日本を発つ前、家を整理していたら、もう10年、15年以上も前に購入したフランス語の参考書がたくさん出てきた。今読んでも実に勉強になる本がたくさんあることに気づかされる。そして特に興味深かったものを再び手に取ってみよう、と思いついた。
そんな中、目を引いたのが『初学者も専門家も 〇〇じゃフランス語はわからない』シリーズ。いろいろなテーマの本が出ており、ンボテもかつてこの本を読み物として活用させていただいた。なつかしい。
特にもう一回、読み直してみようかな?!なんて思って、手にしたのがこちら。
『新・冠詞抜きでフランス語はわからない~例文比較による徹底解説』
フランス語で大切な要件を伝えるためのレターや取り決め文書、スピーチ原稿などを作文するときに常につき惑うのが冠詞の処理。そもそも日本語には冠詞の概念がないのだが、フランス語では冠詞が表現する意味内容やニュアンスが多く、情報伝達において冠詞に依存する部分が少なくない。逆に言えば、冠詞を扱えないと、正しい意味内容も伝わらないリスクが高いのだ。
そういえばアフリカ人もこの手の話は大好きだ。取り決め文書の読み合わせを始めると、中身はさておき、文法をめぐる論戦で熱くなる、いや熱くなって議論が長引きまくることもしばしば。
ある程度、言語に関わってくると、冠詞の感覚もなんとなく体が覚えているものだが、どれだけ自信を持って使い分けられているか、といわれるとかなり怪しい。
この本はそもそも著者、一川氏が「趣味は冠詞」というくらい用法にこだわる。冠詞の与える話者の世界観に基礎を置き、定冠詞・不定冠詞と部分冠詞の使い分け、冠詞の省略とニュアンスの違い、否定文や再帰代名詞と冠詞との相関関係、個別の動詞や名刺との相性などに踏み込んでいく。
そういえば昔、参●製薬から「サンテ・ド・ウー」という目薬が販売されていた。これをめぐり、フランス語話者のコミュニティでもあった月刊『ふらんす』で、ちょっとした論争が巻き起こったという。
「サンテ・ド・ウー」は、フランス語で書くと'Santé de yeux'。日本語で言えば「目の健康」というところだ。これに対し、目(œil )は誰にでも二つあり、目の健康も二つの目、両方にかかるべきもの。ゆえに複数形のyeuxを使うべきであり、かつ、健康を求めるのはその二つの目「両方」ですよ、と指し示すための定冠詞複数形'les'が必要。そして前置詞'de'と定冠詞'les'の縮約がおきて'Santé des yeux'となるべきではないか、というもの。文法としてそちらが正しいとして、お薬の商品名として「サンテ・デ・ジュー」、いかがだろうか?いずれにせよフランス語はいろいろややこしい。
そういえばこの本、よく見ると表紙からしてすでに冠詞モード全開。笑
ンボテもこの本でles connaissances(冠詞にまつわる全ての知識)とはいかなかったが、des connaissances(いくばくかの知識)は得た。いやde la connaissance(冠詞にまつわる知識軍の一部)かなぁ。
かくして、冠詞抜きでフランス語はわからないのであった。
(おわり)
そんな中、目を引いたのが『初学者も専門家も 〇〇じゃフランス語はわからない』シリーズ。いろいろなテーマの本が出ており、ンボテもかつてこの本を読み物として活用させていただいた。なつかしい。
特にもう一回、読み直してみようかな?!なんて思って、手にしたのがこちら。
『新・冠詞抜きでフランス語はわからない~例文比較による徹底解説』
初学者も専門家も新・冠詞抜きでフランス語はわからない―例文比較による徹底解説 | |
一川周史著 | |
駿河台出版社 |
フランス語で大切な要件を伝えるためのレターや取り決め文書、スピーチ原稿などを作文するときに常につき惑うのが冠詞の処理。そもそも日本語には冠詞の概念がないのだが、フランス語では冠詞が表現する意味内容やニュアンスが多く、情報伝達において冠詞に依存する部分が少なくない。逆に言えば、冠詞を扱えないと、正しい意味内容も伝わらないリスクが高いのだ。
そういえばアフリカ人もこの手の話は大好きだ。取り決め文書の読み合わせを始めると、中身はさておき、文法をめぐる論戦で熱くなる、いや熱くなって議論が長引きまくることもしばしば。
ある程度、言語に関わってくると、冠詞の感覚もなんとなく体が覚えているものだが、どれだけ自信を持って使い分けられているか、といわれるとかなり怪しい。
この本はそもそも著者、一川氏が「趣味は冠詞」というくらい用法にこだわる。冠詞の与える話者の世界観に基礎を置き、定冠詞・不定冠詞と部分冠詞の使い分け、冠詞の省略とニュアンスの違い、否定文や再帰代名詞と冠詞との相関関係、個別の動詞や名刺との相性などに踏み込んでいく。
そういえば昔、参●製薬から「サンテ・ド・ウー」という目薬が販売されていた。これをめぐり、フランス語話者のコミュニティでもあった月刊『ふらんす』で、ちょっとした論争が巻き起こったという。
「サンテ・ド・ウー」は、フランス語で書くと'Santé de yeux'。日本語で言えば「目の健康」というところだ。これに対し、目(œil )は誰にでも二つあり、目の健康も二つの目、両方にかかるべきもの。ゆえに複数形のyeuxを使うべきであり、かつ、健康を求めるのはその二つの目「両方」ですよ、と指し示すための定冠詞複数形'les'が必要。そして前置詞'de'と定冠詞'les'の縮約がおきて'Santé des yeux'となるべきではないか、というもの。文法としてそちらが正しいとして、お薬の商品名として「サンテ・デ・ジュー」、いかがだろうか?いずれにせよフランス語はいろいろややこしい。
そういえばこの本、よく見ると表紙からしてすでに冠詞モード全開。笑
ンボテもこの本でles connaissances(冠詞にまつわる全ての知識)とはいかなかったが、des connaissances(いくばくかの知識)は得た。いやde la connaissance(冠詞にまつわる知識軍の一部)かなぁ。
かくして、冠詞抜きでフランス語はわからないのであった。
(おわり)