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ヤヒヤ・ジャメ独裁体制、終焉へ〜ガンビアという国(17)

2017-01-21 15:30:54 | アフリカ情勢
このブログでも数年にわたって話題にしてきたガンビア、ヤヒヤ・ジャメ体制。当地アフリカ時間2017年1月21日未明、あまりにも長かった独裁の歴史は22年の時を経て、最終章の幕が降ろされつつある。


20日昼前に始まったギニアのアルファ・コンデ大統領、モーリタニアのアブデル・アジズ大統領による長い長い仲裁は、日付を越えた。そしてヤヒヤ・ジャメ「前」大統領は午前4時、国営テレビの前に姿を現し、大統領の座を明け渡す、と発表した。

「私はアフリカの民主主義への挑戦、自ら事態を打開しょうとする対話の重要性に想いを馳せた。そして本日、この国の執政から身を引こうとの決意に至った理由である。・・その決断には、ガンビア国民とこの国の利益のことだけを考えた。・・一滴の血も流すことも望まなかった。・・22年の間、現代的なガンビアを打ち立てるために、私に指示を寄せてくれた国民に、絶大な感謝の意を表したい。・・そして偉大なる神の思し召しに従った。神に感謝を捧げる。ガンビアに幸あれ。」

そして今後について、「一市民として(ガンビアの地で)生活を送っていきたい。」

この最後の交渉で何が取り決められたのか、彼がどこへ行くのか、まだ明らかになっていない。しかしジャメ前大統領は、自ら身を引くことを受け入れた。

(RFIウェブサイトより)


長い長い交渉の1日はこうして幕を閉じた。

20日(金)、西アフリカ経済共同体(ECOWAS)展開軍は、5カ国(ナイジェリア、セネガル、ガーナ、マリ、トーゴ)から約7,000人規模が展開していた。

これに対し、ガンビア国軍のウスマン・バジ参謀総長は、「わが兄弟のECOWAS展開軍を、茶菓子を用意して受け入れる」と述べ、旧ジャメ体制との決別とECOWAS支援軍への支持を明確にした。

この日の国連の発表によれば、累計約45,000人が難民として国外に避難した。ちなみにガンビアは人口150万あまりの国。

11時半頃、ジャメ大統領は内閣を解散。新しい組閣を直ちに行うと発表。そういえばこの国、いつも大臣がコロコロ変わる、デフォルトで「魔女狩りの国」だった。

午前11時半、仲裁者としてギニアのコンデ大統領がバンジュル着。また12時20分頃には、モーリタニアのアブデル・アジズ大統領が合流。会談が開始された。

交渉の一つの要点として、ジャメ前大統領は、権力を受け渡したあと一体どうなるのか?彼はいったいどこに身を置くのか、という問題が議論されているはずだ。まずは数々の人権蹂躙などで人々を苦しめてきたジャメ前大統領。人道に対する罪に問われる可能性がある。オランダのハーグ、国際刑事裁判所行きだ。当然ジャメ前大統領はその特赦を求めるだろう。ちなみにその国際刑事裁判所の判事長、ベンゾーダ女史はガンビア人だ。

そして彼がこれから身を置くべき場所。かれはガンビア国内に居残りたいと述べているようだ。しかしそうすると、再び政権転覆を企てる可能性がある。影響力を及ぼす可能性がある。そういった疑心暗鬼が残る。

選挙の敗北を認めた、あの段階であればそれが許された空気があった。しかし今となってはもはや取り得ないチョイスだろう。事前に聞こえてきた情報では、ギニア、モーリタニア、モロッコ、ギニアビサウ、ナイジェリア、そしてカタールなどがリファーされたと報じられる。


かくしてヤヒヤ・ジャメ大統領の失墜劇は終幕を迎えつつある。しかし彼はまだ国を出ていない。大統領のイスを物理的に明け渡したわけではない。彼が大統領府の座を物理的に背にした時、物語はエピローグを迎える。

(エピローグへ)

追記 当地西アフリカ時間 21日 12:30
セネガルメディアは、ジャメ大統領がさしあたりギニアに出国すると報じています。

当地西アフリカ時間22日、ジャメ大統領は赤道ギニアに亡命すると伝えられています。



昨日までのあらすじ(?!)はこちら↓
ガンビアという国第16話 そして軍事介入へ

※初めてガンビアについてお調べになって、このサイトにお越しいただいた方もいると思います。参考になるリンクを以下にまとめて掲載させていただきました。

シリーズ ガンビアという国
第1話 迷走国家
第6話 ヤヒヤ・ジャメ体制20周年
第9話 独裁ジャメ大統領「何もムリに私に投票しなくてもいい」
第10話 ジャメ大統領、大統領選挙の敗北を認め政権移譲。最後のサプライズ
第11話 【速報】「やっぱいまのナシ!」ジャメ大統領が敗北を否定
第12話 忘却の国から火薬庫へ
第14話 緊迫のガンビア情勢・Xデー前夜
第15話 駆け込みガンビア情報「お芝居は終わった」

しかし、ここまでガンビアねたを連載し続けた、物好きな日本語メディアはないのではないかと思う・・・笑。

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