するように、住宅デベロッパーのような業界はこういう現象をなんら問題視せずむしろ歓迎しているかもしれませんが、マレーシアマイセカンドホームプログラムの本来の理念と観点から捉えたら、決して好ましい現象とは思えない。

観光省及びマレーシアマイセカンドホームプログラム当局がこの状況を傍観しているとすれば、マレーシアマイセカンドホームプログラムは本来の理念を失いかけたまたは理念を変えたプログラムと言ってもいいでしょう。

注:本来の理念とは、定年などで仕事または事業・商売を引退して老後を自国ではなく他国で過ごす、裕福な外国人をマレーシアに引き付けようというもの。


【プログラムの変節を起こしている様々な要因】
では説明していきましょう。いくつかの点をあげます。

1. 現在の申請条件には依然としていわば瑕疵がある。

申請条件の中から抜粋しますと、例えば:
「50歳以上の申請者は、流動資産が RM 35万あり及びマレーシア国外を源泉とする月収が RM 1万あることを示す条件に適合しなければなりません。
申請者は経済状況の証明として現在の預金口座の認証謄本を提出する必要があります。そのために直近3ヶ月間の口座取引明細書を提出し、その際各月の口座残高が RM 350,000 (35万リンギット)を下回らないことが必要です。」

この条件では、たった3か月間の口座取引証明で足りる。この短い月数であれば、誰かから金を借りて一時的に口座に入れておくことができる人またはそうする人はいるだろうと、考えても可笑しくない。そういう方策が難しくない国は世界には間違いなくあるでしょう、どことは言いませんが。

2. 前にも書いたように、マレーシアマイセカンドホームプログラムの公開されている規定と条件は詳細には書かれていない、保険証券のように規定を網羅したものではない。

参照:『マレーシアマイセカンドホームセンターで質問した結果明らかになったこと - その3』- 2012年3月11日付け記事内で次のように指摘しておきました:
「なぜなら公式サイト及びその発行文書は緻密な条件・規定を網羅したものではなく、世界各国からの申請者・申請希望者に対して最大公約数的に対応するためのものであり、運用上はマレーシアマイセカンドホーム当局内の審査委員会が審査して判断するというあり方です。」

だからイントラアジアは2011年から2012年にかけて、何回もPutrajaya にあるマレーシアマイセカンドホームセンターに足を運び、細かな点を問いただして、その内容を当ブログで書きました。

3. プログラム当局が参加申請を審査する際、審査のぶれがあるまたは起こりえる。これはプログラム開始時からのことです。

参照:上記の『マレーシアマイセカンドホームセンターで質問した結果明らかになったこと - その3』記事でさらに次のように指摘しました:
「経時変化としての審査のぶれもあるまたは起こりえるでしょう。また申請者の国籍は様々ですからその個人事情とお国事情は異なる、よってその申請書類の記載内容において微妙な点や条件・規定で触れていない点をどう判断するかは審査委員会にかかっています。」

4. 外的状況の変化がある。
マレーシア国内と国を取り巻く状況は、当然年月とともに少しずつ変化している。
つい最近マレーシア政府は、外国人が購入できる住宅不動産の最低価格をRM 100万に引き上げると発表した。 これは国内における中高級不動産市場の過熱気味の状況を鑑みたものである。参照:『マレーシア政府が実施する/した、中高級住宅不動産市場に対する3つの過熱抑制策』 -2013年11月6日付け記事をご覧ください。

5. マレーシア政府及びプログラム当局自体が、この10年の間に申請条件と滞在規定を変更または拡充させることでプログラムに参加する対象層を広げており、本来の理念は既に建前化しているかのように思われる。
要するに、プログラム参加条件さえ満たせば、誰でも歓迎という態度になっている。

6. プログラム新規参加者に本来の参加者像とは異なる像が増えていることが推測される。注:この点に関しては下段で論じます。


こうした要因とこの数年の新規参加者の傾向を基にすれば、そして当局になんらかの問題意識が起これば、近い将来マレーシアマイセカンドホームプログラムの条件と規定に多少の見直しが浮かびあがっても、不思議ではない。なぜならプログラムの条件と規定はこれまでにも変更されてきたし、変更一切不可なものではないからです。

