2013年12月頃、ギニアを端緒に始まった西アフリカのエボラ熱アウトブレーク。このブログでもたびたびご紹介してきた。
【過去記事】その後のエボラ事情
第一話 すでに過去となったのか?
第二話 ゼロ行進のリベリアで新規症例・・・
第三話 ギニア、歴史が落とす影
第四話 ギニアに潜む深い事情
その後リベリア、シエラレオネに飛び火し、三カ国て大流行。2014年半ば~末頃までに蔓延のピークを迎え、国際社会にも衝撃が走った。これまでの死者数は11,309人、症例数で28,601人に達した。
(ギニア・ドンカ病院エボラ治療センターにて)
2015年に入り、徐々に沈静化に向かい、5月にリベリア、11月にシエラレオネで終息を迎えた。残念ながら、落ちこぼれとなってきたのがギニアだった。
エボラの終息は世界保健機構(WHO)が宣言する。エボラの潜伏期間と言われる21日間を勘案し、最終擬似症例者のエボラ陰性が確定してから42日間、ケースゼロとなれば、晴れて「終息」となる。
そのギニアがきのう42日目を迎えた。新たなケースの発生は報じられていない。もしそのままケースゼロを達成していれば、きょうにもギニアのエボラ熱流行終息が公式に宣言される。
(最後のエボラ患者退院を祝う保健従事者、シエラレオネで)
これで昨年2014年8月にWHOが発出した「国際的に懸念される公衆保健上の緊急事態」(PHEIC)も終結が期待される。そうなれば、晴れて国際的に「エボラフリー」となる。
※ただしすでに終息を迎えたリベリアで11月に限定的再発事象が発生(二度目の再発事象)。再び42日間のカウントダウン中で、ケースゼロが続けば1月14日に再々終息となる。
エボラが残した禍根は大きい。特に開発機会の喪失。例えば国連開発計画(UNDP)発表する開発の総合指標、人間開発指数。ギニアは187カ国中の179位だ。世界銀行による一人当たりの国内総生産(GNI)でも480ドルで、ワースト10に入る。この国の経済成長率はエボラのアウトブレークが襲った2014年で1.1%、2015年では0.0%だ。人口増加率2.5%を考えれば、実質マイナス成長ということになる。 この間、平均6-7%といわれたアフリカの力強い経済成長から、完全に遅れをとった。
他方、エボラにより人々は二次感染を恐れ病院に行かなくなった。このためたくさんの人がマラリアに罹患し、それによる死者も多く発生した、と報じられる。また長期にわたり学校も閉鎖。経済成長から置いて行かれたばかりが、もともと遅れをとったきた社会開発の面でも大きなハンデを背負ってしまったのだ。
もうひとつ、エボラウィルスについて。疫学や臨床学的な面で、まだまだフォローすべきことがある。再発時の対処体制の再構築、サーベイランスの強化などに加え、エボラから治癒した患者への影響や体内へのウィルス残留、いわゆる「エボラサバイバー」の問題など。まだまだわかっていないことも多い。この点はまた機会を改めてご紹介できればと思う。
先にこのブログでも書いたとおり、ギニアでは平和のうちに大統領選挙が終わったところ。エボラ終結が宣言されれば、よいニュースで新年を迎えることができる。ギニアを始めエボラに苛まれてきた西アフリカ三カ国にとって、経済・社会の復興と、エボラで失われた成長機会のリカバーに向け、飛躍の年となることを期待したい。
(おわり)
【過去記事】その後のエボラ事情
第一話 すでに過去となったのか?
第二話 ゼロ行進のリベリアで新規症例・・・
第三話 ギニア、歴史が落とす影
第四話 ギニアに潜む深い事情
その後リベリア、シエラレオネに飛び火し、三カ国て大流行。2014年半ば~末頃までに蔓延のピークを迎え、国際社会にも衝撃が走った。これまでの死者数は11,309人、症例数で28,601人に達した。
(ギニア・ドンカ病院エボラ治療センターにて)
2015年に入り、徐々に沈静化に向かい、5月にリベリア、11月にシエラレオネで終息を迎えた。残念ながら、落ちこぼれとなってきたのがギニアだった。
エボラの終息は世界保健機構(WHO)が宣言する。エボラの潜伏期間と言われる21日間を勘案し、最終擬似症例者のエボラ陰性が確定してから42日間、ケースゼロとなれば、晴れて「終息」となる。
そのギニアがきのう42日目を迎えた。新たなケースの発生は報じられていない。もしそのままケースゼロを達成していれば、きょうにもギニアのエボラ熱流行終息が公式に宣言される。
(最後のエボラ患者退院を祝う保健従事者、シエラレオネで)
これで昨年2014年8月にWHOが発出した「国際的に懸念される公衆保健上の緊急事態」(PHEIC)も終結が期待される。そうなれば、晴れて国際的に「エボラフリー」となる。
※ただしすでに終息を迎えたリベリアで11月に限定的再発事象が発生(二度目の再発事象)。再び42日間のカウントダウン中で、ケースゼロが続けば1月14日に再々終息となる。
エボラが残した禍根は大きい。特に開発機会の喪失。例えば国連開発計画(UNDP)発表する開発の総合指標、人間開発指数。ギニアは187カ国中の179位だ。世界銀行による一人当たりの国内総生産(GNI)でも480ドルで、ワースト10に入る。この国の経済成長率はエボラのアウトブレークが襲った2014年で1.1%、2015年では0.0%だ。人口増加率2.5%を考えれば、実質マイナス成長ということになる。 この間、平均6-7%といわれたアフリカの力強い経済成長から、完全に遅れをとった。
他方、エボラにより人々は二次感染を恐れ病院に行かなくなった。このためたくさんの人がマラリアに罹患し、それによる死者も多く発生した、と報じられる。また長期にわたり学校も閉鎖。経済成長から置いて行かれたばかりが、もともと遅れをとったきた社会開発の面でも大きなハンデを背負ってしまったのだ。
もうひとつ、エボラウィルスについて。疫学や臨床学的な面で、まだまだフォローすべきことがある。再発時の対処体制の再構築、サーベイランスの強化などに加え、エボラから治癒した患者への影響や体内へのウィルス残留、いわゆる「エボラサバイバー」の問題など。まだまだわかっていないことも多い。この点はまた機会を改めてご紹介できればと思う。
先にこのブログでも書いたとおり、ギニアでは平和のうちに大統領選挙が終わったところ。エボラ終結が宣言されれば、よいニュースで新年を迎えることができる。ギニアを始めエボラに苛まれてきた西アフリカ三カ国にとって、経済・社会の復興と、エボラで失われた成長機会のリカバーに向け、飛躍の年となることを期待したい。
(おわり)