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ブルキナファソで何が起きているか?(1)〜サヘル・テロ勢力の新たな潮流

2018-10-22 07:30:00 | アフリカ情勢
フランスのル・ドリアン外相は、西アフリカを訪問。18日にブルキナファソを訪れた。若年層に対する技術教育学校の引き渡し式出席が訪問目的とされたが、真のテーマは「サヘルにおけるテロとの戦い」であることは明らかだった。

マリ北部、中西部を震源とするサヘルのテロ勢力。仏軍によるバルカン作戦が進行、掃討はすすみつつある。しかしテロ勢力は増殖と分裂、拡散をくりかえし、新たなステージに進んだといえる。2015年1月、オーストラリア人医師が北部の町、ジボ(Djibo)で誘拐される事件が発生。同年3月ころから、ブルキナファソ北部におけるテロが徐々に顕著となり、2018年2月からはその兆候が同国東部に拡大。サヘルにおけるテロの新たなフロンティアとなりつつある。

ブルキナファソ北部は現在、多くの諸外国の渡航情報の「レッドゾーン」。地域住民も夜間の移動を規制されている。そして治安当局は、「見えない敵」の急襲につねに怯えている。特にここ数ヶ月のテロの連続は、事態が急速に悪化している兆候を感じさせる。10月に入り、テロ勢力による襲撃がさらに顕著に繰り返されている。そんな中、仏軍による初の本格的空爆が行われた。

(Centre d’études stratégiques de l’Afriqueによるアフリカ・テロ勢力図)


ル・ドリアン外相は、この差し迫った状況の中で実現された。前回訪問はフランス大使館も標的とされた、ワガドゥグ市内でのテロ事件の直後。それから約半年。それマルク・クリスチャン・カボレ大統領との会談では、仏・ブ間の協力関係強化が緊急に協議された。そして仏軍による治安当局の強化訓練と、装備強化への支援を約束した。そしてその日にも、北部ジボで憲兵隊部隊に対する襲撃が発生した。

ブルキナファソ北部、東部の近年のテロ。その手法は、警察や憲兵隊ポストの襲撃のほか、特徴的なのはオートバイによる夜間襲撃と、即席爆発装置(engins explosifs improvisés: EEI、英語ではImprovised Explosive Device: IED)による攻撃だ。そしていずれも明確な犯行声明が出されていない。当地の地域研究者によれば「パーマネントな拠点が築かれているかは定かでない。しかしアクティブグループがこの地を根拠としつつあることは確か。」という。


ブルキナファソが新たなテロの舞台となった背景には、同国の政局も影響するとみられている。2014年10月、27年の超長期政権を築いてきたブレーズ・コンパオレ体制が崩壊。これにより三つの大きな兆候が生じたとみられる。一つは国軍、治安部隊の指揮と統率の弱体化。二つ目は、その原因となっている軍内部でのコンパオレ派のと現体制派の不和。かかる状況下で、ブルキナファソは容易にテロ勢力の首都侵入を許し、首都ワガドゥグは過去3回も直接の襲撃事件の舞台となった。

さらに三つ目の要因は、コンパオレが有していた対マリ問題への影響力である。以前、コンパオレはマリのトゥアレグや武装勢力とのチャンネルを持っていたとされる。仏人人質における交渉、またマリ危機における2013年のワガドゥグ合意など、この問題に少なからず関係してきた。その後、国民革命でコンパオレ体制が崩壊、カボレ大統領が政権を担うが、マリ問題に関しては有効なパイプを有していないとされる。いずれにせよ、「テロに無力な大統領」との不名誉な呼び名も聞かれる。

ブルキナファソ北部は、容易にマリ北部のテロ勢力の侵入を許し、ずるずると防衛線が後退。そして武装グループの活動勢力となってしまったかのようだ。

(つづく)


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