摂氏911

自然な生き方をめざす女性が、日々のできごと、感じたことなどをつづります。

映画「七夜待」と「わが教え子、ヒトラー」

2009-02-07 00:59:22 | 行ってきました
おとといは久しぶりに家事をたくさんこなしたと
書きましたが、
それは昨日、今日と2日続けて
映画を見に行きたいと思っていたので、
映画を自分へのごほうびにできるくらい
がんばってみようと思っていたことも
張り切った理由にありました。

昨日見たのは、河瀬直美監督の「七夜待」。
「殯の森」でカンヌの審査員特別賞を受賞している監督です。
彼女は私と誕生日も近く、第1子の出産も同じ年で
妙に親近感を感じてしまいます。
でも、彼女の映画ははっきり言ってとっつきにくいです。

今回の「七夜待」も内容的によく分からない部分も
多々ありました。
何より困ったのは、カメラを固定しないで回しているので、
映像がグラグラ揺れて、酔ってしまったことです
臨場感、緊迫感を出したいのかもしれないけど、
もう少しバリアフリーな映画にしてほしいわ

ストーリーはよく分からないところがあるわ、
映像で酔ってしまうわで、
感動で魂が揺さぶられたとか、心が洗われたというような
感じはありませんでしたが、
舞台になったタイの村にあふれる生命がとても印象的でした。
映画の本筋とは関係ない、短く差し込まれたショットの中に
とかげやクモ、ワニなどいろんな生き物が映ってました。
最後の川を舟で下っていくシーンでは、
鳥や川面でピチピチ動く魚の気配があり、
命がそこらじゅうに充満している感じがしました。

映画が終わって外に出ても、
目に入ってくるいろんな生物がいとおしく、
輝いて見えました。
そんな気持ちにさせてくれただけでも、
いい映画だったのかも。


そして今日見てきたのは、「わが教え子、ヒトラー」。
ヒトラーに終戦間際に演説を指導していた人物が
ユダヤ人だったという設定の話です。
終盤まではなかなかコミカルなストーリー展開でしたが、
最後はやはりハッピーにはなりませんでした。
私が気になったのは映画のストーリーより、
主人公のユダヤ人俳優が引きこもり気味のヒトラーの
感情を取り戻させる訓練をする部分でした。
私が学んでいる心理分析の講座では、
いつも感情を取り戻すことの大切さが言われているからです。

フロイトを生んだドイツは心理学が発展した国でしょうが、
あの当時はその知識もきっと様々に悪用されたのではないかと
思えました。
実際、先日まで読んでいたデービッド・アイクの本には、
そんなことが書かれてました。

同じように印象的だったのは、
夜中に寝つけないヒトラーが、
主人公が家族と暮らす部屋に入りこみ、
主人公と妻のベッドに入れてもらったシーンです。
その後、妻は枕でヒトラーの顔を覆って、
窒息させようとしますが、
主人公は「彼を殺せば、我々も殺される」ということと一緒に、
「この人は愛情に飢えているんだ」というようなことも
言いました。

この部分はもちろんフィクションですが、
ヒトラーのようにけだもののようなことをする人でも、
その心の背景を理解することができるという
やはり心理分析で学んだことが表現されていました。
これを見て、私はやっぱり理解しがたい人こそ
相手にしてみたいと思いました。


2つの映画のどちらも、かなり偏った鑑賞をしたかもしれません。
ともかく、歩いていけるところに
シネモンドのようないい映画を上映するところがあって
ラッキーです。
岐阜にはもうそんな映画館がなくなってしまったから、
引っ越すまでにあと4,5本見ておきたい映画があります。
シネモンドの年会費のもとは、この1年で十分取れそうです。