あくまでもプログラム当局と観光省のトップが近年の新規参加者の状況と傾向をどう捉えるかに大きく掛かっている。同時に政府指導者がマレーシアマイセカンドホームプログラムをどのように発展させていくかの方針を変えるかどうかによる。

よって外部の者があれこれ推測しても、結局のところはごく少数の意思決定者の判断次第です。プログラムの条件と規定の改正に関する推測はあくまでも外部者の推測にすぎない。

【プログラムが本来想定したのとは異なる参加者像を持った人たちの増加傾向が推測される】

2003年から2005年にかけて及びこの数年のプログラムの新規参加者の像を推測すると、恐らく、プログラムが本来想定した人たちとは違う人たちがかなり混じっていると思われる。 

ところで住宅デベロッパー業界は、高級住宅を購入する層としてプログラム参加者の一部に大いに期待している。住宅デベロッパーと不動産代理業者にとってプログラム参加者は高額物件の購買可能客たることを望まれている。州政府幹部や連邦政府幹部の中には、デベロッパーと同じような観点を述べる人たちも珍しくない。
イントラアジアは長年マレーシアを観察している専門者ですから、こうしたマレーシアマスコミ上での発言・記事をよく目にします(日本語の二次情報は一切関知しません)。

要するに、マレーシアマイセカンドホームプログラムとはいったいどういう人たちを主たる対象とするのかの理念がぐらついている。

高級な住宅に投資するために、何か別の目的で長期滞在するために、ビジネスを立ち上げる方策の一つとして、参加するひとたちをより増やしていくことで、プログラムを変節させる、または拡大していくのか? それとも引退・定年者の第二の我が家プログラムに徹するのだろうか?
マレーシア当局は現状を追認していくのであれば、それも一つのあり方ですから、理念を変更しそれをはっきりと打ち出すべきです。

【参加条件の改正と審査基準の見直しはこれまでにもあったし今後もあるだろう】

第3者としてイントラアジアはこのように観察し、捉えています。しかしながら、どういうあり方が良い、良くないを論じてもあまり意味がありません、マレーシア指導層とプログラム当局のトップが判断したものを、プログラム参加者・参加希望者側はそのまま受けいれるしかないのです。その一方、検討した結果参加しないという選択も当然ある。

なお当局によって参加条件と規定が見直されれば、その新たに打ち出された条件と規則に対してまた何らかの抜け道探しも始まることでしょう。これは全然不思議ではありません、なぜならどんな世界にもこの種の外国人優遇政策を本来の目的外で利用しようとする人はいるのであり、同時にプログラム代理業者はビジネスチャンスとして捉えていることから、プログラムの理念などどうでもよいだろう。

日本人の参加希望者にとって、近い将来プログラムの参加条件などが変更される、内部の審査基準に見直しがある、かどうかが気になるのは当然でしょう。ただ上記で強調したように、しょせん決めるのはあくまでもマレーシアのごく少数の意思決定者です。これはマレーシアの政治や官僚システムの常である。そのごく少数意思決定者がどのような決定を下すか、今の段階で事前にわかるわけはありませんね。


マレーシアマイセカンドホームプログラムの2013年9か月間の新規参加者数

2013年11月20日 | 参加者数の統計と解説

観光省翼下にあるマレーシアマイセカンドホームプログラム当局はごく最近、マレーシアマイセカンドホームプログラムに申請して新に参加を認められた2013年の9か月間の新規参加者数とこれまでの累計から成る統計を発表しました。
当ブログ記事で用いる数字は全て、マレーシアマイセカンドホームプログラム当局または観光省が発表する公式統計からの出典です。

【2013年1月から9月までの、マレーシアマイセカンドホームプログラムの新規参加者数】
新規参加者とは、マレーシアマイセカンドホームプログラム当局に参加の申請をして、承認が下りた人のことを言う。

日本
1月 78人、2月 42人、3月 59人、4月 59人、5月 48人、6月 47人
7月 44人、8月 58人、9月 68人、小計:503人

参考までに2012年の新規参加者数を月別に示します:
1月 42人、2月 83人、3月 99人、4月 49人、5月 47人、6月 69人、
7月 65人、8月 104人、9月 69人、10月84人、11月 70人、12月 35人、

