私はこれまでフランス語圏アフリカにどっぷり浸かり、オタクに追求してきた。自称、「仏族」だ。そういった意味で、アフリカにおける仏語圏への関心はひとしおだ。想いを綴ったエッセイ、『仏語圏へのいざない』を先般アップさせていただいた(→前編、後編)。
現在、アフリカの国数は54。時折「うち仏語の国は何カ国ですか?」といったご質問を頂くが、公用語、行政言語の定義はなかなか難しい。
(写真:アフリカの仏語行政文書作成のお手本帳。コートジボワールで見つけた。12,000FCFA(日本円で約2,400円) )
例えばアルジェリア。仏語は広く通用するが、政府はアラビア語を重視し、仏語を公用語から遠ざける政策をとってきた。公立学校でもアラビア語が徹底されたが、就職などを考えた時には仏語が絶対有利な現実があり、子供に仏語を学ばせようとする風潮は依然強い。
例えばルワンダ。カガメ政権下、「英語化した」と表現する人もいるが、正しくは'Un pays de tri-langue'、つまり三カ国語の国と称し、国民みんなが、英語、仏語、キニャルワンダ語で意思疎通ができるようになることを目指している。
例えばカメルーン。仏語と英語を公用としているが、実質的には歴史の経緯もあり、バイリンガルの国家というより、旧仏領カメルーン地域は仏語。旧英領カメルーン地域は英語と、一国に二制度に近いといえる。
日本ではあまり知られていない機関だが、フランス語圏諸国機構(OIF)という機構が存在する。
(フランス語圏諸国機構(OIF)ロゴ)
英語圏でいえばコモンウェルスに相当するが、仏族の絆はもっと強い。総裁はフランス人ではなく、アブドゥ・ディウフ、セネガル第二代大統領。後継者選定がいま話題となっている。加盟国は世界77カ国(うち20カ国がオブザーバー)に及び、中には仏語が日常使われないエジプトや南アフリカなども含まれる。
2年に1回開催されるOIFサミット。前回は2012年にコンゴ民主共和国のキンシャサで開催された。フランスはオランド大統領となって初のサミットであったが、カビラ政権の民主主義と人権を問題視。参加が危ぶまれたが「日帰り」で訪問することで落ち着いた。次回の第15回サミットは今年2014年、セネガルのダカールで開催される。
そこで語られるフランス語は、文化や言語的側面以上に、政治・経済、平和構築が議題の主役である。紛争の国際調停にしても、平和維持ミッションの派遣にしても、語学とコンテクストの親和性が高い仏語圏のどこかの国が貢献しなければならないことは自明だ。OIFの根回し的役割は少なくない。
またOIFが主催する、スポーツと音楽、文化の祭典、いわば仏語圏オリンピックも開催されている(前回は第2回大会、2013年9月、ニースで開催)。
さて、話をアフリカ全体に戻す。仏語を公用語、もしくは行政言語としている国の数を、このOIFの整理からとると、全部で25カ国。また仏語で行政上仕事がこなせる国ということでは29カ国と、半数を超える。
(1)仏語を唯一の公用語とする国:13ヶ国(うちアフリカ11カ国=ベナン、ブルキナファソ、コンゴ(共)、コンゴ(民)、コートジボワール、ガボン、ギニア、マリ、ニジェール、セネガル、トーゴ)
(2)仏語を公用語の一つとしている国:16カ国(うちアフリカ10カ国=ブルンジ、カメルーン、中央アフリカ、コモロ、ジブチ、赤道ギニア、マダガスカル、ルワンダ、セイシェル、チャド)
※ハイチもここに含まれる。
(3)上記(1)(2)に入っていないが実効的にフランス語が公用言語的に使われている国:アフリカ4カ国(アルジェリア、チュニジア、モロッコ、モーリタニア)
(4)上記(1)~(3)に入っていないが実効的にフランス語で業務実施可能な国:アフリカ3カ国(カーボベルデ、ギニアビサウ、サントメ・プリンシペ、赤道ギニア)
日本にいるとこの事実、そしてその意味するところが、アフリカの専門家をしても良く理解されていない。国際化、英語化の流れはトレンドとしては十分踏まえておかなければならない。しかしそれが世界全体を凌駕するようにはならないし、ならない方が良い。もちろん、英語やフランス語はアフリカの固有語ではなく、アフリカでも常にこの種の議論がある。国民教育と公用語、現地語の関係はホットなイシューだ。しかし現実問題として、アフリカとしっかり付き合うためには、フランス語を重視しないわけにはいかないのだ。
(つづく)
現在、アフリカの国数は54。時折「うち仏語の国は何カ国ですか?」といったご質問を頂くが、公用語、行政言語の定義はなかなか難しい。
