オカ姉のためいき日記

人生色々、ためいき色々。今日はどんなためいきつくのやら・・・?

「おくりびと」をみた。

2009-07-23 14:37:57 | 芸能(TV・映画)
今頃?やっと? ほんとにそんな感じで・・・遅ればせながら。

この映画がアカデミー賞を受賞して沸きたっていた頃
「納棺夫日記」の原作者の青木新門さんのインタビューを新聞で読んだ。
もっくんがこの著書に感銘をうけ、映画化されたのは知っていた。

しかし青木さんからは、映画化になかなか許可はでず最終的に
「全く別のものとしてなら」ということで、映画化にこぎつけたと後で知った。
15年かかったということにも、いろいろ大変だったのかな?と思いながら
インタビューの内容に目を通すと、驚いたり、納得したりの、であった。

青木さんは 「原作者とされることを拒んだ」という。
・・・私は〝別物〟というご本人の意向だったのだから当然では?と思ったが。
それがあえて言葉としてはっきりと言われたのは、完成した作品をみて
その想いを更に強くされたらしい。  その理由は・・
「〝おくりびとが死者をどこに送るのか?〟が描かれていなかったからだ」と。

原作はいくつかの章に分かれていて、最終章に青木さんが最も伝えたい
ことが書かれているらしい。
その部分が省かれている映画の「原作」にはなりえないという強い信念が
先の言葉となったようだ。

だから「納棺夫日記」は原作ではなく、〝参考著書〟となるのかもしれない。

そんなことを思い出しながらみました。
〝別物〟といっても原作の中の事実(読んでいないけど)をおり込んだ
オリジナルな内容らしい。この作り方でよかったと思った。
もし、青木さんが伝えたかった〝死後〟を盛り込んだらまた別の作風になるし
制作サイドがうけおうにはあまりに難しいテーマなのでは?と思ってしまう。

納棺師という稀?な職業を軸にして、主人公がひとつ成長していく物語だった。
人間て、ある時、何かのキッカケで変わることがあると思う。
〝いや~あの人、年とってからよくなったね~〟なんていうこと。

大悟と関わる人々と死にゆく人々との日常。
〝日常〟をいかに〝日常的〟にみせるかが演じ人の力量だと思う。

本木さん・・いや、もっくん。もっくんは〝思い切りの良い〟演じっぷりが
よくて、納棺の所作の流れが美しかった。端正な顔だちなんだけど
微妙な表情の変化も自然で、ホントに役者に転向してよかったよね。

山崎努さんの圧倒的な存在感!「助演男優賞」の真のお仕事をしてるって感じ。
主役を食っちゃうほどの力を、主役を引き立たせる力に変える力。
すっごく魅力的だった。

もう一人、笹野高史さん。彼にも同じことがいえる。「助演・・・」あげたかった! 
火葬場で〝死〟を〝門〟として

・・・ここを通って新しいところへいくんです」 

青木さんのいう〝死後〟・・・凡人の私にはこの台詞で十分すぎる。

台詞といえば、全編シンプルで押し付けがましくない脚本だったと思うが
ひとつだけチクッとしたのは、仕事の内容を知った妻の言葉。
「けがらわしい」
私としてはこの言葉を口にすること自体が、自分としてけがらわしい。
そういった部類の言葉だと思う。
もし自分のパートナーに投げつけられたら、その時点で気持ちは冷める。
この台詞は、後の大悟の父とのシーンで「夫は納棺師なんです」という
心の変化に繋げるものとも思えるけど、逆効果で説得力は感じず!だ。
残念なことに妻の描き方が薄い。(個人的にHさんが苦手なもんで)

意外だったのはラストシーンに否定的な感想が多かったこと。
でも大悟のこれから、これまでの人生において避けることはできない。
単にただのお涙頂戴的なシーンではないと思う。
誰でも死ぬ時は、誰かに泣いてもらいたい。
家族ならなおさら。 そして大悟は泣くことができてよかった。
泣けない辛さは経験した者にしかわからない。

納棺師は(冠婚葬祭にたずさわる方達)泣いてはいけないんでしょ?
納棺師である大悟が父の死に涙をみせた時、納棺師ではなく
家族として おくりびとになって送ることができたと思う。

今頃みて、なんか熱く語ってしまったぁ
泣いたり、笑ったりと、それらがバランスよく融合された作品でした。
個人的にはもっと〝毒〟のある伊丹十三作品が好みですけど!

私は絶対、冠婚葬祭の仕事は無理!
だって一緒にベェベェ泣いてしまうだろうから
それにしても〝死にどき〟って難しいですよね。
あんまり泣かれてもなんだし〝やっと逝ったね~〟なんてのもいやだしね(笑)

PS。「遺体役」の方々にも何か賞をあげたいよね~





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