詳しくは当ブログの2013年4月2日付け記事 『マレーシアマイセカンドホームプログラムの2012年新規参加者数 -日本は過去最高となる年間800人を超えた』をご覧ください。

従って2013年9か月間は、昨年同期間の合計 627人より124人少なく、減少率 20%である。これは下記に示した2013年9か月間の全世界からの減少率13%よりやや高い。

国別の9か月間の新規参加者数
1位:中国 747人、 2位:日本 503人、3位:バングラデシュ:170人、4位:英国 103人、 5位:シンガポール 102人、
6位が台湾で77人、7位がオーストラリアで64人、8位が韓国で56人、それ以下はごく少ない人数です。

世界中からの新規参加者数合計
世界各国からの 2013年9か月間の新規参加者数の合計 2,276人、 
比較として 2012年9か月間の合計は 2,606人。従って2013年は減少率が約13%となる。


【イントラアジアの分析とコメント】

A. 今年9月までの合計人数を対前年同期と比べると、日本は 20%減となった。一方中国は 34%増と大幅に増えている。2013年は1月から中国が1位、日本が2位という順位がずっと続いており、残り3か月もこの傾向は変わりそうにはない。

B. 世界各国からの新規参加者数合計が、昨年同時期比で13%減少している中、中国だけが逆に突出して大幅に増えている現象は際立つ。
世界の国の中には対前年比で増加している国が数少なくあるが、いずれも年間参加者が100人に満たない国なので、増加率が大きく示されても実人数が大きく増えたわけではない。

C. プログラム開始の2002年から2012年までの新規参加者数累計でも、2012年単年度の新規参加者数においても、トップ3か国は中国と日本とバングラデシュです。今年9か月間の人数を比べてもこの傾向は変わっていないが、バングラデシュが今年はかなり参加者数を減らしていることから、中国と日本の新規参加者数の多さがより際立っている。

D. 2013年9月までの合計では、中国と日本の2か国だけで全体の 55%も占めている。
この両国が全体に占める比率を見ると、2012年7月までの合計では 44%、2012年1年間合計では 48%を占めたので、2013年9か月間の傾向はあまり変わっていない、むしろ中国と日本の両国によるプログラム参加者寡占化が進んでいると言える。

両国による寡占化が進んでいる要因として、これまで2位に比較的近い3位を維持してきたバングラデシュが、順位自体は3位のままだが、2013年は大きく新規参加者数を減らしていることがあげられる。

E. 2013年も年間新規参加者数トップ国の座を日本と中国が争っているが、9か月間の傾向を見ると、中国がトップになることはほぼ確定した。2012年に日本が記録した年間新規参加者数816人を中国が抜く可能性は非常に高い。

日本:2010年 195人、2011年 423人、2012年 816人、
中国:2010年 154人、2011年 405人、2012年 731人、


恐らく、2013年の世界各国からの新規参加者数合計は昨年のそれよりやや少なくなりそうです。あと3か月間あるので結論づけは多少早いと言えるかもしれません。いずれにしろ、それを決める最大要因は、中国と日本からの参加者数にかかっています。

ところで今年9か月間でみると、中国1か国の新規参加者数が全体の新規参加者数の3分の1も占めている。ということは2013年1年間でもこの比率前後になると思われる。
実はプログラム開始の初期にも似たような現象が起きた。2003年に中国1か国で全体の32%を占めた、2005年にバングラデシュ1か国で全体の33%を占めた。恐らくそういう現象が生まれた背景をプログラム当局は精査したのであろう、申請参加条件をその後改定した、つまりより厳しいものにした。

2013年の現在はマレーシアマイセカンドホームプログラムに関する政府と観光省の捉え方は10年ほど前の頃とは幾分違うが、マレーシアマイセカンドホームプログラムのあるべき観点から捉えたら、単年度においてある1か国がこれほど大きな比率を占めるのは、決して好ましい現象とは思えない。

当ブログでは、マレーシア当局が年に数回発表するマレーシアマイセカンドホームプログラム参加者数統計に合わせて、その時点での統計値と分析を記事にして掲載しています。


マレーシア政府が実施する/した、中高級住宅不動産市場に対する3つの過熱抑制策

2013年11月06日 | マレーシアの住宅不動産ニュース

新築住宅不動産市場における価格上昇傾向はもう何年も続いていることが、頻繁にニュースになってきました。
1ユニット(住宅1戸)RM 50万以上の高級な住宅から、RM 20万から40万前後の中級住宅まで、その値上がり方に差はあれど、値下がるようなことは起きていません。

