オカ姉のためいき日記

人生色々、ためいき色々。今日はどんなためいきつくのやら・・・?

「テミスの剣」感想

2017-10-01 23:55:27 | 上川さん
感想を書こう、書こうと思いつつも、録画を流すとついつい見入ってしまう・・・

先週から連日、そんな感じ

予想していた以上にグイグイとくいこんできました。

テレ東さん、やってくれますね~

正義」・・・理想と現実の表裏一体・・・と個人的に思わずにいられません。
正義を貫いても、正義が僅かでも傾いても、正義というものに付随する言葉や状況は
数えきれないほどあるでしょう?

まとわりつくものの、あまりの多さを考えると、簡単に「正義」を語ることはできないですよね。

正に・・・「あなただったらどうする??」と直球を投げられたような気になった。
だから重いと感じるのかな~

原作未読。
未読だからこその疑問などもあったが、展開に目を離せずに2時間がアッという間!!
登場人物の過多もなく、場面の描写も極力削ぎ落としてのタイト感があり、この尺に
原作を収めるって・・・スゴイな~と思ってしまう。

豪華なキャストでした。役どころをリアルに演じてそれぞれ際立っていた。
際立ちながら、それぞれがこのドラマのテイストに収まっていたのもスゴイ。

楠木明大を演じた中村倫也さんが本当に可哀相で・・・熱演だった。

ただ、なんやかんやと云われていた前田敦子さん。
不健康そうなメイクと滑舌の悪さが気になって・・・・なんで彼女だったのかな~
そして野波麻帆さんの堂島刑事。  「凄惨な現場でも動じない女刑事」ってキャラとして
いるのかもしれないけど、排他的な雰囲気で人間味を感じず、違和感より不快だった。
何よりも「台詞のない時」の役者としての存在感が????だった。

原作の描写の方が凄まじいらしい、高橋克美さん演じる鳴海刑事の取り調べのシーン。
多分・・・・いる(いた)でしょ? ある(あった)でしょ?

最近でも中学生の万引き事件で、酷い暴言や脅しのような聴取がされたり誤認逮捕も
現実に起こってるんですから。


私はこのシーンよりゾッとしたのは
・・・「あの時ホシは楠木だった」という鳴海刑事の言葉です。
そして捏造を「材料の補強」とも! 恐ろしい・・・です。

さてほぼ出ずっぱりの隆也さん演じる“渡瀬刑事”

ご本人曰く「多大なる抵抗」の20代、そして30代、50代と演じきりました。

20代の渡瀬は新米刑事。先輩刑事の指示下でのもどかしさや、ふと胸中をよぎる
疑念への葛藤など、数多くの刑事役の中でも初めて見る姿のような気がした。

冤罪をうんだ警察と真犯人の調書を公表する決意をする30代。
運命というか人生が変わっていく訳ですが……
恩田検事の「(公表すれば)地獄の門が開く」の言葉には無言だった。

渡瀬にとって本当の地獄とは、冤罪によって1人の若者の人生を奪い、
遺された肉親の不幸の上で生きることの方が地獄。
これからの自分に起こる状況変化など比ではない。
この時渡瀬は「自分なりのの正義の秤を持った」ということなのだろう。

だから、その後の20年間の描写はない。
視聴者の脳内補完に任せての……推して知るべし!ということ。

20年後、50代の渡瀬。
渡瀬の生き様がどうしても「沈まぬ太陽」の恩地氏と重なってしまう。
闘い続けるのは同じ両者だが、恩地には家族という支えがあった。
渡瀬の場合、家族(妻)の歴史も短く質も違った。
しかし穿った見方をすれば、支えとなる家族を「巻き込んでしまう」という苦悩もある。
その苦悩が無かった渡瀬は違う意味で闘い続けられたのかもしれない。

闘い続ける人間には強靭な精神力が備わるのかもしれない。良し悪しはあるにせよ・・・
そんな50代の渡瀬を気負いなく表現していた。
もう外見の変化なんかどーでも!って感じです~(笑)

しかしながら渡瀬の「台詞」で思わず耳を覆いたくなった場面もあった。
法廷において「暴力的な取り調べはありませんでしたか?」の問いに・・・
渡瀬は「ありません」と云ってしまう。あーーーっ!!です。
そして数年後、冤罪発覚後、高遠寺判事に
「どうして刑事の嘘を見抜いて下さらなかったのですか?」と・・・こ、これは!?
私的には限りない矛盾感・・・ 未読故の疑問。どなたか教えてください~!

疑問・・・4人(実質的には5人だ)殺害の迫水は死刑ではなく無期懲役。
まさかの20年後の仮出所??なぜ??
加害者の量刑は勿論のこと、その人間の本質を見極めた判決を!と常に思っているが。

恩田検事の疑問・・・・出所日を知る者は必然的に限られているだろうに。
恩田検事はなぜあのような安直な手段をとったのか?どんな優秀な人間でも
追い詰められると、判断を一瞬見誤るということ?   愚か過ぎる。

渡瀬と恩田検事が対峙する10分強を一気にみせる。

「・・・あの時あなたが迫水を目撃したと通報していれば・・・
楠木が濡れ衣をきせられて自殺することもなかった!
4年後、高嶋親子が迫水に殺されることもなかった!
そして楠木の父親が殺人犯になることもなかった!


単にドラマの台詞ではなく、これが怒りの全て。生々しい怒りの言葉だった。
見応えのあるクライマックス。見ている方も少し救われたというか・・・

船越さんがいつ2サスモードになっちゃうか、ヒヤヒヤしたけど!

もひとつ疑問 ・・・・楠木さんの奥さんは本当に認知症であったのか?
長い長い年月の想いが凝縮されたような「ありがとう・・・」になんか胸が詰まったな~

何度も見返して、結局は人生の中で「正義」を突きつけられるような出来事がない
日常が何より幸いなのかもしれない。

「正義」や「真実」は出会う人間の質によって貫かれたり折られたり埋もれたりするのが
無念にも現実かもしれません。

今の世の中を見渡すと「正義」も「真実」も大揺れボロボロ じゃないですか!?

ホントに考えさせられました。

「役者上川隆也」が、またこのような良きお仕事に巡り合えますように!