オカ姉のためいき日記

人生色々、ためいき色々。今日はどんなためいきつくのやら・・・?

映画「犬に名前をつける日」

2015-11-17 22:35:11 | 上川さん
犬に名前をつけた日」を観ました。

他の映画の動員数とは比べ物にならないがレビューの数は断トツに多いという。
正直なところ、隆也さんとノワールちゃんが出演していなければ映画館へ
足を運ぶことはなかったと思うのだ。

でも本当に観て良かったと思う・・・いや観なければならなかったというべきか?!
だから皆、知ってほしい、伝えたいという想いを声に出さざる得なくなるのだろう。

この映画の監督である山田あかねさん。
飼っていた愛犬を亡くした後「犬の命」をテーマにした映画を撮ろうと思い4年の歳月を
かけて完成させたドキュメント映画。
作品の中の「山田あかねさん」を小林聡美さんが演じることによって
ドキュメンタリードラマという形の映画となっている。

「犬の命」をテーマとするこの映画では必ず取り上げられるはずの「殺処分」を思うと
観る前から気持ちが重くなってしまったのだが、そこだけに焦点をあててはいない。

たしかにやりきれない、突き刺さるし衝撃的でもある。
でも決して単なるお涙頂戴のものではないの。

動物の保護活動に取り組む団体はたくさんあるが、この映画に登場するのは山田監督が
4年間取材した千葉県の「ちばわん」と広島県の「犬猫みなしご救援隊」だ。

飼い主のいない犬猫が収容される「動物愛護センター」
私などつい「保健所」と言っていたけど・・・愛護とはいえ現実は一定期間を過ぎると
ほとんどが殺処分されるところ・・・とは皆認識しているだろう。

ちばわん」はそこから犬猫を引き取り、里親探しにつなげる活動をしている。
引き取る際も冷静に慎重に犬や猫の状態を見極める。そして譲渡会においても
犬たちが二度と同じような境遇にならぬよう、里親希望の方達にもそのように臨む。
副代表の吉田さんの姿勢が印象的だった。

ノワールちゃんが譲渡会で隆也さんに出会ったことは運命だと思っていた。
しかしこうした保護団体の方々の救い、出会いこそがノワールちゃんの“全て”の
運命を決めたんだ!!と初めて知った。

一方の「犬猫みなしご救援隊」は県内の愛護センターの犬猫全てを引き取る。
語弊はあるが正に“手当たりしだい”だ。
悪質なブリーダーによって交配を繰り返して障害が残ったり、悲惨な状態になった
犬猫も引き取っているのだ。
何百匹もの猫が部屋を埋め尽くす映像には、思わず“エエッ”と声が出てしまった。

正直、もう共鳴するとか、尊敬するとか私には思えなかった。
この状態での起こり得る問題点・・・
経済的には?衛生面は?どのように世話してるのか?
なによりも代表の中谷さんとパートナーの田原氏の生活は?人生は?などと頭の中を
かけめぐる。
しかし「やるしかない」という強烈な信念と行動は、私の中の愚問など蹴散らして
しまうほどの凄まじいものだった。

東日本大震災の4日後には、福島原発20キロ圏内に置き去りにされた犬猫を救出。
すでに息絶えている動物もおり、牛や豚などの家畜は殺処分が決まっていたという。
牛達に水を与えながら「(助けてあげられず)ごめんね、ごめんね」と慟哭する中谷さんの
姿には胸をつかれ涙が出た。
1400頭あまりを保護したという・・・もっと報道されていいよね!

震災は甚大な被害と多くの人命が失われ、動物については皆、無意識に胸の中に
押し込めていたような・・・でも動物を家族としている人達にとって身につまされる
ことだったと思う。

話はちょっとそれるけれど、9月の常総市大水害では避難場所となった市庁舎の
廊下はペットと一緒の方達で埋まっていた。
そして濁流の中、屋根の上に取り残されたご夫婦と2匹の犬。
私はどうなるのか怖くて見ていられなかったが、無事に救出されたと知った時は
自衛隊員の方に感謝した。多分み~んなそう思っただろう。
ワンちゃんも一緒に救出したことは、ご夫婦の命と共に生きる力をも救いあげて
くれたようにも思う。

震災後の動物達の光景は「飼い主」となっている人々の何かを変えたのか??
我家にも犬一匹、猫2匹がいる。michaとも「いざとなったらどうするか?」と
話し合ったが・・・・勿論、人命第一だ。でも置いてはいけないだろうな~

動物を飼う、家族になるって、本当にいろんな意味で覚悟がいるってことだ。

殺処分数も徐々に減少しているという。
せめて、せめて最期は“もがき苦しむ”ことのないような方法を誰か発明して

順次公開となるこの映画をひとりでも多くの人に観てほしいです。

パンフレットの裏表紙にあったイラスト。小林聡美さんが描いたのかな~?
だとしたら、演技もイラストも淡々と、そして温か~いね!