この住宅市場のいささか急こう配過ぎる値上がり傾向を受けて、政府と中央銀行Bank Negaraは、不動産過熱抑制策を今年(2013年)後半になって導入しました、または近々導入することになります。

なおユニット(1戸)価格RM 10万位までの低コスト住宅は、国のいわば公共住宅政策として行われています。住宅デベロッパーは中高級住宅開発に伴って、一定数の低コスト住宅を建設する義務があります。いずれにしろ中長期滞在する外国人にとって、購入はもちろん賃借にも全く関係がないのでここでは触れません。

注:マレーシアの住宅に関しては、これまで様々な情報を20編近い記事にして掲載してきました。当ブログのカテゴリーから 『マレーシアの住居知識と情報』 をクリックしてご覧ください。

中央銀行Bank Negaraはまず、デベロッパー側を対象にした抑制策を打ち出しました。いわゆるデベロッパーによる利子負担販売法を禁止する処置を講じました。これによって投機的傾向を持つ住宅購入者を減らすことになつながるそうです。

一般論として、中央銀行の抑制策は各市中銀行の住宅ローン方針に影響を及ぼすので、それが顧客つまりローンの借り手に及ぶことで、顧客の過熱した投資または投機傾向を抑制する効果を生むことになるのはどこの国でも同じではないでしょうか。

【2014年度予算案で発表された、3つの住宅不動産市場の過熱抑制策】

マレーシアでは例年10月頃に翌年度予算案が発表されます。ナジブ首相は2013年10月下旬に発表した2014年度予算案の中に、次の3つを盛り込みました:
・不動産デベロッパーによる利子負担方式の禁止
・不動産利得税率の改定

さらに外国人が購入できる住宅不動産の1ユニット最低限価格をRM 100万に引き上げるとの措置も含めました。これまではRM 50万でしたから、最低限価格が倍になったわけです。 この実施は2014年1月初めからです。

【外国人が購入できる最低限価格がRM 100万に引き上げられる】

そもそも住宅不動産の1ユニット(1戸)価格RM 50万というのは、既に高級住宅の部類であり、低所得層には全く購入不可能な価格です。
一般的な中所得階層の購入する住宅価格は、RM 35万-40万位までと言われており、RM 50万を超えると、まず手が出ないことになります。

ですから、外国人の購入できる住宅最低限価格のRM 50万は、以前から国民の大多数の購入住宅価格とは競合しない価格でした。
ユニット価格RM 50万以上の住宅を買える層は、間違いなく十分な所得を得ている人たちか資産がそれなりにある人たちとなる。

最低限価格RM 100万に引き上げられる以前から、ユニット価格がRM 100万以上の住宅の購買層は富裕層に限られます。例え少々高給を得ている勤労者クラスの人たちでも、この価格帯の住宅には手が出ません。

通貨に関する注:マレーシアの通貨は Ringgit Malaysia です、その記号 RM は紙幣はもちろん、至る所で使われている。Ringgit Malaysia を英語表記にしたものが、マレーシアリンギットです。なおマレーシアドルなどという通貨は存在しませんよ。

それではなぜ政府と中央銀行Bank Negara はこういう住宅不動産過熱に対する抑制策を打ち出してきたかの背景には、次のような事情があります。
イントラアジアの「マレーシアの新聞の記事から」ブログの記事を引用しておきます

【住宅不動産市場でバブルが起きるか起きないか】 2013年8月28日付け

国立Putra大学の住宅リサーチセンターの教授は述べる、「最近の政府の取り組みは、住宅価格の上昇問題に取り組むというものです。しかしそれだけで十分かは明確ではない。」 「意識的に作り出された価格の上昇はバブルにつながる。所得と不動産価格との間には不一致がある、とりわけクアラルンプール圏においてです。」 

「このことが次のことを示している:手に入れやすい価格の住宅が一般向け市場に供給するために建築されていない、クアラルンプール圏の多くの購入者は投資者かまたは投機家であろう。」
「市場の不動産価格は修正局面に向かっており、投機は減っていくことで、ユニット価格 RM 55万以上の住宅は供給過剰になるかもしれない。」