(写真:アフリカの仏語行政文書作成のお手本帳。コートジボワールで見つけた。12,000FCFA(日本円で約2,400円) )
例えばアルジェリア。仏語は広く通用するが、政府はアラビア語を重視し、仏語を公用語から遠ざける政策をとってきた。公立学校でもアラビア語が徹底されたが、就職などを考えた時には仏語が絶対有利な現実があり、子供に仏語を学ばせようとする風潮は依然強い。
例えばルワンダ。カガメ政権下、「英語化した」と表現する人もいるが、正しくは'Un pays de tri-langue'、つまり三カ国語の国と称し、国民みんなが、英語、仏語、キニャルワンダ語で意思疎通ができるようになることを目指している。
例えばカメルーン。仏語と英語を公用としているが、実質的には歴史の経緯もあり、バイリンガルの国家というより、旧仏領カメルーン地域は仏語。旧英領カメルーン地域は英語と、一国に二制度に近いといえる。
日本ではあまり知られていない機関だが、フランス語圏諸国機構(OIF)という機構が存在する。
(フランス語圏諸国機構(OIF)ロゴ)
英語圏でいえばコモンウェルスに相当するが、仏族の絆はもっと強い。総裁はフランス人ではなく、アブドゥ・ディウフ、セネガル第二代大統領。後継者選定がいま話題となっている。加盟国は世界77カ国(うち20カ国がオブザーバー)に及び、中には仏語が日常使われないエジプトや南アフリカなども含まれる。
2年に1回開催されるOIFサミット。前回は2012年にコンゴ民主共和国のキンシャサで開催された。フランスはオランド大統領となって初のサミットであったが、カビラ政権の民主主義と人権を問題視。参加が危ぶまれたが「日帰り」で訪問することで落ち着いた。次回の第15回サミットは今年2014年、セネガルのダカールで開催される。
そこで語られるフランス語は、文化や言語的側面以上に、政治・経済、平和構築が議題の主役である。紛争の国際調停にしても、平和維持ミッションの派遣にしても、語学とコンテクストの親和性が高い仏語圏のどこかの国が貢献しなければならないことは自明だ。OIFの根回し的役割は少なくない。
またOIFが主催する、スポーツと音楽、文化の祭典、いわば仏語圏オリンピックも開催されている(前回は第2回大会、2013年9月、ニースで開催)。
さて、話をアフリカ全体に戻す。仏語を公用語、もしくは行政言語としている国の数を、このOIFの整理からとると、全部で25カ国。また仏語で行政上仕事がこなせる国ということでは29カ国と、半数を超える。
(1)仏語を唯一の公用語とする国:13ヶ国(うちアフリカ11カ国=ベナン、ブルキナファソ、コンゴ(共)、コンゴ(民)、コートジボワール、ガボン、ギニア、マリ、ニジェール、セネガル、トーゴ)
(2)仏語を公用語の一つとしている国:16カ国(うちアフリカ10カ国=ブルンジ、カメルーン、中央アフリカ、コモロ、ジブチ、赤道ギニア、マダガスカル、ルワンダ、セイシェル、チャド)
※ハイチもここに含まれる。
(3)上記(1)(2)に入っていないが実効的にフランス語が公用言語的に使われている国:アフリカ4カ国(アルジェリア、チュニジア、モロッコ、モーリタニア)
(4)上記(1)~(3)に入っていないが実効的にフランス語で業務実施可能な国:アフリカ3カ国(カーボベルデ、ギニアビサウ、サントメ・プリンシペ、赤道ギニア)
日本にいるとこの事実、そしてその意味するところが、アフリカの専門家をしても良く理解されていない。国際化、英語化の流れはトレンドとしては十分踏まえておかなければならない。しかしそれが世界全体を凌駕するようにはならないし、ならない方が良い。もちろん、英語やフランス語はアフリカの固有語ではなく、アフリカでも常にこの種の議論がある。国民教育と公用語、現地語の関係はホットなイシューだ。しかし現実問題として、アフリカとしっかり付き合うためには、フランス語を重視しないわけにはいかないのだ。
(つづく)
仏族という言葉を初めて聞いたのは、
飯田橋でアフリカ料理店TRIBESをやってた
数年来のお友達、イッシー(最近移転しちゃったみたい)
そんな私は、7月14日はふらふらと
フランスイベントに参加し、
羊のクスクスを食べていました。
フランスはあんまり好きではないのですが、
仏語圏アフリカは好きです。
コフィ石川に仏族という言葉を教え、植え付けたのはまさにンボテですから。トライブス、このブログにも過去4~5回登場していますので、検索してみてください!こんど行きましょう!