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カメルーン列車事故の余波(後編)〜注がれる厳しい視線

2016-11-08 07:30:42 | アフリカ情勢
10月21日に発生したカメールン、カムライ鉄道の大惨事。前回はこの事故の原因にまつわるお話を少々させていただいた。

カメルーン列車事故の余波(前編)〜未曾有の事故はなぜ起きたか?

(Jeune Afriqueより)



この大事故に対し、2つの大きな責任が問われている。

第一には、カムライ鉄道だ。いや、それ以上に矛先が向けられているのは、実質的な経営を握る大口株主、ボロレ社だ。フランスのジャイアント企業、西アフリカのロジスティック界に君臨。ネオ植民地主義、帝国主義の象徴とも評される。社長、ヴァンサン・ボロレはアフリカ中の鉄道にご専心。現在、経営は子息のシリル・ボロレに移りつつある。そしてその大きな存在の陰では、黒い噂も囁かれる。

過去記事
ボロレ疑惑~仏系巨大ロジスティック企業にかかる嫌疑

犠牲者家族は11月2日、エセカ地方裁判所にカムライ鉄道とボロレグループを訴えた。訴状では事故原因の究明と、不十分な損害賠償、慰謝料の補償要求。訴えはボロレ社長、技術役員、カムライ鉄道と運転手にも向けられている。弁護側はブレーキシステムの問題など、専門家を含めて詳細検証を進めている。代表団は近日、フランスの法廷にもボロレ社を訴えることとしている。


もう1つの矛先。それはもちろんポール・ビヤ大統領とその体制だ。10月23日、ビア大統領はテレビでメッセージを発出。「私の思い、そして最初の言葉を事故の犠牲者とその族に向けたい。」と哀悼の意を表し、翌24日を服喪の日とした。

しかし、その涼しい言葉の陰で。。。ビヤ氏は30年以上、カメルーン共和国大統領の地位に君臨してきた。健康不安も噂されて長いが、最近では多くの時間をフランスを含め、海外で過ごしている。日常の統治には実質的にほとんど関与していない。

事故の起きたその時、彼はすでに1ヶ月以上を海外で過ごしている最中であった。一報はスイスのレマン湖畔で耳にしたという。ビヤ大統領はあわててヤウンデに急行という顛末だ。

重要な場面で国におらず、国家の財でリゾート地に滞在。急いで帰国してメッセージこそ発出したが、国家追悼式にも出席せず、負傷者の見舞いも、現場視察もしていない。なんのための大統領だ。大統領に向けられる視線はかつてなく厳しい。

事故後、大統領令で設置された「事故調査委員会」は、国内外の専門家の英知を合わせ、30日以内に結果を発表するとしている。現地では日に日にボロレ社への批判や補償要求が強まる中、この背景でビヤ大統領陣営はボロレ社をスケープゴートにしているのではないか、とのうがった見方もある。

北部ボコ・ハラムへの対応しかり、今回の事件で、ポール・ビヤ体制にはかつてない批判が集められた。長期政権のほころびはいずれ訪れる。線路はどこまでも続かない。

(おわり)

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