都市福祉・住宅・地方自治体省の大臣は第16回全国住宅と不動産サミットの開会演説で語る、「政府は不動産市場での行き過ぎた投資と投機活動を軽減しなければなりません、そうして不動産のバブルを防ぐようにします。」 「前に進みながら、政府は不動産投機を抑えるために金融政策をさらに引き締めることをちゅうちょしません、そして確かに適当で手の届く範囲の不動産価格になるようにします。」
「昨年不動産利得税が5%から15%に上がったが、不動産利得税の低いことが住宅価格の上昇を防ぐことに効果的ではありませんでした。」

不動産コンサルタント CBRE Malaysia の最高経営責任者は述べる、「選ばれたアジアの豪華住宅価格に比べれば、クアラルンプールは東南アジアでそれらが最も安価である都市の1つです。」 「香港では豪華住宅は平方フィートあたりUS$3,000 (RM10,200) であるのに、クアラルンプールでは平方フィートあたりUS$250 (RM850) です。」

その時点でIntraasia が加えたコメント:
大中の不動産デベロッパーは、ほとんど毎週と言えるぐらい頻繁に首都圏での高級住宅開発の開始と売出しを行っていることが、それを知らせる広告の多さからわかる。一体どれぐらい需要があるのだろうかと思えるのだが、実態は実際に住むのではない投資者と投機家がかなりの比率を占めるから、これほど多くの新規高級住宅の開発ができるわけです。
こういう住宅は低所得層はもちろん中の下層にも全く縁のない価格帯、つまりRM 50万以上のものばかり。 投資者と投機家に国外からの者が少なからずの割合を占める、筆頭はシンガポール人ですね。近年は台湾、中国、香港、インドネシア、韓国、日本などからも増えていると、不動産デベロッパはしきりにこの点を語る。つまり需要は固いと言いたいのでしょう。

新聞界にとって不動産広告の多さから不動産業界は大事な顧客、従って多くの不動産記事はデベロッパーの楽観的見方を主にした形で載せている。 海外からの投資者と投機家はしょせんマレーシアの住民の実態などどうでもよくて、要は儲かればいい、バブルが起きそうになればどこで売り逃げるかだけが彼らの関心でしょう。 

上記コンサルタント会社の発言は典型的な一つです、クアラルンプールの何々はどこどこの国と比べてまだ安いので、お買い得であるまたはまだまだ値上がりするという論法です。
以上

住宅不動産に関しては、利害関係者である業界関係者及びリサーチ会社・アナリストの論がマスコミに現れる分析の主流を占める中で、掲載された数少ない非主流の主張として次のような論がありました(2013年中頃)。デベロッパー筋からの情報ばかりに頼る人たちは、ここに紹介するような観点も知っておくべきでしょう。

【投機家と偽りの住宅購入者について全国住宅購入者協会は訴える】

非政府組織である全国住宅購入者協会の事務局長は主張する:
全国住宅購入者協会はいつも政府に要望してきました、「マレーシアの若い世代が持家なしにならないように、政府が介入すべきである。そうして若い世代が、新興地とりわけ都市部と準都市部で持ち家を購入できるようにする。」

政府は持ち家を増進しようと、購入時の印紙税率を下げて、初めての住宅購入者を奨励しました。
しかし投機家は、こうした状況を利用していろんな不動産所有を貯めこみ、手持ち現金の不足している狡猾なデベロッパーと共謀して不動産価格を操作してきた。
作られた需要及び容易な銀行ローン・貸付金と低い不動産利得税率が火に油を注いでいる行き過ぎた投機があることから、政府は住宅価格の急上昇を止めるために適切な対策を取る必要ががあります。

国民の大多数を構成する、裕福とは言えない人たちは取り残されてきた、一方裕福層の人たちは必要以上の不動産を蓄積してきた。

都市福祉・住宅・地方自治体省の大臣が、ごく最近開催された第16回全国住宅と不動産サミットで行った開会演説の中に次のような一節がある:
「(政府の)最大の心配点としてあげるのは、住宅価格の上昇に見合って所得が伸びてこなかったという事実です。 2012年に実施した統計庁の世帯収入調査は、マレーシア国民の約 80%が月収 RM6,954以下である。 住宅ローンにおいては、純収入の30%が貸付け基準になること、現在の基本貸出し金利は 6.60% ということから、国民の80%であるこの層の人たちにとって手の届く範囲である住宅価格の最高は RM 30万かそれ以下の価格である。」

