NHK 「透明なゆりかご」 続けての感想です。
21日の最終話を前にしての感想になります。
衝撃度、えぐられ度は9話の方が強かったのですが・・・・
どうしても、どうしても
録画した6話が 消せな~い
6話は「
いつか望んだとき」
望んでもなかなか新しい命に恵まれない夫婦と、望まない妊娠をしてしまう少女。
どちらも中絶の選択となる。
前回5話では、14歳の出産が描かれ、漠然と「中絶」が漂っていたような気もした。
その漠然と感じたものが“伏線”であったとしたら、6話でその伏線を回収という
エピソードの流れが見事と思えた。こちらの思いを見抜かれたよう・・・・
このドラマ、レギュラー陣は勿論だけど、ゲストの皆さんも毎回良かった。
でも、特に・・・6話でハルミ役を演じた・・・
モトーラ世理奈さんに
オバサンは心を持ってかれました~~~。
「装苑」というファッション誌のモデルさん。
長い手足に小っちゃくて幼さの残る面立ち。
決して美人とはいえないけど、このハルミ役が嵌りすぎて存在感ハンパない。
彼女の演技を、声を、台詞を、表情を、
また見たくなる欲求が
何度も沸きおこっちゃうのだ。
ハルミはアオイと同世代。「望まない妊娠」で中絶は2度目となってしまう。。
表面的な荒ぶれだけでなく、自分自身へのどうにもならない苛立ち、もがき・・・
そんな排他的にならざる得ないハルミという少女を、不思議なほどの自然体で
演じてた。 驚いた!
「私もバカだけど、赤ちゃんもバカだよね。どうして産めない私のところなんかに
くるんだろうね。ちゃんと産んでもらえる人のとこにいけばいいのに・・・」
精一杯の自責の念を表したこの台詞(言葉)が胸にささる~
更に、ハルミの手術を受け入れる老医師夫婦の・・・
イッセー尾形さんと
角替和枝さんが、もうもう素晴らしすぎた。
20年前、妊娠した女学生が訪れる。
(当時の)神村医師は手術を断わったのだろうか?
そのまま帰した女学生は自殺してしまう。二つの命が消えてしまったこの時から
何も訊かず、同意書も必要とせず低料金で中絶手術に臨むことを決めたんだね。
20年前を思い出しながら、仏壇の前に背中合わせに座る二人のシーン。
背と背がつくるV字に陽光が差し込んで、消えない痛みがあふれ出る・・・
すごく感動的な場面&映像で、私はここでググッときちゃいました。
そしてアオイが
“いつかこうなったら”と、願い描く情景がたまらんです!
・・・赤ちゃんを背負ったハルミが、神村夫妻に会いに行く。
赤ちゃんの元気な泣き声と、3人の笑顔・・・・(涙腺崩壊)こうくるか~
アオイとハルミ、老医師夫婦のタッグが、あまりにも私には強烈で
並行して描かれた、病院でのご夫婦のストーリーの印象が弱まってしまい
申し訳ない気持ちです。
アオイは院長である由比先生(瀬戸康史さん)に
「先生はなぜ中絶手術をするんですか?」と訊きます。
由比先生は・・・
「AUS(人工中絶)は、いつか望んだ時ちゃんと妊娠できるようにするための
手術だ。だからできる限り丁寧に処置する。
中絶も分娩も同じだ。
どちらも新しい命を迎えるための仕事だ」
なんかストーンと落ちましたね。
もう、魂の言葉(台詞)がつまってるんだ、このドラマは
声高に否定も肯定も、認めるも認めないも、誤か正か、答えは出せない。
さまざまな事情で選択せざる得ないから!
「
出生前診断」もそうです。
結果によってその選択をしなければならない女性達、家族には
もうひとつの想い(重し)が付加されてしまう。新聞での特集記事を見て改めて
その想いを抱えて出口を探してる心情は、深刻なものだなと感じたんです。
医師達は、そして私だったらどんな言葉をかけるのか?と考えてた。
由比先生のAUSの捉え方に、その
がストンと落ちた気がしました。
信念の中に優しさ。
悩める方々が、このような言葉に触れることができたら、きっと出口を
見つけられるのではないかな~と思ったりしました。
そんな意味でもこの回は(私には)響いたのかもしれません。