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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

【ministock-07(lab)】just a moment-新潟を一望する小さい家-

2018-04-25 21:56:59 | ministock-07(lab)
2階の屋根工事が完了し、壁の工事に移行しています。

耐震性の工事もほぼいい所まで来ました。
これで図面通り。

え?
全部に合板張るわけじゃなの?

これで間違いありません。

1階の一部に2階が載っていない建物を「下屋付き」と言いますが、耐震設計において、実は結構な厄介者。
耐震性は強さばかりが評価されがちですが、いかにバランスよく強くするかが重要。

ところが下屋付きの建物の場合、2階建て部分の建物重量は重たいし、1階だけの部分は建物重量が軽いばっかりに、建物全体から見ると2階建て部分に重心が寄ります。

するとテコの原理のように、重心から離れれば離れるほど力が簡単にかかるようになるため、重心から遠い1階部分はちょっとの力で強い力がかかってしまいます。

つまり、下屋付き建物の場合、1階部分を2階建部分と同じ強さで設計してしまうと、不規則な回転を生む建物になってしまうんです。

昭和世代の方に伝わる例を挙げると、昔、洗濯機の脱水がうまくいかないと、洗濯機がガコンガコンと揺れたじゃないですか。
あれは、洗濯物が偏ったために回転の軸がぶれちゃったのが原因です。

あれと同じ。

建物の強さが偏っちゃうと、建物がガコンガコンと不規則に揺れちゃって、却って倒壊しやすい建物になってしまいます。

そこで、1階だけの部分は他よりも弱くしてあげる。
逆に2階建て部分は強くしてあげる。


結果、毎度毎度のテープべたべた貼り。
(↑ちなみにこれが南側の壁。1,2階合わせて、サッシは1か所のみ!)

この壁はこの釘でこの間隔で施工するようにと、1枚1枚全部に指示を出してきました。
(図面に描いてあるんですけどね)
1階は合板ほど強くならないようにしています。

これでバランスの良い建物になります。

大工さんでも、「釘たくさん打っときゃ間違いないだろ」を思っている方は沢山います。
大は小を兼ねる発想で。

大がすべての小を兼ねるとは限りません。
少なくすることで強くなることもあります。

ラーメンにチャーハン付けて後悔するときもあるじゃないですか。

だから、大きい家が小さい家を兼ねるとも限らない。
小さくすることで住みやすくなることもあるんです。

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