住宅市場では、自称”投資者クラブ”なるものが次々と出現していることで、こうした状況はより悪化している。 こういう”投資者クラブ”は、階層化された不動産において多くのユニットを一括購入する、例えば100ユニット、200ユニット、ことで、住宅市場を人為的に操っている。こういう風に多数のユニットを一括購入することによって、投資クラブはその住宅不動産や商業不動産開発における全体の半分近くを支配することになる。

投資クラブを運営する者たちの手口は、一括購入者として手持ち現金の不十分なデベロッパーと交渉して、開発開始前に大量ユニット購買することへの値引きを要求する、例えば公称販売価格の25%といったように。 投資クラブ運営者はそのクラブ会員の間に、早期購入者向けの値引き 15%のようにお知らせを回す。こうして運営者は 10%の利益を収める。 さらに投資クラブ会員は 購入した住宅が完成して受け取るとそこに入居することなく他者に転売して儲けるのです、とりわけ現在の様なインフレ市場においてはです。
”いかにして億万長者になるか” とか ”保証金不要の投資” といったセミナーが若い世代の者たちに大金持ちへの近道と思わせることにつながっていく。
だまされやすく、欲張りな投資者はそんな手口に誘惑されてたちまち餌食になります。 
インターネットで“Investors Club”ということばで検索して、こういうクラブの手口とクラブに協力している住宅デベロッパーの名称を知ることもできる。さらにどういう者たちがこのプログラムに参加しているかもわかる。 またこういう投資クラブに参加するには、加入費としてRM 300から 5,000が必要なこともある、そうすればセミナー参加費とアドバイス料は一生涯無料となる。中には無料で会員になれる投資クラブもある。

デベロッパがその建築するプロジェクトにおいて、その半数以上を販売完了(売買契約済)することを、デベロッパーへの貸し付けの条件にしている金融機関もあります。
Intraasia 注:自己資本の少ないデベロッパーは無理してでも事前に半数を販売しなければならないということでしょう。
以上


ところで、中級以上の住宅不動産市場の過熱を呼んでいる主因の一つと言われている、デベロッパー利子負担プログラムの禁止に関しては、中央銀行Bank Negaraが予算案発表以前に既に指示を出していました。
2014年予算案がなぜそれを再度規定したのかは知りませんが、いずれにしろ、デベロッパー利子負担プログラムは廃止です。

【’デベロッパー利子負担プログラム’が廃止されたことで起きる、不動産市場の変化】-2013年10月末に新聞に載った記事を抜粋翻訳

(住宅購入者ではなく)住宅開発するデベロッパー自身が利子を負担する’デベロッパー利子負担プログラム’に関して、2014年度予算案は禁止としました。

デベロッパー利子負担プログラムがあることで投機家は新規売出し不動産に投資するのが都合よくなります。このプログラムはマレーシア不動産市場で2009年から行われていました。こういう投機家は、支払いの仕組みが多少複雑になる下位不動産市場での問題を軽視しました。
しかしこのデベロッパー利子負担プログラムを廃止することで、不動産市場での購買傾向に変化を呼ぶことになりそうです。

デベロッパー利子負担プログラムは、本当に住宅を所有したいという人には有益であると言われていますが、不動産投機の機会も作り出してしまいました。

このプログラムが導入される前は、不動産投機は真に十分なる経済的余裕ある者だけが行う活動でした。しかしデベロッパー利子負担プログラムの手軽な支払方式によって、投機家が不動産の建設中にまたは完成後の短時間の間に再販する買い手を見つけて売ってしまえるようになります。

デベロッパー利子負担プログラムを利用することで、投機家は少額のお金をあらかじめ出すだけでよく、数年以内に大きな利益を得ることになる。

それ故に、デベロッパー利子負担プログラムの廃止は、確かに投機活動を抑えるでしょう。なぜならその支払い方式はもう手軽ではありませんから。その効果を政府はまさに期待しています。デベロッパー利子負担プログラムの禁止はまた、不動産の一次市場が下位市場に持つ有利さがなくなります。デベロッパー利子負担プログラムが人気を呼ぶようになってから、下位市場はぱっとしませんでした。

