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米軍、アフリカにおけるテロとの戦い(1)~多国籍統合訓練「フリントストック」発動中!

2016-02-26 07:30:59 | アフリカ情勢
2月、セネガルのティエス州に位置する軍施設では、「恒例」となった在アフリカ駐留米軍が主導する年次定期訓練「フリントロック」が行われている。今年は約30カ国の参加を得て実施された、と外電が伝えている。

AFP、RFIなどが伝える概要をまとめてみた。

「フリントロック作戦の目的は、多国籍部隊の協力関係を深化させ、テロや暴力的過激主義に対峙することにある。」ジェームズ・ズムワルト米大使。首都ダカールから北東に70キロほど離れたティエス州の空軍基地で開かれた、訓練部隊の編成完結式で訓示した。

米軍アフリカ統合司令部(Africom)によれば、今年の訓練は2月8日から29日まで。アフリカ、アメリカ、英、仏、カナダ、オランダを含むヨーロッパ諸国、ブルキナファソ、チャド、マリ、ニジェール、モーリタニア、セネガルなどサヘル諸国を中心に約30カ国、1,700名の特別部隊が訓練に参加する。

8日の編成完結式にはセネガル国軍アマドウ・カネ参謀長、米軍アフリカ駐留特別作戦司令官が臨席、ブルキナファソ、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、フランスの各国軍が参加した。

セネガルで訓練「フリントロック」が実施されるのは3度目。在セネガル米大使はこの訓練が「暴力的過激主義がセネガルに入り込む余地はないとするに対する警告」であると見て取れる、と語った。

近隣国ではイスラム武装勢力によるテロ行為が相次いでいる。セネガルではこれまでこのような事例は発生していないが、1月15日のブルキナファソにおけるホテル襲撃事件を受け、ホテルや行政機関など、公の場の警備を強化している。


(記事まとめ終わり)

フリントストックは、記事にあるとおり米軍が主導する西フリカ対テロ作戦総合訓練だ。2006年から実施され、今回で11回目を迎える。昨年はブルキナファソのワガドゥグで行われた。ブルキナファソは対マリの空軍作戦の基地が置かれている。

訓練の状況想定はもちろん、米軍が各国と連携のもと進めているアフリカにおける対テロ作戦。

訓練では特に多国籍統合司令部における情報統合とシェア、作戦、戦術レベルでの指揮・統制系統の精度向上に重きが置かれている。米軍の文書によれば、統合作戦能力(’interoperability’)の強化、そしてサハラ地域周辺国の横断的なシンクロナイゼーションと、対テロ同盟関係(Trans-Sahara Counter-Terrorism Partnership :TSCTP)の強化が主眼。そのため、過去の作戦や訓練から得られた課題を検証し、穴をつぶしていく。

今回のフリントストックでは、このほかいくつかの特徴的な訓練が含まれるという。一つ目は、同盟国市民への保健医療・獣医協力。対テロ作戦では、地方部における住民の支持と協力が課題とされている。

もう一つは「トランスサハラ治安シンポジウム(Trans-Sahara Security Symposium: TSS)」の開催。セクター横断的な軍民協働を促進するプラットフォーム形成を米国国際開発庁(USAID)が主導する。

またこの訓練はメディア戦略も忘れていない。訓練や一連のオペレーションは報道機関にもオープンにされている。


ところで、「フリントストック」は訓練の作戦名。軍隊組織では作戦に名前をつけるのが習わし。現在、サヘルで進行する仏軍の対テロ作戦は「バルカン作戦」。その前身のマリにおける作戦は「サーバル」、中央アフリカにおける作戦は「サンガリス」だ。

今思えば、ンボテも前職、「自衛業」時代、訓練や作戦の名前に「みちのく」とか、「だいせつ」のような名称が振られていたのを思い出す。


さてこの訓練を主導するのは米軍、より正確に言うと、通称’AFRICOM’だ。アフリカに携わる人はこの名前をどこかで聞いているのではなかろうか。いよいよこの話題に触れないわけにはいかない。

(つづく)

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