ぶらぶら★アフリック

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二つのコンゴをつなぐ橋(2)〜つながりたいのは一つのコンゴ

2018-11-19 07:30:00 | アフリカ情勢
二つのコンゴを隔てる大河、コンゴ川。世界で最も近い二つの首都、ブラザヴィル(コンゴ共和国)とキンキャサ(コンゴ民主共和国)を分かつ。もともと同じ地域、同じく部族、同じ言語を話し、同じものを食べていた地域。しかしこの川が19世紀以降、両国の歴史を決定的に隔て、人々の往来を阻んできた。そんなことから人々は対岸を歌に歌い、思いを馳せてきた。


そんな両岸を結ぶコンゴ橋建設の話が現実を帯びてきている。キンシャサ・ブラザビル橋の建設プロジェクトだ。しかしその橋、決して夢の橋とばかりは言えない現実がある。
二つのコンゴをつなぐ橋(1)〜♪エザイ・ンボカ・モコ(もともと一つの街)
(↑ここまで第一話。二つのコンゴを歌った歌もどうぞ。)


なぜか。それはコンゴ民主共和国側の事情が大きい。

ギニア湾に面する中部アフリカには、カメルーンのドゥアラからアンゴラのロビトまで、人口に比してたくさんの港が狭い範囲に集中する。その中で最も大きな機能を果たしているのが、コンゴ共和国のポワントノワール港だ。

外洋に面した天然の良港、水深15メートルを確保し、大型船の寄港に障害がない。また中部アフリカの中程にあるポジションは、トランシップにも有利に機能している。しかしコンゴ共和国は人口わずか300万人。また地域統合も十分進んでいない。この港の規模をもてあそぶ。

一方のコンゴ民主共和国。人口8000万人を数え、首都キンシャサだけでも1000万人の大都会だ。それを支えているのは、コンゴ川を首都から河口方面に300キロあまり下ったところにある、マタディ港だ。

(マタディ港、木が邪魔していてすみません。)


マタディ港は外洋に面していない。コンゴ川を約100キロ近く上ってきた河川港だ。いくら大河とはいえ、大型の船の寄港ができず、また雨期・乾期の別、漂砂の状況でも航路に影響がある。さらに急峻な地形のマタディ、これ以上港の拡張余地がない。

自動車などの揚陸はもう少し河口に近いボマ港に機能分化されている。このことはコンゴ西部を支える港湾機能として、大きな制約要因となっている。


他方のコンゴ東部。この国の経済を支えるのは南東部のコッパーベルト、カダンガ地方だ。ここで取れる鉱物資源を、他国の事情に左右されず、そして自国の利のもとに輸出したい、というのが長年の今後の夢だ。

しかしアフリカで唯一時差を持つ巨大な今後。バッドガバナンスと紛争の歴史、そして熱帯雨林の過酷な地形は、東西を道路・鉄道などの基幹インフラでつなぐことを許してこなかった。

結果、カタンガの資源や、同地への物資の補給はザンビアを経由してはるか南アフリカのダーバンから、あるいはタンガニーカ湖を渡ってタンザニアのダルエスサラーム、はたまたアンゴラ経由でロビト港に向かう。コンゴ民主共和国にとっては大きな経済機械の逸失であるのみならず、国の尊厳に関わる問題と捉えられている。国道一号線の東西接続、鉄道の未開通区間、キンシャサ・イレボ間の鉄道建設は国策として最重要のプロジェクトであり続ける。

広大なコンゴ。東西が陸続きのインフラでつながっていないのだ。となりのコンゴとつながる前に、まずはコンゴの中をつなげたい。そして資源を自国の管理下に置き、自らの港から積みだしたい。そういった事情があるのだ。

(南部アフリカ回廊地図, Nick Charalambides, researchgate.net)



二つのコンゴをつなぐ橋には、さらに複雑な事情がある。

(次回につづく)


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