 Propwall の発表する’不動産市場傾向’を見れば、不動産の一次市場は二次市場よりも好まれることが明らかです。

確かに不動産一次市場には買い手を引き付ける他の特質もありますが、一方’デベロッパー利子負担プログラム’が購入者を引き寄せる要因であることは否定できません。
この数年の間デベロッパー利子負担プログラムは、購入者が不動産を買う場合の経験的な常識を補完するものになっていました。要するに、場所が全てです。

デベロッパー利子負担プログラムなしにはこれ以上新規不動産開発を魅力的にはできない、下位市場が本来の場に戻ったのです。

不動産下位市場の良い特性は、デベロッパー利子負担プログラムによってこれ以上暗い影を投げかけられることはないでしょう。投機家である、ないに関わらず、依然として不動産を取得したい人たちは二次市場へ視野を広げることになるでしょう、なぜなら、’デベロッパー利子負担プログラム’は住宅の選択においてもはや得られない要因だからです。
デベロッパー利子負担プログラムの売り込みは非常に激しかった、時には人を欺くことでさえあった。そのため人々は不動産下位市場の寿命の長さと良き特性を見過ごしていました。下位市場となる物件は一般的に、成熟した住宅地にあり、定着した設備と公共施設を備えている。さらにその住宅地にあるコミュニティー意識の強さは、開発の質と将来的繁栄の指標でもあります。

今後不動産下位市場に目を向けるのは価値ある選択といえるかもしれません。しかし、もし住宅と地方自治体省が、”建築してから販売する”方式を2015年に導入すると決めれば、下位市場は再度後ろに下がってしまわざるを得ないことになるかもしれません。

Intraasia注:この記事で使われている、多少日本語に馴染みにくい不動産下位市場という表現は、新規開発の不動産を購入するのが一次市場で、それを転売する二次市場といった意味合いで使われている、と理解されます。


【不動産利得税率の改定内容】

上段で言及しました、不動産市場過熱抑制策 3つの内の最後の1つである、不動産利得税率の改定に関する説明を載せておきます。

住宅購入をしてその住宅を売却する場合にその利潤に掛かる不動産利得税 -2014年1月1日から実施

購入から3年以内
マレーシア国民及び永住者:30%,  外国人:30%,
購入から3年を超え4年まで
マレーシア国民及び永住者:20%,  外国人:30%,
購入から4年を超え5年まで
マレーシア国民及び永住者: 15%,  外国人:30%,
購入から5年を超える(6年目から)
マレーシア国民及び永住者: 0%、 外国人:5%

購入と売却主が会社の場合は、マレーシア国民と同じ、ただし6年目からだけは5%になる。

【イントラアジアのコメント】

前にも書きましたように、マレーシアマイセカンドホームプログラムの日本人参加者の間では、住宅を購入する人よりも賃借する人の方がずっと多いことは明らかです。この傾向は今後も基本的には変わらないと言っても間違いではないでしょう。ただしマレーシアマイセカンドホームプログラム当局はこういう住宅購入・賃貸を統計することは行っていません。

一方プログラム参加者は銀行の住宅ローンを組むことが認められていることもあり、中には住宅購入を考慮される方もいらっしゃるはずです。
さらには、マレーシアに住むことなく純粋に投資または投機目的で住宅を買う外国人がいることは、新聞などがしばしば強調しているところです。

新規建築の中高級住宅の販売数中、どれくらいの割合が外国人購入者であるかの統計は、マレーシア政府の部局がつかんでいるはずです。恐らく購入者の国籍別統計もあることでしょう。
しかしイントラアジアの知る限り、この種の統計は一般人が簡単に閲覧できるような形では公表されていません。

2013年度予算案で発表された、上記の3つの住宅不動産市場の過熱抑制策によって、2014年の中高級住宅不動産市場には間違いなく変化が現れるだろうと、観られています。この変化が中期的に続くのか、それとも短期的なものに終わるのかは、評する立場と人によって違うようです。

当ブログをご覧になる方の内で住宅不動産購入に興味ある方は、知識としてここで紹介したような情報を知っておかれることに越したことはないはずです。